サッポー Sapfwv

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サッポーの詩作品(1/4)

〔Frr. 1-117 は、サッポーの書に配される。すなわち、1-42 は第1巻、43-52 は第2巻、53-57 は第3巻、58-91 は第4巻、92-101 は第5巻、102 は第7巻、103 は第8巻、104-117 は婚礼祝歌である。Frr. 118-168 は、いずれの巻にも割り当てられないので、アルファベット順に配列されている。169-192 は孤立した詩句で、アルファベット順に配列されており、193-213 は、サッポーの詩のさまざまな詩行の内容についての情報を与える。〕

1 D. H. Comp. 23 (vi 114ss. Usener-Radermacher) (+ P. Oxy. 2288〔2世紀頃〕)
 この結合調和(sc. 洗練されて華麗な文章)の典型を挙げよう、わたしは詩人たちの中からはサッポーを、弁論家たちの中からはイソクラテースを選びだす。そこで抒情詩からはじめよう。

poikilovqron= ajqanavt= =Afrovdita,
pai: DivoV dolovploke, livssomaiv se,
mhv m= a[saisi mhd= ojnivaisi davmna,
povtnia, qu:mon,

ajlla; tuivd= e[lq=, ai[ pota kajtevrwta
ta;V e[maV au[daV ajivoisa phvloi
e[klueV, pavtroV de; dovmon livpoisa
cruvsion h\lqeV

a[rm= ujpasdeuvxaisa` kavloi dev s= a\gon
w[keeV strou:qoi peri; ga:V melaivnaV
puvkna divnnenteV ptevr= ajp= wjravnwi[qe-
roV dia; mevssw,

ai\ya d= ejxivkonto` su; d=, w\ mavkaira,
meidiaivsais= ajqanavtw/ proswvpw/
h[re= o[tti dhu\te pevponqa kw[tti
dhu\te kavlhmmi,

kw[tti moi mavlista qevlw gevnesqai
mainovla quvmw/` tivna dhu\te peivqw
a[y s= a[ghn ejV ͵a;n filovtata ~ tivV s=, w\
Yavpf=, ajdikhvei ~

kai; ga;r aij feuvgei, tacevwV diwvxei`
aij de; dw:ma mh; devket=, ajlla; dwvsei`
aij de; mh; fivlei, tacevwV filhvsei
kwujk ejqevloisa.

e[lqe moi kai; nu:n, calevpan de; lu:son
ejk merivmnan, o[ssa dev moi tevlessai
qu:moV ijmevrrei, tevleson` su; d= au[ta
summacoV e[sso.

  彩り豊かな玉座におられる女神アフロディーテー
  策略を綯(な)うゼウスの娘御、あなたに祈ります
  悲しみと苦しみで私の心を
  つぶさないでください、女神様

   どうぞ私のもとに来てください
  以前にも他の時に、私の願いを遠くで聞いて
  黄金造りの父の館を去り
  来てくださったことがあるならば

   あなたが車に乗られると美しい鳥たちが
  黒い大地へと車を曳いてきた
  翼を強くはばたかせ
  大空から天と地の間を通り

   たちまちここに着かれて、尊い女神よ
  不死の御顔に微笑みを浮かべ
  あなたは問いかけられた
  今度は何が起こったのか、何故呼ぶのかと

  憑かれた心の私が何をして欲しいとそんなに望むのか
  「今度は誰なのサッフォー
  お前を恋するようにさせるのは
  誰がお前を傷つけるの

  もしその娘が逃げているのなら、まもなく追うようになるでしょう
  もし贈物を拒むなら、自分から贈るようになるでしょう
  もし恋していないなら、まもなく恋するようになるでしょう
  たとえそれを望まなくても」

  今すぐ私のもとへ来てください。辛い憂いから
  私を救ってください。私の心がかなえたいと
  憧れる願いをかなえてください
  どうか私に加勢してください
             (古澤ゆう子訳)

