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back.gif046 焙焼された銅の違いについて

ギリシア語錬金術文献集成

TLG4319

ゾーシモス

047
ゾーシモスの〔書〕・器具と炉について






ゾーシモスの〔書〕 器具と炉について
(Zwsivmou peri; ojrgavnwn kai; kamivnwn)

(e cod. Venet. Marc. 299, fol. 186r)



047 2 224 1t
ゾーシモスの〔書〕・諸々の器具と諸々の炉について
〔050, 057, 058, 059, 062 を参照せよ〕。
 目に見える炉の素描がここにあります。哲学者はこれに言及していませんが、おが屑やその他のものらに関しては、火の量に関する覚え書きの中で、わたしはちょっと扱っておきました。メンピスの古い神殿で、粉々になった一種の炉をわたしは見たことがありますが、秘儀に与る神官たちは、これの組み立て方さえ見出せませんでした。元気を出しなさい。

 じっさい、諸々の器具の多くのこしらえ方 — 硫黄の水のみならず、保温盤や諸々の炉の数多くの種類 — は、マリアによって書かれています。実際、硫黄の諸々の器具は、何にもまして仕上げることが必要です、とりわけ、それらの中でも〔以下のものらは〕何にもまして必要ですから。硝子製のビーコス(bi:koV)、陶製の管(swlhvn)、ペーコス(ph:coV)、長くびフラスコ(lopavV)、細口の容器 — この中に、そのビーコスの口そのものの太さの管が、挿入されているとせよ — 。他にも、硫黄の〔神的な〕水の抽出(komidhv)の仕方があります。ただし、三本腕の蒸留器のようにではなく、長さ1ペーキュスないし1ペーキュス半の管1本が銅製品の底に挿入されてあるとしなさい。同じ仕方で蒸留器1つも、火の通っていない硫黄の入った長くびフラスコと接合部とが下にあり、焙焼しなさい。見本がこれです。ただし、水の鉢(krathriva)は全体に関わり、容器は海綿で拭きとらなければなりません。

 また、諸々の硫黄のためには、一部の人たちは、光と、それに類した諸々の器具 — ドラコン状〔の座〕のような座を有する — を<用います>。彼らは、水銀をも、硫黄の蒸発によって、それ自体黄色いものとして凝固させるでしょう。 実際この書と、2つの明らかな神秘がこの〔書の〕中に隠されていること、にわたしは驚きました。しかるに、わたしたちは探究しないのです、いかにして、火を通さぬ硫黄が、水銀によってそれのみで白くあり、また万物を白くするのに、225 1 焙焼そのものがそれによってではなく、黄色いものとして闡明するのか、さらにまた、それ自体は力能の点でも働きの点でも白くあり、白によって焙焼され、凝固させられると、どうして黄色が出てくるのかを。そこで、何にもまして若い人たちはこのことを探究しなければなりませんでした。しかし別の神秘は、それとともにのみならず、混合物全体とも凝固させられなければなりませんでした。

 次のように言っているこの論文を書いた人に傾聴することを、わたしは笑いました。平皿をして、と彼は謂います、火を通さぬ硫黄1ムナを保持せしめよ、と。また、貴女が物惜しみを容赦せず、それをも貴女のために書いてくれるよう要求したという点でも、わたしは驚きました。貴女はいたずらに彼の自然本性を非難しました。というのは、彼が何を云ったのか、貴女はわからなかったのですから。先の覚え書きの中でもわたしの云ったのは、諸々の水の製法(poivhsiV)を云ったのではなく、蒸留(a[rsiV)を云ったということです。というのは、製法と蒸留とは別々のことです。そして、彼らの<各人は>蒸留のことは惜しみなく云いました。しかし、彼らの誰ひとりとして製法のことは説明しませんでした。なぜならこれは明白な神秘、つまり、甚だしく秘匿されていることだからです。蒸留とは、これらの器具による、そういうものです。製法、つまり、この水の結合(suvnqesiV)とは、仕事の平易な仕上げによって著されています。

