コリンナ(Kovrinna)

 女流抒情詩人。
 ボイオティアのタナグラ生まれ。テーバイ出身という可能性(Paus. 9.22; Suda)は少ない。伝統的に、ミュルティスの弟子(Suda)で、ピンダロスの年上の同時代人にして、歌競べでピンダロスに打ち勝った(Paus. 9.22 によれば1度、Ael. VH 13.25, Sudaによれば5度)というのは、ピンダロスの詩(Ol. 6.9,)から引き出された伝記的空想にすぎない。若きピンダスの忠告者であった(cf. Pind. fr.29)と主張するプルータルコスの伝える挿話(De glor. Ath. 4.347f-348a)も同じである。彼女の伝統的な年代は論争の的となってきた。
 アレクサンドリアの学者で、彼女の作品を研究した者はいない、最初に彼女に言及しもの(Anth. Pal. 9.26; Prop. 2.3.21)は前1世紀に属する。パピルス断片は一貫して前3世紀後半のボイオティア正書法を反映している。彼女の韻律がアッティカ悲劇との類縁性を示し、彼女の単純な文体は、アルカイックな合唱詩のそれと似ていない。パピルスは散発的なアッティシズムを表す。現在の証拠では、論争点は解消され得ない。
 彼女の詩は5巻に分けられる。彼女は、一部の人たちによって、9人の抒情詩人の規範に十番目として加えられる(e.g. Anecd. Bekk. 751; peri; diafora:V poihtw:n 18ff.)。Sudaはエピグラム詩に言及しているが、伝存している諸断片は、(ほとんどもっぱら)地方の伝説を扱った抒情的叙述から成っている。「ボイオートス」「テーバイを攻める七将」「エウオーニュモスの娘たち:「イオラオス」「帰郷の船旅」「オレステース」といった表題をそれを証している。方言は主として叙事詩的で、いくぶんボイオティア方言である。
 Fr.655は、叙述は地方の処女たちの合唱舞踏隊によって歌われたことを示唆している。最も大きなパピルスが2つの叙述を伝えている。ひとつめは、キタイローン山とヘリコーン山との歌競べと、低かったヘリコーン山の悲しみを告げている。ふたつめは、預言者アクレーペインが河神アーソーポスに、9人の娘たちの失踪を語る後者に話すことを内容としている。文体は単純。口調は流暢で、作風は「客観的」、稀であるが驚くことではない添え名をともなっている。
 (OCD)



[底本]

D. Campbell, Greek Lyric IV, Loeb Classical, Harvard, 1992

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生涯と作品の証言集(Testimonia vitae atque artis)

断片1 Sud. K 2087
 コリンナは、アケオーオドーロスとプロカティアとの娘、テーバイ女ないしタナグラ女で、ミュルティスの女弟子。ミュイア〔「蠅」の意〕と綽名された。リュラ弾き女。話Logos)では、ピンダロスに5度勝ったという。著したのは5巻の書、エピグラム詩、リュラ曲。

断片2 Plut. glor. Athen. 4. 347f-348a
 

断片3 Ael. V. H. 13. 25
 詩人ピンダロスは、テーバイで〔詩の〕競演をしたが、無学な聴衆にでくわして、コリンナに5度敗れた。そこで、連中の無教養を非難して、コリンナを豚と呼んだ。

断片4 Paus. 9. 22. 3
 コリンナは、歌を作ったタナグラの唯一の女性で、この女性の墓はこの都市の目抜き通りにあり、体育場には肖像画がある。頭に鉢巻きをしているのは、コリンナがテーバイにおいて歌でピンダロスに勝ったその勝利のためである。しかし、わたしのみるところ、勝利はひとつには方言のせいであろう。というのは、ピンダロスとは異なり、彼女はドーリス方言ではなく、アイオリス人たちが理解できるはずの方言で歌ったのであり、もうひとつには、肖像から何か証拠づけられねばならないとするなら、当時の女たちの中でこの女性は容姿が最美であったせいであろう。

断片5 Prop. 2. 3. 19ss.
 

断片6 Stat. Silv. 5. 3. 156ss.
      御身〔スタティウスの父〕が解明に通暁せるは、
バットスの裔〔カッリマコス〕の歌章、暗きリュコプローンの謎、
錯綜せるソープローン、しかして、コリンナの〔ボイオーティアの正字法の結果としての〕秘儀。

断片7 Comment. Melamp. seu Diomed. in Dion. Thrac.
 叙情詩の作詩者は9人、その名は以下のとおりである。アナクレオーン、アルクマン、アルカイオス、バッキュリデース、イビュコス、ピンダロス、ステーシコロス、シモーニデース、サッポー、そして十人目がコリンナ。



断片集(FRAGMENTA)



Frr. 654-5はパピルスにあるもの。656-63は標題のある詩。664-89は正体不明の詩である。



645 P. Berol. 284, prim. ed. Wilamowitz, B.K.T. v 2 (1907) 19ss.〔ヘルモポリス出土のベルリンパピルス(2世紀頃)〕

(a) col. i

(ヘリコーン山とキタイローン山との競争)

1  e]ujstevfanon
   花冠もみごとな
3  ]ejp= a[kru
   頂きに
4  ]cordavV
   竪琴の弦を
5  ] . rw:nt= ojrivwn
   山々の
6  ] . n fou:lon ojni-
   部族
9  ]hjiv
   いつも
10  g]enevqla`
   家族