 この章句の巧みさと雅趣は、結合調和の緊密さと円滑さに係っている。それはすなわち、すべての名辞が、字句の自然な近親性と連繋とでもいうべきものによって、相互に織り合わされているためである。

 2世紀頃のパピルス断片は、1-21の詩行の切れ端を与えている。Hephaestion はサッポー風スタンザを説明するためにこの詩を用いている。この詩は、おそらく、第1巻の冒頭を飾ったろう。


2 Ostracon Flor. (prim. ed. M. Norsa, Ann. R. Scuola di Pisa vi, 1937, 8 ss.)

deu:ruv m= ejk KrhvtaV ejp[i; tovnd]e nau:on
a[gnon, o[pp[a toi] cavrien me;n a[lsoV
maliv[an], bw:moi de; tequmiavme-
noi [li]banwvtw/`

ejn d= u[dwr yu:cron kelavdei di= u[sdwn
malivnwn, brovdoisi de; pai:V oj cw:roV
ejskivast=, aijqussomevnwn de; fuvllwn
kw:ma katevrrei`

ejn de; leivmwn ijppovbotoV tevqalen
hjrivnoisin a[nqesin, aij d= a[htai
mevllica pnevoisin [
[     ]

e[nqa dh; su; . . . . .evloisa Kuvpri
crusivaisin ejn kulivkessin a[brwV
ojmmemeivcmenon qalivaisi nevktar
oijnocovaison

 いざ、こなたへ、クレーターを立ち出でたまい、
 この聖らなる神殿へとわたらせたまえ、こなたには
 おんみがためのうるわしき林檎樹の杜ありて、
 祭壇は乳香にくゆり立つ

 こなたには、林檎樹の小枝縫うて清冽なる流水さざめき、
 神域は隈なく薔薇の樹のほのぐらき蔭なし、
 さざめきゆれる木の葉つたって、
 熟睡は滴り落つ

 こなたには、牧の原ありて駿馬ら牧草をはみ、
 春の花々いちめんに咲きそうて、
 ここちよき微風はのどやかに
 吹きわたる
 […〔欠損〕…]

 ここにこそ、キュプリスよ、……を取らせたまい、
 手つきもいともみやびに、黄金の杯へ
 祝祭のよろこびまじえた神酒を
 注がせたまえ
             (沓掛良彦訳)

 この詩は、deu:ruv m=から始まる必要はない。陶器には、これの前にranoqenkatiou[, とある。「天からくだりきて」あるいは「山頂からくだりきて」の意か?

Hermog. Id 2. 4 (p. 331 Rabe)
 〔sc. 諸々の快楽のうち〕醜くないもの、例えば、場所の美しさとか、さまざまな植物とか、さまざまな流れとか、その他諸々を言表するのは簡単なことである。というのは、こういったものらは、目にされると眼に、告げる者があれば耳に、快楽をもたらすからであり、それはあたかもサッポーが、「冷たい水のまわりに、林檎の枝を通してさらさらながれる」とか、「ふるえる葉から眠りが流れくだる」とか、これらの前や後に述べられているかぎりの〔章句を述べている〕ように。

Athen. 11. 463e (iii 9s. Kaibel)
美しいサッポーも、

          ejlqev, Kuvpri,
crusivaisin ejn kulivkessin aJbrw:V
summemigmevnon qalivaisi nevktar
oijnocoou:sa

      来たれ、キュプリスよ。
 黄金の杯に、みやびやかに
 祝祭のよろこびまじえた神酒を
 注ぎつつ

これなるわたしの仲間たちとあなたの仲間たちに。

 最後の1行も詩中に含まれるかもしれない。


3 P. Berol. 5006 (vv. 1-10)〔7世紀頃羊皮紙〕+ P. Oxy. 424 (vv. 6-18)〔3世紀頃パピルス〕

   ]dwvshn

  kl]uvtwn mevnt= ejp[ 
   k]avlwn ka[slwn, s[ 
  toi;V fiv]loiV, luvphV tev m[e
5    ]m= o[neidoV

