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back.gif028 マグネーシアの体と処理について

ギリシア語錬金術文献集成

TLG4319

ゾーシモス

029
哲学の石について






哲学の石について
(Peri; tou: livqou th:V filosofivaV)
(fort. pars operis Ceirovmhkta)
(e cod. Paris. B.N. gr. 2327, fol. 136v)



029 2 198 8t
哲学の石について

 マリアは謂う。「わたしたちの鉛が黒くなるとしたら、見よ、それは〔黒く〕なったのです。なぜなら、普通の鉛は初めから黒い。いったいどうして〔黒く〕なることがありましょう。もしも、体を非体、非体を体、2を1としないなら、期待されることは何もありません。また、もしも、万有が火によって希薄化され、蒸気が吹きあげられるのでなければ、何ものも終極に至ることはありません」。さらにまた、「わたしが言うのは単純なことではなく」と彼女は謂う、「わたしたちの黒い鉛によってです。見よ、一般的に〔人々は〕黒い鉛をこしらえ方します。なぜなら、普通の鉛と結合されたものとしてあるからです。というのは、普通の鉛は初めから黒いが、わたしたちの鉛は、初めはそうではなかったのに、黒くなるからです」。

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 哲学者たちは、この石の働きをすべて4つに分割する。第一は黒化(melavnwsiV)、第二は白化(leuvkwsiV)、第三は黄化(xavnqwsiV)、そして第四はイオス化(i[wsis)である。そして、黒化と白化と黄化の間に融解処理(cowpoivhsiV)、つまり(tariceiva)と、諸形相の.洗濯(pluvsiV)がある、ということ。しかし、こういったことが起こるのは、器具の覆いと部分部分の合一による処理なくしては、不可能である。

 哲学者ペラギオスは謂う。「さて、イオス化の始まりには徴候があり、イオス化が起こって内にあれば、それが、イオスも金と解釈される真実のイオス化であり、ひとが1つの〔〕をつくれば、起こり、さもなければ、起こらない。そこで、底に起こるよう観察せよ。そうでなければ、起こらない」。

 まったく純白このうえない石である雪花石膏は、小枝のように熱を有する脳髄である〔?〕。これを取って、搗き砕き、酸で塩漬けせよ。そうして、麻布の中に投じ、神的ゾーシモスが謂っているように、馬ないし鳥の糞の中に、20日間隠せ。

 さて、デーモクリトスによれば、水銀には2つ、4319 029 2 199 16白い混合物と硫黄の水とがある。硫黄に混ぜた硫黄は、神的な諸有をつくり、それらは相互に同族性を有する。

 シュネシオスは、『錬金論』の中で謂っている。「デーモクリトスは、辰砂から得られる水銀は……と云った、しかし『白化論』の中では、鶏冠石から得られる水銀は云々と云った」。

 ディオスコロスは云った。「あたかも、蜜蝋が、自分と交わって色を変えるがごとく、水銀も同じく変化する」。

 黄化は2つ、白化は2つ、化合は2つ、黄色と湿、つまり、黄色の目録の中に植物と金属を置け、200 1また染液(zwmovV)も2つ、黄色の中に1つを、白色の中に1つを〔置け〕。そして黄色い染液の中には、黄色い植物 — 例えばサフラン、クサノオ(ejluvdrion)、同類のものら — によって。しかし白い化合物の中には、今度はあらゆる白いものら — 例えばクレータの土、キモロスの土、そういったかぎりのものら — が。また白色の湿の中には、白い水 — 例えば酸敗したオオムギ水(zu:qoV)<や>樹液〔に含まれるもの〕や同類のものら — が。

 オリュムピオドーロスは謂う。「塩漬けは、メキル月注5)25日から、秋の25日までに行われる。塩漬けと洗濯ができるのは、容器の中に保管されている当のものらを棄てるまでである。しかし、泥状の土に関して塩漬けが起こるのは、泥状態がおわり、砂に凝結するまでである。この術知は、火によって起こるのではないということ。

 術知全体の火は40日間であるということ。往古の人たちは、この術知をおびただしい言葉の中に隠し、神的な水を多くの名称で呼んだということ。

 「万有が火によって希薄化され、蒸気が噴き出されないなら、何ものも終わりに至らない」とマリアが謂っているということ。あらゆる作業の備えskeuvasmaは初めから黒であるということ。万有が灰になるのを目にするときは、美しくこしらえ方したと理会せよということ。そこで、この溶解金属の浮き滓を美しく搗き砕き、水状にし洗濯せよ、それぞれの溶解の度に、甘い水の中で6度と7度。なぜなら、砂の力に対して、溶解の中でも起こるからである。〔?〕というのは、この手引き、つまり洗濯によって、化合は甘くされるとマリアは謂うのであるから。さらに見よ、要素を備えることを。というのは、イオス化の終わった後、諸々の湿の添加があったとき、確実な黄化も生じるからである。これを実行してこそ、内に隠れた自然を外に引き出す。201 1 すなわち、彼女の謂うには、自然をそのものを裏返しにせよ、そうすれば、求められているものを見つけ出せようから。