12      ]eu . [ . . . . . ] Kwvrei-
  brevfo]V a[ntroi, laqrav[da]n ajg-
15  ko]olomeivtao Krovnw, ta-
   nivkav nin klevye mavkhra +Riva

  meg]avlan t= [aj]qanavtwn e[s-
  V] e{le timavn. tavd= e[melywm`
  mavkaraV d= aujtivka Mwvsh
20 f]erevmen ya:fon e[[t]atton
  kr]oufivan kavlpidaV ejn crou-
  sofai:V` tu; d= a{ma pavnte[V] w\rqen`

  plivonaV d= ei|le Kiqhrwvn`
  tavca d= +Erma:V ajnevfan[evn
25  ni]n ajouvsaV ejrata;n wJV
  e{]le nivkan, stef[av]nusin
  d . . ] . atwv . an ejkovsmion
  mavka]reV` tw: de; novoV gegavqi`

  oJ de; lo]uvphsi kav[q]ektoV
30  calep]h:sin Ϝeli[k]w;n ej-
  seruvei] littavda [p]evtran,
   . . . . . ]ken d= o[[ro]V` ujktrw:V
  d . . . . ]wn ouJy[ov]qen ei[ri
  sev [nin ej]m mou[ri]avdessi lavuV`

12 ……クーレースたちは
  女神の神々しき幼子を
15 洞窟に隠した。狡知にたけた
  クロノスに気づかれぬよう、こうして
  浄福のリア〔レアー〕は彼〔ゼウス〕を盗み、

  不死なる神々からおおいなる
  誉れを受けたのだ」。こう彼は歌った。
  そこでただちにムーサたちは、浄福なる者たちに
20 票を投じるよう命じた、
  秘密の票を、黄金に輝く
  甕に入れるよう。そして皆がいっしょに立ちあがった。

  かくしてキテーローンが勝った。
  すぐさまヘルマースが布令た、
25 大声で、求める勝利を
  彼〔キタイローン〕がおさめたと。そこで花冠で
  ……飾った。
  浄福な者たちが。かくて彼〔キタイローン〕の心は喜ばしかった。
  しかし相手、残忍な怒りに 30 とりつかれたヘリコーンは、
  滑らかな断崖を引き裂き
  山は[身震いした]。あわれにも
  ……高みから……
  これを無数の礫に……。

36 ajm]brosivaV
   神酒〔アムブロシア〕を
38  ]oV mel[iv]wn
   諸々の歌の
40 ]V o[rousen
   彼は突進した
44s. ]iw fevg-goV
   光が
45 ma]kavrwn tu:-
   浄福な者たちの
46 ]ni&ontasavsa[
47 ]dreosinei:V
48s. ]a Dio;V Mna-[mosouvnaV t=]
   ゼウスとムネーモシュネーとの
49 ]kwvrh.   乙女たちが

 ヘリコーン山は、ボイオーティアのコーパイス湖とコリント湾との間にある山。キタイローン山は、アッティカとポイオーティアの間に横たわる山脈。地方伝説によれば,キタイローンとヘリコーンは兄弟で、前者は乱暴者、後者はおとなしい性質であった。キタイロ一ンは父を殺し、兄弟を岩から突き落し、自分も墜落して死んだ。そこで人々は彼らの名を取って、エリーニュスたちの住居たる山をキタイローン山、ムーサたちの山をヘリコーン山と名づけた。一説にはキタイローンは美男子で、エリーニュスたちの一人ティシポネ一に恋されたが、拒んだので、彼女は怒って彼の毛髪の一本を蛇に変え、彼はこれに咬まれて死んだ。それで以前にはアステリオーンと呼ばれていたこの山名をキタイローンに変えたという。(『ギリシア・ローマ神話辞典』)

coll. ii-iv

アーソーポスの娘たち

 coll. ii
12 g[
13 Mw[savwn  ]wn
   ムーサたちの
14 dw:[r- e]nevpw
   贈り物を……わたしは語る
15 ]mevli
   わたしの歌のなかで
18 w|t[   ]ajevlioV
   あたかも……太陽が……
19 q]ousivaV
   諸々の供儀を
20s. ]o fila | eV d=[
   愛する……
23 iJwvn[
   わたしは
26 =Aswp[ ]ejn nomovn
   アーソーポスは、いつもの……
30 teivn[ ejV mel]avqrwn
32 ejm pe[imona;n
   
33 w|n !Hg[inan ge]nevqlan
  Deu;V[   a]gaqw:n
     善きものらの〔贈り主?〕ゼウスは
35 patro[   e]V,
   父から
  Korkouv[ran de; kh; Malami:-]
  n= eijd[ = Eu[boian ejravnnan]

  Poti[davwn klevye pa]teivr,
  Sin[wvpan de; Latoi<da]V
40 Qevs[pian t=   e[]stin e[cwn`
  te[     ]eV
  lo[      ]

  t[oi: d= ou[ tiV   ]on

45 ]safevV`
46 q[a:V

 coll. iii
5  ]ara qiw:n
7  [          ]aV
  [          ]e tivwV
  ou[]pok= aujto;[ . . . . . . ]qwn
10  . . . ]a ga;r qia;V[ . . . . . . ]
  e]ujdhvmwn [ . . . . ei[]dei.