    ]oidhvsaiV . ejpit . [ 
    ].van, a[saio . to; ga;r n[ovhma
  tw\]mon oujk ou[tw m[ 
9     ]diavkhtai,

      ]mhd[  ] . aze,[
     ]ciV, sunivhm[i
     ] . hV kakovtato[V
13     ]men

     ]n ajtevraiV me[
     ]h frevnaV, eu[[
     ]atoiV mavka[aV

  1  授けるために……

    音に聞こえた……
     美しくも気高き……
    友たちに……、おまえはわたしを苦しめ……
  5 ……わたしを叱る……

     おまえは思い上がり……
    おまえは満たした。なぜならわたしの心は……
    そういうふうではなく……
  9  ……気にさせられ、

     …………
    わたしは理解した
    悪について……
  13 …………

     他方の女たちに……
    心を……
    ……浄福な女神たちを……

4 P. Berol. 5006〔7世紀頃羊皮紙〕

   ]qe qu:mon
    ]mi pavmpan
   ]duvnamai,
4   ]

    ]aV ken h\ moi
    ]V ajntilavmphn
     ]lon provswpon
8     ]

    ]gcroi<sqeiV
     ]'[..]roV

    心を……
     完全に……
     わたしはできます、
  4  …………

     わたしに
     照り返す
      顔
  8   

     抱きしめました
      …………

5 P. Oxy. 7 + 2289. 6〔3世紀頃パピルス〕

  Kuvpri kai;] NhrhvideV ajblavbh[n moi
  to;n kasiv]gnhton d[ov]te tuivd= i[kesqa[i
  kw[ssa ͗]oi quvmwi ke qevlh gevnesqai
4 pavnta te]levsqhn,

  o[ssa de; pr]ovsq= a[mbrote pavnta lu:sa[i
  ka;iv fivlois]i ͗oi:si cavran gevnesqai
  kwjnivan e[]cqroisi, gevnoito d= a[mmi
8 ph:m= e[ti m]hd= ei\V`

  ta;n kasig]nhvtan de; qevloi povhsqai
  e[mmoron] tivmaV, [ojn]ivan de; luvgran
       ]otoisi p[av]roiq= ajceuvwn
12        ] . na

         ] . eisai<w[n] to; kevgcrw
         ]l= ejpag[oriv]ai polivtan
         ]llwV[ . . . ]nhke d= au\t= ouj
16         ]krw[ ]

         ]onaik[   ]eo[   ] . i
         ] . . [ . ]n` su; [d]e; Kuvp[r]i s[evm]na
    ]qem[evn]a kavkan [
20           ]i.

    キュプリスさま、また]ネーレーイスたち、
    わが兄上を、つつがなくこなたへ還らせたまえ。
    して、兄上が心に希うものは、なにとても
   4 成就せしめたまえ。

    兄上がそのかみの過誤をすべて償い、
    信じあう朋友らには、ふたたび喜びとなり、
    敵対う者らには苦悩となりますように。誰ひとりわれらの
   8 [敵となりませぬように]

    また、妹には名誉もたらそうとの心を
    わが兄上にいだかせたまえ、
    以前のつらき懊悩より救いて
  12 …………

    兄上が、ここな都邑人らの
    口端にのぼるうわさ耳にすれば
    顔もあからむべきに。して、二度とふたたび
  16 よりみじめなる[苦境に]……

    いまはさて、キュプリスさま、
    [以前の憎みたもう御心を]すてたまいて、
    [兄上を]まがまがしき[苦難より]
  20 [救わせたまえ]
               (沓掛良彦訳)