  続いては、三本腕の蒸留器(trivbikoV)のことをも素描してみよう。〔マリアは〕謂います、延ばしやすい銅で管を3本つくりなさい。 — 銅は延べ板の薄さで、濾し器の厚さ、ないし、菓子づくり用の銅製のフライパンよりもう少し厚さをもったもの — 、長さは1ペーキュス半。さて、三本の管をそういうふうにつくりなさい。また、掌〔にあたる〕部分に、肘の長さを持った長い銅の〔筒〕をつくりなさい。4319 047 2 225 21 ただし、この銅製品の開口部は適当でよい。ただし、3本の管は、その開口部を、蒸留器の細い首のところに〔ぴったり合う〕小釘のように、また、〔銅製品の〕底まわりに、一本の親指と二本の指のように、2本の手に向かい合って銅製品の側面に接合しているものとしなさい。〔頭部の〕底に、226 1 各管に合致する三つの穴をあけ、ぴったり合わせて接着されるが、上部の〔一つの管〕は、気息〔=蒸気〕のうけ方が普通と違うことになります。さらに、銅製品を、硫黄をいれた土製の長くびフラスコ(lopavV)にはめこみ、麦粉のりで継ぎ目を密封し、各管の先端に硝子製の蒸留器を挿入するが、〔この蒸留器は〕昇ってくるものを運ぶ水の熱で壊れないよう、大きくて厚いものにする。図面(sch:ma)がこれです。[人差し指の管(licano;V swlhvn)]。

 生成することないし結合することを、貴女のために書くことをわたしはためらいません、女主よ。そこで、諸々の水の製法は、以下のとおりです。硫黄の、雄黄の、密陀僧の、硝石の水、フェクラの水、アスベストスの水、、天然カリウムの水(u{dwr spodokravmbhV)、薄片の明礬の水、尿の、驢馬の乳の、山羊の〔乳の水〕。犬の乳[しばしば]と牛の〔乳〕あるいは男児を産んだ女の〔乳〕、アガトダイモーンによれば、酢も海水も、蜂蜜、ひまし油、堕落していない者たちの尿、コムミ。さて、それぞれの水は義しい塩のような状態にありますが、木灰の上では、石鹸の滴液のようで、この滴液のことは、『Xeirovkmhta』の洗い張り人たちの中で貴女に献呈したものです。しかしもしできなければ、水1コテュレーに試剤1ウンキアを、硫黄1ウンキアを清浄な水1コテュレーに〔結合〕するように、結合しなさい。雄黄1ウンキアは水1コテュレーに。鶏冠石1ウンキアは水<1>コテュレーに。焼いて酢の中で消炎されたフェクラ、イタチの尿の中で消炎されたアスベストス<1ウンキア>は<水>1コテュレーに。海水の中に解かれた薄片の明礬<1>ウンキアは、水1コテュレーに。また火の硝石も同様。そして個別に煮沸して、水少しをいっしょに〔しなさい〕。力を取って、篩にかけるか、他の土瓶(cuvtra)に滴下しなさい。蜂蜜とオリーブ油をいっしょに投入しながら。そして、白い硫黄が必要なら、水といっしょにキオス島の土、星石(ajsterivthV livqoV)、焼いた月石ajfrosevlhnoVコプトのスティムミ、サモス土、カリア土、キモーリア土ないし輝土(stilbavV gh:)を搗き砕きなさい。青くなったら水を土瓶に入れ、大地に産する227 1 大理石と生のミシュ、他にもアスベストスの部分 — 古の人たちの諸書によれば、2個まで — を入れなさい、そうすればこれがアスベストスによるものと言われ、器具を土瓶の上に置いて、水を吸い上げ、そして用いなさい。

 さて、黄色い水は次のごとくです。すべての水に、先に明らかにされた重量の加減どおり、もはやアスベストの2個ではなくて、塩1を取り、ひとつずつを煮つめ、混ぜ合わせ、もはや白いga:Vではなくて、黄色いga:Vを搗き砕きなさい。わたしたちの望んでいるのが、黄色い水だからです。ただし、土は次のものらです。アッティカ産の黄土、ポントス産のsinwtivV、焼かれたミシュ、焼かれた緑礬とそれに類したものら。<……>。普通に知られているすべての植物、卵黄、卵の黄身、クサノオは2倍。諸々の草は水でひとつにするのではなく、ga:Vだけを〔ひとつにする〕。そして習慣どおり、長くびフラスコを換え、諸々の植物をいっしょに入れ、4日間、器具の上に置いて火で煮て、水を吸い取り、コムミといっしょに用いなさい。そして蓋を取ると、固有の染料すなわち固有の気を発する完全に焼けた草を見出すでしょう。これは、火を通さぬ硫黄の水の力と自然を有している。熱湯で銀を染色すれば、消えないものとなるでしょう。お元気で。

2010.05.18. 訳了。

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