  ta:n de; phvdw[n tri:V m]e;n e[ci
  Deu;V patei;[r pavntw]n basileuvV,
  tri:V de; povnt[w ga:me] mevdwn
15 P[otidavwn, t]a:n de; doui:n
  Fu:boV levkt{ra] kratouvni,

  ta:n d= i[an Mhv[aV] ajgaq;V
  ph:V +Erma:V` ou{[t]w ga;r !ErwV
  kh;KouvpriV piqevtan, tiwvV
20 ejn dovmwV bavntaV kroufavdn
  kwvraV ejnniv= eJlevsqh`

  thv pok= eiJrwvwn genevqlan
  ejsgennavsonq= eiJm[iqiv]wn,
  ka[ssonqh p[o]lou[sp]eriveV
25 t= ajgeivrw t=` ejV [m]a[ntros]ouvnw
  trivpodoV w{it[ . . . . . . . ].

  tovde gevraV k[ekravteic= iJw;]n
  ejV penteivko[nta] kraterw:n
  oJmhvmwn pevr[oco]V profav-
30 taV semnw:n [ajdo]uvtwn lacw;n
  ajyeuvdian =Ak[rh]feivn`

  pravtoi [me;n] ga;[r Lat]oi<daV
  dw:k= Eujwnouvmoi tripovdwn
  ejsV iJw:n [cre]ismw;V ejnevpein,
35 to;n d= ejV ga:V balw;n OuJrieu;V
  tima;[n] deuvteroV i[scen,

  ph:V [Pot]idavwnoV` e[pi-
  t= =Wa[riv]wn aJmo;V genevtwr
  gh:a[n Ϝ]a;n ajppasavmenoV`
40 cwj me;n wjran[o;]n ajmfevpi,
  tima;n d= [e[llaco]n ou{tan.

  twvnek= [eu\ t= e[gnw]n ejnevpw
  t= ajt[r]evk[ian crei]smolovgon`
  tou; dev [nou] Ϝi:kev t= aj]qanavtuV
45 kh; louv[paV a[ppaue] frevnaV
  dhmovn[ess= eJkou]reuvwn`'

  w}V e[fa [mavntiV] p[e]raJgeiV`
  to;n d= =A[swpo;V ajs]pasivwV
  dexia:V ej[fayavm]enoV
50 davkrouv t= [ojktavl]lwn probal[w;n
  w|d= ajmivy[ato f]wnh:`
 iv
2  fwp[
4  bebeivl[
5  ajpiqa[
6  teou:V d[
7  Ϝavdo[mh
8  pauvom[h
10 tevkn[
12 panq[
13 en qia[
14 dia; ni[
15 taw[
16 e{dn[
17 dwvsw[
20 tein lau:V . [
21 tovson e[fa s . [
22 PavrneiV ajnt-
23 Ϝavdo[mh
24 k]adeivan tr[
25 kei:no teou:V
26 touc . . e[
29 stevrgw t= aj[
31 Kiqhrw;[n]
   キタイローン
32 hjtivwV . [ . ] . [
33 Pleiav[d
34 meide;[
37 qoumo[
38 ejn pol[
39 kh; ga;r[
40 d= ei\V k[
41 kh; Kiq[
42 Plavth[a
43 d= a[get= w[
44 kla:roVP i[
45 tu:V pl[
46 Pavrne[
48 qanont[
49 Pavrne[
50 filouvr[
51 o{V poke[
52 mant[
(b) eiusdem pap. fragmenta incerti loci〔同じパピルスの箇所不明断片〕
1. 2 dhmon[
   ダイモーンたち
  3 deut[
   第二の
  4 beivlon[th
   彼らは欲する
2. 3 w|de d[
   そしてこのようにして
3 schol. marg. dext.   1 ajgri]elaia, pa[r= =O]mhrw[i
   野生イチジク、ホメーロスの作品において
  2 aiya
   突然に
4. 4 ]povren f[
   授けた
  6 ]a[eiti
   〔嵐が〕吹く

655 P. Oxy. 2370, prim. ed. Lobel〔紀元後200年頃〕
(物語)〔おそらく第1巻の初め〕
fr. 1
 (a)
 ]=A[po]llwvnioV〔前書きとして、アポッローニオスに触れる〕
 (b)    ei} !AreiV〔二者択一的な題名のもう一方〕

ϜEROIWN a v
『物語』第1巻

  ejpiv me Teryicovra [kali:
  kala; Ϝeroi:= aji&som[evnan
  Tanagrivdessi l[eukopevpluV,
  mevga d= ejmh:V gevg[aqe povliV
5  ligourokw[tiv]lu[V ejnoph:V.
  o{tti ga;r megal . [
  yeud[ . ]s . [ . ]adome[
   . [ . ] . . w gh:an eujpouv[coron`
  lovgia d=ejp=patevrw[n
10  kosmeivsasa †Ϝidio[
  parq[ev]nusi katav[rcomh`
  po]lla; me;n Kaf[iso;n iJwn-
  g= ajrc[ago;n kovsm[eisa lovgu]V,
  polla; d= =Wriv[wna] mevgan
15  kh; penteiv[kont=] ouJyibivaV
  ph:da[V ou}V nouv]mfhsi mig[iv]V
  tevketo, kh;] Libouvan k [alavn
   . ] . [ . . ]qhs[
  Ϝirivw kovran . [
20  kala; Ϝidei:n ar[
  g]h:an a}n tivkt[
   . ] . tevketo tu[