 この詩は5スタンザで構成されていたらしい。サッポーの兄とロドーピスについてはtestt. 1, 14-16, frr. 15, 202. を見よ。


6 P. Oxy. 2289 fr. a (a)+(b)〔2世紀頃パピルス〕

  wjV da.[
    kakk[

  atri[
  kta.[
5 .].[
    qa[

7 ste:c[e
  wjV i[dw[men
  ta;V ejt.[
10 povtnia. [d= Au[wV

  crusovp[acuV
  kappo[
  .anm[
  ka:ra . [
15  ].[

    7 お行きなさい
    8 そうすれば、わたしたちは目にするでしょう
   10 曙の]女神さま
   11 黄金の腕した
   14 運命が

7 P. Oxy. 2289 fr. 2〔同上パピルス〕

Dwriv]caV . [.....] . [
    ]khn kevlet=, ouj ga;r[
3   ]aiV

    ]kavnhn ajgerwciva[
   ]mmen= o[an nevoisi
   ] . an f[i]l[......] . [
7   ma . [

     ドーリカ〔test. 14, fr. 202.〕……
     ……命じてください、……ないのですから
   3 ……

     ……尊大さを……
     ……若い人たちに対してのように
     ……親愛な……
   7 …………

8 P. Oxy. 2289 fr. 3〔同上パピルス〕

 3  [A]tqi` so .

   アッティス〔test. 2.〕、あなたに……

9 P. Oxy. 1231 fr. 1 col. i 1-12 + fr. 3〔同上パピルス〕

  p]arkaleioitase . [
   ]pan oujkech[
3  ]er ejovrtan

   ]man [[H]rai tele[
     ] . wnevm[
     ] . . a\V a[ . [
7    ]usai  [

      彼〔彼女?〕を呼び出し……
      ……完全に……
  3   ……祭を……

     ……ヘーラは……完成する……
     ……わたしが
     生きてあるかぎり……
   7  …………

10-14〔欠番〕


15 P. Oxy. 1231 fr. 1 col. i 1-12 + fr. 3〔2世紀頃パピルス〕

           ]a mavkai[ra
           ]euplo . `[
           ] . atoska[
4          ]

  o[ssa de; pr]ovsq=[ a[m]brote kh:[na lu:sai
      ]ataiV[ ]nem[
    su;n ]tuvcai lvm[ ]eoV kl[
8      ] . [

  Kuv]pri ka[iv s]e pi[krotavt]an ejpeuvr[oi,
  mh]de; kaucavs[a]ito tovd= ejnnev[poisa
  D]wrivca, to; deuv[t]eron wjV povqe]nnon
12  eijV] e[ron h\lqe.

     浄福なる[〔女神さま〕
     …………
     …………
   4 …………

     彼がそのかみの過誤をみな償いますよう〔Cf. 5. 5.〕
     …………
     僥倖を得て入港し
   8 …………

     キュプリスさま、〔あの女が〕あなたさまをこのうえなくつれないかたなのを見出しますよう、
     そしてあの女、ドーリカが、こんなことをほざいて自慢しませんように、
     〔わが兄が〕つのる慕情に堪えかねてまたしても
   12 恋人のもとにやって来た、などと。

16 P. Oxy. 1231 fr. 1 col. i 13-34, col. ii 1〔同上パピルス〕 + 2166(a) 2 (Ox. Pap. xxi p. 122)+P.S.I. 123. 1-2

  o]i me;n ijpphvwn strovton oij de; pevsdwn
  oij de; navwn fai:s= ejp[i] ga:n mevlai[n]an
  e[]mmenai kavlliston, e[gw de; kh:n= o[t-
4  tw tiV e[ratai`

  pav]gcu d= eu[mareV suvneton povhsai
  p]avnti t[o]u:t=, aj ga;r povlu perskevqoisa
  kavlloV [ajnq]rwvpwn =Elevna [to;]n a[ndra
8  to;n [panavr]iston

  kall[ivpoi]s= e[ba =V Troi<an plevoi[sa
  kwujd[e; pa]i:doV oujde; fivlwn to[k]hvwn
  pav[mpan] ejmnavsqh, ajlla; paravgag= au[tan
12       ]san