 混合物は2つ、白化と黄化であるということ。さらに白化は2つ、黄化も2つ、つまり、1つは搗き砕き(leiwvsiV)により、他は煮沸(eJyhvsiV)によってである。というのは、搗き砕かれるのは単純ではなく、神聖な部屋で行われるのだから。そこにおいてこそ湖と怪魚(khvth)〔kh:toVの複数形〕が生ずるのである。

 マリアは謂う。「男性と女性を軛でつなげ、そうして、求められているものを見つけ出せ」。また別の箇所でマリアは謂う。「手で触ろうとするな、洗濯薬であるのだから」。

 2つの化合物は多くの名称で呼ばれる、例えば、ハルメーによる水とか等々ということ。

 混合物のこしらえ方物は、イオス化といっしょの状態になり、手で触れないのだから、硝子でなければならない。というのは、水銀やそこに含まれる金は、腐敗すると、致命的となる。どんな金属よりも有害だからである。

 燃焼において、最初に起こるのが白化、第二が黄化である。彼女は謂う、白色の薬の半分を添加せよ、これが第一、そしてそういうふうにして煮沸せよ。他の半分はイオス化の際に求められる。それゆえにエピベーキオス注6)もあちこちで謂う、「この薬を2つの部分に分割せよ」。また彼は言った。「〔薬の〕ひとつは陶器の容器に保持し、202 1 他は銅の容器に。陶器の容器では焙焼を、銅の〔容器〕ではイオス化を明らかにしている。白化のことはあらかじめ云っている、つまり、「銅を乾燥した月桂樹で焼け」。つまり、白い化合物の中で、ということである。

 アガトダイモーンも謂っている。「神的な水を雲といっしょに煮沸せよ。そういうふうにすれば、燃焼(kau:siV)と白化がある」。さらにまた、「上述の雲を、明礬を濃く混ぜ合わせたうえで、ヒマシ油、ないし、ハツカダイコン種子の油で煮沸せよ。

 ゾーシモスも謂っている。「……というのは、

 神的ゾパルは謂う。わたしは知っている云々。

 マグネーシアの語源は、2つのものらの組み合わせによって、合一した混和を混ぜ合わせる(mignuvein ta;V kravseis eJnwvseiV)に由来する。

 神的なゾーシモスが謂っている。「デーモクリトス、わたしのあの〔デーモクリトス〕が言っていることは善い」。示すべきは云々。

 ゾーシモスが言った。「多くの燃焼と、諸体の水化を恐れるな……銅の燃焼は無数であり、これを染色する〔燃焼〕が銅をつくる。自然を裏返せ、そうすれば求められているものを見いだすであろう。なぜなら自然は内に隠れているからである。だから、自然が裏返されると、輝く水銀の精錬の際に目に見えるのは、もはや白色ではなく、錆(イオス)の凝固した黄化における黄色である。203 1 自然を変えることはできないという人々は、一体どこにいるのか。というのは、見よ、自然は金の性質において確固としたものとなり、黒色へと降下させられるであろう。なぜなら、水銀除去の湿性が、固体の土性において取り囲むので、あなたは乾を解体し、有性において水銀除去の性質を水化できなければ、何ら期待できるものには至らないであろうから。もしも、解体も水化もされず、加熱さえもされなければ、何ら期待できるものには至らないであろう。さらに、解体も加熱もされず、冷却さえもされなければ、何ら期待できるものには至らないであろう。もしも指図に従うすべてが、いっしょに、継続的に生じるなら、ejkbavsiVの希望が神的配慮と行き合うことも[何ら期待できるものには至らないであろう]。

 妊娠の適時は、9ヵ月を下回ると、早産のような結果になるであろうから、9ヵ月を下回らず、万物における、金属における加熱の〔適時〕は、9刻を下回らないことを美しく観察せよ。なぜなら、妊娠の仕方はまさに同様だからである。盃形の祭壇の修練の適時には、塩漬けを組み合わせよ。つまり、制作(ejrgasiva)の仕方は3つであることをよく観察せよ。いずれにせよ、第1の仕方は混和(sugkravsiV)の仕方であり、わたしに気づいたら、ejpiteuvcwoVと小麦粉によって汚れ発酵したものらを保持せよ。?なぜなら、湿は分量にしたがって蒸発するのではなく、有用性が求めれば求めるほど、混合物の上にも陶器の容器が加熱を保持するからである云々。

 これがエテーシオス石であるということ。だから、あなたが乾燥剤を甘くするときは、乾燥させ、固形化し、錆を除け。乾燥剤とは、銅の華〔緑礬〕3個、204 1 マグネーシア1個、銅1個である。乾燥剤1個の錆を除け。太陽のもとで、白い酢で、7日間、水をかけながらいっしょに練れ、そして後で、2日ないし3日、加熱せよ、そして取り出せば、金が血のような火色に染まったのを見出すであろう。これが哲学者たちの辰砂であり、銅-人間の金である。いや、乾燥剤そのものも、水をかけられると、酵母のなかで昇華する。というのは、光をより多くとると、黄色になるが、しかし役には立たない。

2010.05.02. 訳了。

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