    わたしをテルプシコラが召し出して
    美しい物語を歌わせなさる
    白きペプロスめしたタナグラの女たちのために。
    都市は大いに喜んでくれるでしょう、わたしの
  5  きよらに澄みきった声を。
    それは、何であれ大いなる……
    偽りの……
    雄大な大地を……。
     父祖の代からの言い伝えを
  10 自分の[ ]で飾って
     処女たちのために始めましょう。
     繰り返し、ケーピソス、
     わたしたちの祖を言葉で飾り、
     繰り返し、大いなるオーリーオーンと
  15 五十人の力強き子どもたち、
     彼がニンフと交わって生んだ
     子どもたち、また美しきリブゥラを〔わたしは飾りました〕。
     …………
     乙女を物語りましょう。
    20 見るに美しき……
     大地を生んだ……
     ……父となったのでした……
fr. 2
1  p]arqevnu t[
   処女よ
2  ]h ejrousim[brot-
   死すべき者を救いたもう?
3  ]aV dafn[
   月桂樹
fr. 4
3  t= ejϜivdon [
   わたしは〔彼らは〕目にした
4  bavrbaron k[
   異邦の
6  ba;V de; OuJrie[uvV
   そしてヒュリエウスがやって来て
6s. ejs|seivlkouse, n[
   引きずり出した

656 Anton. Lib. 25 (Myth. Gr. ii 1. 103 Martini)
 メーティオケーとメニッペー。ニカンドロスが、その『変身譚(tav +Eteroiouvmena)』第1巻で、またコリンナもその『物語(Ϝeroia)』第1巻に記録している。

 メーティオケーとメニッペーは、オリーオーンの娘。ボイオーティアのオルコメノスで疫病流行に際して、人身御供にされ、死骸は地中に呑まれたが、冥府の神ハーデースとペルセポネーが二人を憐れみ、天上の流星に変じた。オルコメノスでは、コローニスたち(KorwnivdeV)という名のもとに崇拝されている。Cf. Ov. Met. 13. 685 ff.


(ϜEROIWN?)e v
(『物語』?)第5巻

657 Heph. Ench. 2. 3 (p. 9 Consbruch) (peri; sunekfwnhvsewV〔母音融合について〕)
 ……あるいは、2つの短音節が一つの短音節に(sc. 融合する)。ただし叙事詩においてもおこる。コリンナの第5巻においてのように。

h\ dianekw:V eu{deiV; ouj ma;n pavroV h\sqa, Kovrinna,
<ouJpnaleva>

   あなたは永遠に眠っているの? かつてのあなたは、コリンナ、
   朝寝坊じゃなかったのに。

BOIWTOS
ボイオートス

658 Hdn. p. mon. levx. a 11 (ii 917 Lentz)
 詩人〔ホメーロス〕の作品では(Poseidavwnという形をとる)。ただし、ボイオーティア方言では、stに転音して、Poteidavwn。コリンナがその『ボイオートス』で。

tou; de; mavkar Kronivdh, tou; Poteidavwn Ϝavnax Boiwte

   御身、クロノスの浄福なる裔、御身、ポテイダーンを父とせる、ボイオートスの君……

EPTA EPI QEIBHS
テーバイを攻める七将

659 Ap. Dysc. Pron. 119b (i 93 Schneider)
 ドーリス方言ではuJmeiV……アイオリス方言ではu[mmeV……ボイオーティア方言では二重母音ouを伴う〔したがって、ouJmevV〕。

ouJme;V de; komisqevnteV.

   して、おぬしらは、運ばれ来たって……

コリンナがその『テーバイを攻める七将』で。


EUWNOUMIH
エウオーニュモスの娘たち

660 Ap. Dysc. Pron. 136b (i 107 Schneider)
 アイオリス方言は、〔o{Vに対して〕すべての格と性においてϜを伴う……。ボイオーティア方言でも同じである。コリンナの『エウオーニュモスの娘たち』。

ph:da Ϝo;n qevlwsa fivlhV
ajgkavlhs= eJlevsqh.

   わが子を愛しき
   腕に抱かんとして……

ϜIOLAOV
イオラオス

661 Ap. Dysc. Pron. 113b (i 88 Schneider)
 〔nwvは〕アンティマコス(fr. 50 Wyss)ではeを採ってnw:eになる……また

touv te nw:e

   そして御身とわれら両人を……

『イオラオス』の中でコリンナが。


KATAPLOUS
帰郷の船旅

662 Ap. Dysc. Pron. 98bc (i 77 Schneider)
 eJou:V〔彼(自身)の〕。これはドーリス方言のteou:V〔あなたの〕に対応する。コリンナもこれをしばしば使っている。『帰郷の船旅』の中で。

nivkas= o}n megalosqeni;V
=Warivwn cwvran t= ajp= eJou:V
pa:san wjnouvmhnen.