         ]ampton ga;r ]
        ] . . . kouvfwV t[   ]ohs[ . ]n
    . . ]me nu:n =Anaktoriv[aV oj]nevmnai-
16  s= ouj] pareoivsaV`

   ta:]V ke bolloivman e[ratovn te ba:ma
   kajmavrucma lavmpron i[dhn proswvpw
   h] ta; Luvdwn a[rmata kajn o[ploisi
20  pesdom]avcentaV.
  この詩はここで終わる。その場合、以下の3つのスタンザは、完全な詩を形成する。

     ] . men ouj duvnaton gevnesqai
22     ] . n ajnqrwp[ . . . p ]edevchn d= a[rasqai
・ ・ ・
32  t= ejx ajdokhv[tw.

    ある者は騎馬隊が、ある者は歩兵隊が
    またある者は艦隊がこの世で一番美しいという
    しかし私は愛する者が一番美しいという

    誰にでもたやすく解ること
    女のなかで美においてたちまさっていたへレネーが
    最もすぐれた夫を捨てたのは

    トロイアへと船で去り
    子供のことも親しい親のことも考えようとしなかった
    キュプリスが愛によって彼女を誘ったのだ

     女神は人の心を撓め
    容易に人の思いを惑わせる
    そしていまも私に遠くのアナクトリアを思わせる

    彼女の軽い足取りと明るい面の輝やきを
    私は目にしたいものだ
    リュディアの戦車や青銅の武具持つ兵士よりも
                    (古澤ゆう子訳)

17 P.S.I. ii 123. 3-12 + P. Oxy. 1231 fr. 1 col. ii 2-21〔同上パピルス〕 + 2166(a) 3 (Ox. Pap. xxi p. 122) + 2289 fr. 9

  plavsion dhv m= [eujcomevnai faneivh,
  povtni= #Hra, sa; c[arivessa movrfa,
  ta;n ajravtan =At[rei<dai     klh:-
4  toi basivlheV`

  ejktelevssanteV m[avla povll= a[eqla,
  prw:ta me;n pe;r !I[lion, e[n te povntwi,
  tuivd= ajpormavqen[teV oi[don peraivnhn
8  oujk ejduvnanto,

  pri;n se; kai; Div= ajnt[ivaon kavlessai
  kai; QuwvnaV ijme[roventa pai:da`
  nu:n de; k[a[moi prau&mevnhV a[rhxon
12  ka;t to; pavl[aion.

  a[gna kai; kav[la
  p]arq[en
15  aj]mfi. [

19  e[mmena[i
20  i\]r= ajpivke[aqai.

    いざ、わがもとに、祈りまつるわれに、現れたまえ、
    ヘーラーの女神よ、御身の優雅なる姿を現したまえ
  4  アトレウスの裔なる誇り高き王らが捧げし女神よ、

    かの王らは、大いなる功業をたてたりき、
    まずイーリオンにありて、また海原にて]
    こなたの地〔レスボス。Od. 3. 130 ff.〕へと航海に出でしが、
    かなわざりき、

    御身と、祈りに応えるゼウスと、テュオーネーの
    [愛らしき子〔ディオニューソス〕]とを呼びたてまつるまでは。
    このたびは[われに恵みをたれ、
    力を添えたまえかし]
  12 そのかみの例にならいて。