   これに勝利した力強き
   オーリーオーンは、あらゆる地に
   自分流の名をつけた。

663 Ap. Dysc. Pron. 105b (i 82 Schneider)
 さらに、(sc. soiv〔二人称単数与格〕は)tivnと言われる……コリンナの作品では、『帰郷の船旅』の中で、目的格にも定められる。

ouj ga;r ti;n oJ fqonero;V
daimwt

   この妬み深き男がそなたを害すること
   なければ、

sevの代用。そしてあきらかに格の〔対格への〕変化がある。


664 Ap. Dysc. Pron. 64b-65a (i 51 Schneider)
 ボイオーティア方言では<iJwvn>だと、トゥポーン〔アウグストゥス帝時代の文法学者〕が……一部の人たちによれば、この中にはハブローン〔1世紀頃の文法学者〕も入るのだが、〔iJwvnは〕古来の形であり、同じ人たちは、iJwvnejgwvnに、ドーリス方言のheiに変えられると、iJwvneiejgwvnhに、iJwvngaejgwvngaに、結合して用いたと謂われる。コリンナ。

(a)
mevmfomh de; kh; ligoura;n
Mourtivd= iJwvng= o{ti bana; frou:-
s= e[ba Pindavroi po;t e[rin,

   声さやけきムゥルティス〔ミュルティス〕をさえ
   わたしは咎めたのです、婦人よ、
   ピンダロスとの競演に赴いたゆえに、

さらにまた

(b)
iJwvnei d= eiJ rwvwn ajreta;V
ceijrwavdwn

   だけど、わたしの徳は、英雄や
   女傑を歌うこと

665 Anton. Lib. 10 (Myth. Gr. ii 1. 80 Martini)
 ミニュアースの娘たち。ニカンドロス『変身譚』第4巻、またコリンナも語っている。

ミニュアースの娘たち(MinuavdeV)  オルコメノス王ミニュアースの三人の娘レウキッぺ−、アルシ ッぺ−、アルキトエー(アルカトエー)のこと。彼女たちは、ディオニューソスの祭に、他の女たちがバッケーとなって山に行ったのに、家に留まったために、神罰を蒙り、狂気となり、レウキッぺ−の子ヒッパソスを仔鹿と思って八つ裂にしたのち、他の女と同じく山に出かけた。あるいはこうもり となった。その間の事情は作者によって多少異なる。一説には彼女らの腰掛の囲りにつた(蔦)や葡萄のつるが生え、酒と乳が流れ、光がさし、野獣や太鼓、笛の昔が聞え、驚き恐れた彼女らは気が狂ったという。またこの際にディオニューソスが乙女に身を変じて現われ,彼女らの怠慢を責めたが、彼女らに嘲笑され、神は彼女らの眼前で牡牛、豹、ライオンに身を変じ、彼女らは気が狂ったともいわれる。


666 Ap. Dysc. Pron. 95bc (i 74 Schneider)
 もちろんのことだが、ドーリス方言のejmou:V(=ejmou:)にteou:V(=sou:)は(sc. 並行する)……。さらにまたコリンナも

peri; teou:V +Erma:V to;t !Area
poukteuvei

   おぬしのためにヘルメースはアレースと
   拳闘をするのだ

667 Anth. Pal. 9. 26. 5s. = Antipater of Thessalonica xix 5s. Gow-Page

     kai; sev, Kovrinna,
qou:rin =AqhnaivhV ajspivda melyamevnan.

        そしておまえも、コリンナ、
   アテーナーの勢い烈しい楯を歌う者よ、

668 [Plut.] Mus. 14. 1136b (p. 117 Lasserre, vi 3. 12
 現にコリンナが謂っている、アポッローンはアテーナーから笛の吹き方を教授されたと。


669 Prisc. Inst. Gramm. i 36 (ii 27s. Keil)
 (アイオリス人たちが)言うには、qugavthr〔娘〕の代わりは、短音のouを保ってqougavthrである。あるいはむしろ、彼らはギリシア語の u を、ラテン語の u で発音する。これが o を付加する所以である。二重母音にするためではなく、アイオリス方言の u を示唆するためである。例えば、

kallicovrw cqono;V OuJrivaV qougavteir

   美しき踊りの地、ヒュゥリアの娘

 ヒュゥリアはボイオーティアの地方。ヒュゥリアの娘は、アンティオペーのこと。(Hes. fr. 181 M.-W., Steph. Byz. s.v. +Yriva)。


670 Schol. Ap. Rhod. 1. 551a (p. 47 Wendel)
 アルメニダス〔前5世紀頃〕は、『テーバイ誌』(F. Gr. H. 378 F1)の中で、アムピクテュオーンの息子イトーノスは、テッサリアで生まれた、イトーン市とイトーンに坐すアテーナーは彼に由来するという。アレクサンドロス(F. Gr. H. 273 F 97)も、『コリンナの覚え書き』第1巻の中で言及している。


671 Schol. Ap. Rhod. 3 1177-87a (p. 250s. Wendel)
 テーバイは、これを王支配したオーギュゴスにちなんで、オーギュギアと呼ばれる。コリンナは、オーギュゴスを、ボイオートスの息子としている。テーバイの諸部族も彼の血を引く。


672 Schol. Eur. Phoen. 26 (i 251 Schwartz)
 さらにまた一部の人たちは、彼(sc. オイディプゥス)の母は彼に殺害されたと謂う。彼はスピンクスを殺したばかりでなく、テウメーッソスの狐をも殺したと、コリンナはいう。

 テウメーッソスはボイオーティアの村。通説では、ケパロスが、アムピトリュオーンへの義理から、狐を殺したことになっている。


673 Schol. Nicand. Ther. 15 (p. 5 Keil, p. 41 Crugnola)
 たいていの人たちは、オーリーオーンはタナグラの出身だと謂う。コリンナは、彼は敬虔このうえなく、多くの場所を歴訪し、開拓して、諸々の獣からきれいにしたと言う。


674 Gramm. anon. ed. Erenolff, Philol. 59 (1900) 249
 Qespeiaは、オーロス〔450年頃の正字法学者〕は、語尾から第三音節に鋭アクセントがある規則(proparoxutovnon kanwvn)にしたがって、二重母音 ei で書く。しかしヘローディアノスはその『ホメーロス詩型論』(cf. i 280, ii 520 Lentz)の中で、i で書く。pi という音節は、コリンナの作品においてのように、短いことが見出されるからである。

Qevspia kalligevneqle filovxene mwsofivleite.