    きよらにして美しき……
    乙女ら……
  15 ……をめぐりて

  19 あらせたまいて……
  20 神殿に帰らせたまえ。     

18 P. Oxy. 1231 fr. 1 col. ii 22-27 (vi versuum initia)〔同上パピルス〕

  <p>avn ked[
    あらゆる……だろう
  <ej>nnevphn[
    言うこと
  glw:ssa m[
    わたしの舌
4  muqologh:[sai
    物語る

  ka\ndri .[
    男
  mesdon[
    より偉大な

19 P. Oxy. 1231 fr. 2 (ix versuum frr.)〔同上パピルス〕

2   ]menoisa[
   待機して
   ]q= ejn quvoisi[
   供儀に際して
   ]e[coisan e[sl[
   善きものを持った〔女〕
6   ]eij de; baisa[
   もしも行くなら
   ]uj ga;r i[dmen[
   なぜならわたしたちは知っていますから
   ]in e[rgwn[
   仕事の
10  ]d= ujpivssw[
   これからは
   k]ajpikud[
   〔キュドロー〕の方に
   ]tod= ei[ph[
   これを言う

20 P. Oxy. 1231 fr. 9〔同上パピルス〕 + 2166(a)4A (Ox. Pap. xxi p. 122)(xxiv versuum frr.)

1   ]epiqesma[
   ]e gavnoV de; kai . . [
   ]
4  ]t]uvcai su;n e[slai,
  liv]menoV krevthsai,
  g]a:V melaivnaV,
   ]
8  ]evloisi nau:tai
   ]megavlaiV ajhvtai[V
  ]a kajpi; cevrsw
   ]
12 .v]moqen plevoi .[
   ]de ta; fovrti= eijk[
   ]natim= ejpei; k .[
   ]
16  ]revonti povllai[
     ]aidevka[
     ]ei
     ]
20  ]in e[rga
   ]cevrsw[

21 P. Oxy. 1231 fr. 10〔同上パピルス〕

          ] . epabolhs[
          ] and= o[lofun [ . . . . ]e .
          ] tromevroiV p . [ . . ]alla
5          ]

           ] crova gh:raV h[dh
            ]n ajmfibavskei
             ]V pevtatai diwkwn
9             ]

             ]taV ajgauvaV
             ]ea, lavboisa
             ]a[eison a[mmi
13  ta;n ijovkolpon.

             ]rwn mavlista
              ]aV p[lavnatai]


22 P. Oxy. 1231 frr. 12, 15〔同上パピルス〕

        ]bla .[
        ]ergon, . . l= a . . [
         ]v rjvqoV dokim[
4         ]hsqai

         ]n aujavdhn c . [
       aij d]e; mhv, ceivmwn[
       ] . oisanalgea . [
8        ]de

  . ] .e . [ . . . . ] . [ . . . k]evlomai s= aj[eivdhn
 Go]gguvlan [!Ab]anqi lavboisan aj . [
 pa:]ktin, a\V se dhu\te povqoV t . [
12 ajmfipovtatai

  ta;n kavlan` aj ga;r katavgwgiV au[ta[V s=
  ejptovais= i[disan, ejgw; de; caivrw`
  kai; ga;r au[ta dhvpo[t=] ejmevf[et= a[gna
16  K]uprogevn[ha,

  wjV a[rama[i
  tou:to tw\[poV
  b]ovlloma[i

     

23 P. Oxy. 1231 fr. 14〔同上パピルス〕

         ]e[rwtoV hjlp[
2       ]

   wjV ga;r a[n]tion eijsivdw s[e,
  faivnetaiv m= oujd=] =Ermiovna teauv[ta
  e[mmenai,] xavnqai d= =Elenai s= ejivs[k]hn
6  oujd= e]n a[ei]keV

   ] . iV qnavtaiV, tovde d= i[s[qi] ta;i sa:i
   ]paivsan kev me ta;n merivmnan
   ]lais= ajntid[ . . ]'[ . ]aqoiV de;
10                ]

              drosoven]taV o[cqoiV
              ]tain
              pan]nucivs[d]hn

   恋の……希望をもった……
   …………

    というのは、わたしはあなたの顔を面と向かって見ます
   ヘルミオーネーでさえ、あなたほどには見えませんし、
   あなたを金髪のヘレネーに比べることさえ、
   不穏当とは見えません。

       