   テスピア、美しき生まれの女、客を愛するひと、ムーサに愛されるひと。

675 Heph. Enoch. 16. 3 (p. 57 Consbruch)
 同様に、グリュコーン風詩体については、次のような文体も、例えばコリンナの詩(fr. 655 i 2-5)の中にあらわれる、また次のようなのも(fr. 655 i 15)。さらにまた、彼女はもっと数多くの文体を用いる。

(a) dwvratov w{st= ejp= i{ppw
   馬上のごとく屋上にまたがり〔Cf. Od. 5. 371.〕
(b) kata; me;n brimouvmenoi
   ……に対して鼻息も荒く
(c) povlin d= e[praq= oJ me;n profaneivV
   そして彼はめざましく都市を掠奪せり
(d) gloukou; devtiV a[dwn
   そして甘き声で歌いかけ
(e) pelevkessi doni:th
   斧を振るわれ

676 Epim. Hom. (Anecd. Oxon. i 172 Cramer; cf. i 160)
 前置詞ejVは、ボイオーティア方言の前置詞ejxとも一致する。

(a) ejV Mwsavwn

   ムーサたちの中から

ejk Mousw:nの代用である。母音が続く場合は、二重のssという形をとる。

(b) ejssavrci ptolevmw

   戦争が始まる

677 Ap. Dysc. Pron. 96a (i 75 Schneider)
 teu:V〔=sou:〕これも明らかにボイオーティア方言である、次のように、

teu:V ga;r oJ kla:roV.

   この籤はあなたのもの

678 Ap. Dysc. Pron. 122b (i 96 Schneider) 〔二人称複数属格(uJmw:n)について〕
 アイオリス語でuJmmevwn(Alc. 391)……ボイオーティア語でouJmivwn

to; dev tiV ouJmivwn ajkousavtw,

   して、人をしてこのことをあなたがたから聞かしめよ

679 Ap. Dysc. Pron. 121c (i 95 Schneider)〔一人称複数属格hJmwnについて〕
 aJmwn。……同じくボイオーティア語では

aJmiw:n,

   わたしたちの

属格はaJmw:n

aJmw:n dovmwn

   わたしたちの家々

680 Schol. T Hom. Il. 17. 197b (iv 366s. Erbse)
 ghravVghravsaVの短縮形。uJpofqavV(Il. 6. 291) ejpiplwV(Il. 7. 144)も同じ。コリンナも。

brontavV

   雷鳴がとどろいて

bronthvsaVの代用。


681 Ap. Dysc. Pron. 106b (i 82 Schneider)
 次の形もある。

eJi<n

   彼に

アンティマコス(fr. 92 Wyss)やコリンナの作品ではei<n〔あなたに〕が原形。〔与格同様〕目的格で使われるときもある。


682 Ap. Dysc. Pron. 95a (i 74 Schneider)

ejmou:V

   わたしの

という形は、シュラクゥサイ語とボイオーティア語とに共通なことは、コリンナもエピカルモス(fr. 144 Kaibel)も使っているとおりである。一部の人たちにとっては、sのない形よりも適正であると思われた。


683 Choerob. in Theodos. Can. (i 80 Gaisford) = Anecd. Gr. iii 1381 Bekker (Hdn. i 44, ii 742 Lentz)

qra:nux

   椅子

属格qravnukoVは、王座(qrovnoV)の意味で、コリンナの作品で。


684 Theodos. p. klivs. tw:n eijV -wn barutovnwn: Excerpta Hdn. p. 18 Hilgard
 Lavdwnという語は、アンティマコス(fr. 34 Wyss)によって、wをつけたまま〔属格〕変化させられた〔i.e. LavdwnoV〕。しかしながらコリンナは、ntをつけて、分詞のように変化させた〔i.e. LavsontoV〕。例えば、

LavdontoV donakotrovfw

   葦の養い親、ラードーン河の

 テーバイのイスメーノス河のもと名前(Paus. 9. 10. 6)。


685 Hsch. T 1123 (iv 164 Schmidt)

tovnqwn`

   背の肉

コリンナの作品にある。動物の背の肉の名称である。


686 Athen. 4. 174f (i 392 Kaibel)givgguraVというポイニキアの小笛について〕
 これ〔ギンギュラスという笛〕はカリス人たちも葬送の際に使っている。ただし、カリアもポイニキアと呼ばれないかぎりはね。コリンナやバッキュリデース(fr. 40 Snell)の作品ではそうなっているのを見つけ出すことができるのだが。


687 Heraclid. Miles. fr. 26 (p. 59 Cohn) (Eust. Od. 1654. 24; cf. Il. 824. 28, Anecd. Oxon. i 62 Cramer)
 同様にして、fravsswfravzwつまり「わたしは言う(levgw)」の代わりをする。ここからして抒情詩人コリンナは、

fravttw

ボイオーティア語法で二重のttを使って謂った。


688 Schol. Ar. Ach. 720 (p. 95 Wilson)
 ajgoravzeinとは、アッティカ方言でアゴラで暇つぶしすることの意。これがコリンナがピンダロスをアッティカ弁使いとして非難する所以である。彼が『パルテネイア』第1巻(fr. 94d Snell)の中でこの言い廻しを使っているからである。


689 Phrynich. Ecl. 280 (p. 90 Fischer)
 yiveqoV〔莚〕、MierovV〔汚れた〕u{eloV〔ガラス〕というふうにeを使って言う人々は誤りである。みっともないからである。コリンナもそうである。

to;n uJavlinon pai:da qhvseiV

   あなたはガラスを換えるでしょう(?)