24(a) P. Oxy. 1231 fr. 13〔同上パピルス〕 + 2166(a)7a (Ox. Pap. xxi p. 124)

          ]anavga[
      ] . [ ]emnavsesq= aj[
   k]ai; ga;r a[mmeV ejn neov[tati
4  tau:t= [ej]povhmmen`

  povlla [m]e;n ga;r kai; kav[la
   . . . h/ . [ ]men, poli[
   ajmme[ . ]oj[x]eivaiV d[

    …………
    あなたは想い出すでしょう
    というのも、わたしたちは若いとき
    こういったことをしたからです。

     多くの美しい事柄
    わたしたちは都市……
    わたしたちを鋭い……

(b) P. Oxy. 1231 fr. 17

2  z]wvom[en
   わたしたちは生きる
4   ]enant[
   反対に
6  t]ovlman
   敢行
7   ]anqrw[
   人

(c) P. Oxy. 1231 frr. 22 + 25

1   ] . evdafo]
   基礎
6  l]eptofwvn[
   小さな声の


25〔欠番〕


26 P. Oxy. 1231 fr. 16〔同上パピルス〕

          ]qamevw[
         o[]ttina[V ga;r
  eu\ qevw, kh:noiv me mav]ma]lista pav[ntwn
4       sivnonta]i
        ]ajlemavt=

11    ]an, e[gw d= e[m= [au[tai
12 tou:to suv]noida

    ……しばしば……
    というのは、
    わたしが親切にする人たちが、
    わたしを誰よりもひどく傷つけ
    ……無駄に……

    それはわたしも
    とくと心得たこと……

27 P. Oxy. 1231 frr. 50-54〔同上パピルス〕 + 2166(a)5 (Ox. Pap. xxi p. 123)

4   . . . ] . kai; ga;r deh; su; paviV pot[
   . . . ]ikhV mevlpesq= a[gi tau:ta]
   . . ] zavlexai, ka[mm= ajpu; twdek[
7  a[]dra cavrissai`

  s]teivcomen ga;r ejV gavmon` eu\ de[
  ka]i; su; tou:t=, ajll= o[tti tavcista[
  pa]r[q]evnoiV a[p[p]empe, qevoi[
11    ]en e[coien

       ]o[doV m[ev]gan eijV !Ol[umpon
13        aj]nqrw[p  ]aivk .[

 4  ……というのも、かつてあなたは子どもでした
   ……来て、この歌をうたってください
   ……
 7  なぜって、わたしたちは婿礼にでかけるところで、それは
   あなたもよく御存知のこと。さあ、一刻も早く
   乙女たちを婚礼の場へと送ってください。神々が
 11 ……もつでしょう

       ]大いなるオリュムボスに至る道は、
 13   ]人間の身には開けていないのですから……

28〔欠番〕


29(6a) P. Oxy. 1231 fr. 19〔同上パピルス〕 + 2166(a)4B (Ox. Pap. xxi p. 122)

 1  ]pepl[
    ローブ
 2  t]oi;[V] o[rmoiV
    首飾りに
 9  Govrgoi
    ゴルゴー〔Cf. test. 20, frr. 144., 213.〕

(24) P. Oxy. 2166(a)1

 3  G]uvrinnoi
    ギュリンノー〔Cf. 82(a), 90(1) iii 15.〕

30 P. Oxy. 1231 fr. 56〔同上パピルス〕 + 2166(a)6A

  nukt[ . . . ] . [  ]

     pannucivsdoi[s]ai[
  sa;n ajeivdoien f[ilovtata kai; nuvm-
 5  faV ijokovlpw.

     ajll= ejgevrqeiV hji&q[evoiV
   stei:c soi;V ujmavlik[aV, wjV ejlavssw
   h[per o[sson aj liguvfw[noV o[rniV
 9  u[pnon [i[]dwmen.