 Frr. 690-694は、LobelとPageによって、「作者不明のボイオーティア詩とみなされた(P.M.G.)。Westは、コリンナの作であると確言する(C.Q. 20, 1970, 278 f.)

690 P.S.I. 1174, prim. ed. Coppola〔1世紀頃〕

2   ]autofone . [
    自分の手を汚した殺人者よ
3  ] . kardivh sfadd . [
    心は、殺せと
4  ] . tonin` kpouvye d= . [
    そこで彼は隠した
5  ] . d= e[dwke dwr= e[
    そこで彼は贈り物を与えた
6  ]n puri; e[khon hda[ . ]t[
    火で〔彼らは〕焼いた
7  ] . santeV ejp= wjkoupovrw . [
    脚速き船に乗り来たりて

ORESTAS(オレステース)

  !A]aV me;n wjkianw: lipw:-
  sa p[aga;V] iJaro;n favoV
  selavnaV <s>pavsa[t= wjran]w:`
  $Wrh d= ejV Dio;V ajmbrovtu
5  [nivonq]h ϜevaroV ejn a[nqesi<n>,
  gevga[qen de; povnuV po]du:n
  coro;V ajn eJptapoukon [povlin.

   暁の女神さま、オーケアノスを後にして、
   月の聖なる光を凍結させてください。
   ホーラたちが、不死なるゼウスさまの館から
 5  春の花々の間に訪れるあいだ、
   そうすれば、合唱舞踏隊は、足の苦労を喜ぶでしょう
   七つの塔のある街で……

 テーバイのアポッローン祭であるdafnhforivaにおける少女たちの合唱舞踏のためにつくられたものであろう。(Loeb)


691 P. Oxy. 2371 (prim. ed. Lobel)〔200年頃〕

8  ] . e mou:qon` i&[
   神話を
9  ] . oteru tavci[sta
   できるかぎりすみやかに
10 ]ma, Eujw[noum-
   エウ[オーミュモス?
11 ]n !AreioV ajnti[
   アレースの……

692 P. Oxy. 2372 (prom. ed. Lobel)〔150年頃〕
fr. 1

2  ]n khjn galav[nh
   そして凪が
3  ko]uvneV` hji;n o{te[
   犬たちが……。いつも……ときは
4  ]de qalavttaV [
   海の
5  ]tan koup . . . [
6  ]no . g= a[neu hj[
   ……なしに
7  ]evnhen aJd= ejp[
   彼女は住んだ
8  ] . x ejp= a[nqi[a
   花々のために
9  ]lipow;n ept[
   彼は後にして
10 ] . . h tovde Ϝ[
   これこそが……
fr. 2 (a)
  ia(titulus)
1  ]u parqevnu kovrh[
   処女の娘たちが
2  Kafi]so;n eu[dendron [
   樹木生い茂るケーピソス〔ボイオーティアの河〕
3  w]n ouJp= omfa:V kou:foV [
   足取り軽く声に合わせて
4  li]gou; de; mevlyon[q . ] [
   声すずやかに彼女らは歌うでしょう
5  ]n filovmolpon
   歌を愛するもの
frr.3, 4
1  Kafi]so;n eujrou; [rJevonta
   広やかに流れるケーピソス
3  ]eujrou; gavnout= av . [
   広やかに……喜んだ
4  f]revnaV` a[g= ajnti; tovu , [
   心臓を……。いざ、……の代わりに
5  ]rJoqiwn kata[ . ]eruvki[
6  ]parqevnon evi e;n[
   処女
7  ai= e[cqsa . [
   彼女は持って
8  ]w:nai&stw:[
9  ]ejnqi enid[
fr. 5(a),(b)
2  ]n g= eJkata
   ヘカテー? 3  ] . . ejskouvlixe
4  Melav]nippoV livon[
   メラニッポス……ライオン
5s.  ]fileipovle | [mo-
   戦争を愛するもの
6  kalo;n we[gcoV[
   美しい槍
7  ]avw diav t= ojg-[
   [大洋の門]を通り抜けて
fr. 6
1  a[]mibeg` ch:r= w\ Pol[ouvnikeV
   彼は答えた。ご機嫌よう、おお、ポリュニケース
2  ]uma kat= ejscatia . [
   国境に住んでいる者たちのうち
3  nevm]onqh fivltatev[
   親愛な方よ
4  ]perivfrwn m v.[
   賢い人
5  ]ajmeivbeto l[
   彼は答えた
fr. 7
3  oJ]muvwn p[
   思い出して
4  ]an e[ssocon eJ . [
   すぐれて
5  ] . a[ ]aV aujt: lipw;n pra[
   そこを後にして
7  ]n ajndr[avsi]n` te[uv]cia d= ejss[
   戦士たちの方へと……武器は
8  ]devninh[ ] . m . [ ] . agaq[
   善い
9  m]evgan ejn[  ] .
   大いなる
fr. 8
1  =A]povllwno[
2  ]a numfa:n` w\ .
   ニンフを……。おお、
4  ]a sovfwn [
   賢者
fr. 9
2  mig]nouth` d[
   彼女は交わって
3  e]ujdhmwn
   幸せな
fr.20
3  Polun[ik
   ポリュネ[イケース
4  Kal[liovpaV
   カッ]リオペーを
fr. 22
3  P]olunivk[
   ポリュネイケース
fr. 33(schol.)
4  ] . uV eleusetai[ ]ai autoV egw[
   彼は来るだろう……わたし自身は……
7  ]aiV kosmhsw to . [
   飾りましょう
11 ]euporhson . [
12 ]n ai&sma[ ]ata ton elikw[n-
   歌……ヘリコーンをくだり
fr. 36
2  ligouf[wn-
   声さやけき〔ムーサたち?〕
3  Qiomaciva(titulus)
   『神々の戦い』
4  Mu:sav m[u
   ムーサが
5  Deuxivp[pa (titulus)
   『デウクシッペ』   アタマースの娘、アポローンとの間にプトウスを生む。

693 P. Oxy. 2373 (prim. ed. Lobel)〔2ないし3世紀頃か?〕
fr. 1

2  ]en eujanem[
     穏やかな風をうけ
3  melig[avroui fwn[h:
     蜜の調べの声で
4  ]profwste
     かつていかに歌ったか
7  pwV pok= ajud[
13 e]ujrou; porf[ur-
14 ]d= ejp= Eujrivpuo [
     エウリポス
17 ]pwn =Oloump[
     オリュムポス
19 ]ete deur= oJmei[rivwsh
     ここに来たれ、交わりをなすため
fr. 2
2  kativ]gneitoV` o}V meta [
     ……兄弟。彼は……とともに……
4  (e)geg]avqi coruV
     合唱舞踏を愉しんだ。
5  ]ith pri;n ga [
     ……前に……
6  ]pikin o{don para [
     道を……
fr. 3
2  ]a . [ . ] mastovV` [
     胸
3  ]poloi sam . [
     付き添い?
4  ]qalama . [
     房室
fr. 5(a)
2  dolep[
     狡猾な
3  kalwV . [
     美しく
8  aϜuvdimoV k[
     歌に名高い
9  kh; mevga qo[
     そして大いなる……
10 ] . on` eujdhm[
     幸いなる
12 ]pavnth pa[
     いずこなりとも
 (c)
6  ] . aji&m[
     ……歌……
8  ]eli[
     [へ]リ[コーン]

694 P. Oxy. 2374 (prim. ed. Lobel)〔2世紀末頃〕
fr.1

  kh . [       pt]oi:on o[roV k[
     そして、プトイオス山は……
  kh . [     ] . =AqanhvaV[
     そして、アテーナーの
5  kh . [     ]prwterika[
  kh . [    Gavr]gara skiiov[enta
     蔭濃きガルガラ山〔ゼウスの神域を持ったトロアスの山〕は
  i{xon[qh     =H]givdao qo[
     彼らは来るだろう……アイゲウスの息子たちの……
fr. 2
3  o]uJp= ajntelia:[n
     日の出の方に
4  ] . dhvon Ϝukt[
     敵意を持った……
6  ]an ajpevkoy[an
     彼らは切り取った
7  ]mivstoullan qo[
     彼らは〔肉を〕刻んだ
fr. 6(a)
2  ]oregon p[
3  t]uvg= ou{dreuo[n
     彼らは水を引き
4  ]kh, st[o]naca[
     不平をこぼしながら
5  ]e kavrmoV id
fr. 7
2  ]karm[oV?
4  ]aV polivtaV [
     市民たちを
5  ]mad= uJmwga:V[
6  ] . i kwvraV [
     乙女たちを
7  ]n =Olump[
     オリュムポス
fr. 9
2  Euj]eirivda co . [
     エウエレースの息子……
3  ]la Ϝevrga[
     功業を
fr.11
4  ]w{V pok= .[
   かつて
5  t]h:n qih:[n
   二人の女神の
6  ]deur= i[q[i
   ここに来たれ
fr. 13
2  =Erouv[qroV?(titulus)
   エルゥ[トゥロス?〔題名〕

MISCELLANEA(雑)

695 (a) Ap. Dysc. Pron.
 64b
  ボイオーティア方言で<iJwvn>〔1人称主格(ejgw)〕;
 69c
  ボイオーティア方言でtouv kai; touvn kai; touvga〔二人称主格(suv)と小字のついた形〕;
 106a
  (oi|〔三人称与格〕)は、ボイオーティア方言で……Ϝu:に変化する;
 111c
  (nw:i=nw:e〔一人称の双数の主格と対格〕)は、ボイオーティア方言からteが証拠立てられる。oiを採ってnoivとは決してならないからである。
 135a
  (teovV〔二人称所有格(sovV)〕)は、この言い廻しのためにeeに変化させる〔つまり、tiovVとなる〕。

(b) Pap. Bibl. Univ. Giss. 40: vid. Simon. test. 18 n. 2

(c) Hsch. G 65, 70-72
 gakevaは、hJdevwV〔快適に〕;
 gakouvhJduv, glukuv〔快い、甘い〕;
 gakouvdiaは、hJduvsmata〔諸々の薬味〕;
 gakoupwvnhVは、hJdupovthV〔飲み助〕


695A P. Oxy. 2438 col. ii
 コリンナや他の女詩人たちによれば、(sc. ピンダロスは)スコペリノスの息子であるという。



forward.GIFテレシッラ