       夜

           乙女らは夜通し
     歌って過ごします あなたと
     胸にすみれの香ただよう花嫁との
     愛を

           でも、もうお起きなさい
     あなたの仲間の若人たちをお呼びなさい、
     さやかな声の夜鷺よりも
     わたしたちがもっと眠れなくなるように

31 'Longinus' de subl. 10. 1-3 (pp. 14s. Russell) + P.S.I. (v. fr. 213B)
 例えば、サッポーは、恋の狂気に伴う諸々の情感を、それに付随するものらから、またその真実そのものから、その都度取り出してくるのである。彼女はその徳をどこに証示するのか。それは、それら〔情感〕の最も高揚せるもの、また極度に激しいものを選び出し、相互に結び合わせる技法に手腕を発揮することのうちにある。

faivnetaiv moi kh:noV i[soV qevoisine[mmen= w[nhr, o[ttiV ejnavntiovV toi
ijsdavnei kai; plavsion a\du fwneiv-
saV ujpakouvei

kai; gelaivsaV ijmevroen, tov m= h\ ma;n
kardivan ejn sthvqesin ejptovaisen`
wjV ga;r e[V s= i[dw brovce=, w[V me fwvnai-
s= oujd= e]n e[t= ei[kei,

ajlla; ka;m me;n glw:ssa/vm=e[age, levpton
d= au[tika crw/: pu:r ujpadedrovmhken,
ojppavtessi d= oujd= e]n o[rhmm=. ejpirrovm-
beisi d= a[kouai,

k;d dev m= i[drwV kakcevetai, trovmoV de;
pai:san a[grei, clwrotevra de; poivaV
e[mmi, teqnavkhn d= ojlivgw =pideuvhV
faivnom= e[m= au[t[a/

ajlla; pa;n tovlmaton, ejpei;kai; pevnhta



 わが眼には、かの人は神にもひとしと見ゆるかな、
 君が向かいに坐したまい、いと近きより、
 愛らしうもののたまう君がみ声に聴き入りたもう
 かの人こそは、

 はたまた、心魅する君が笑声にも。まこと、
 そはわが胸うちの心臓を早鐘のごと打たせ、
 君を見し刹那より声は絶えて
 ものも言い得ず、

 舌はただむなしく黙して、たちまちに
 小さき炎わが肌の下を一面に這いめぐり
 眼くらみてもの見分け得ず、耳はまた
 とどろに鳴り、

 冷たき汗四肢にながれて、身はすべて震えわななく。
 われ草よりもなお蒼ざめいたれば、
 その姿こそ、わが眼にも息絶えたるかと
 見えようものを。

[されど、なべてのことは忍び得るもの、げにも……]
          (沓掛良彦訳)

 〔この詩人が〕魂、身体、耳、舌、顔色などのすべてを、まるでそれらが彼女自身から遊離した他者のものであるかのように一時に喚起しているさまに、あなたは驚嘆するのではないか。相矛盾する感覚を結び合わせつつ、彼女は身の凍る想いと身を灼く想いとを同時に味わい、理性を失っていると同時に正気の状態にある。というのも、彼女は恐怖にとりつかれているか、あるいはもはや死なんばかりの状態に置かれているからである。かかる表現を用いることにより、彼女は恋のただひとつの情感ばかりでなく、いくつかの情感のからみあった状態を描こうとしているのである。恋をしている者ならば、このような情感をすべて味わうのだが、サッポーの詩をとりわけ優れたものにしているのは、これらの情感のうち最も激しい昂まりを見せているものを選び、それらをひとつの統一体にまとめ上げている、という技法である。


32 Ap. Dysc. Pron. 144a (i 113 Schneider)
 アイオリス方言は、ajmmevteroVa[mmoV〔「われわれの」の意〕、u{mmoV〔「あなたがたの」の意〕、sfovV〔「彼(彼女)らの」の意〕という形を採る。サッポー。

ai[ me timivan ejpovhsan e[rga
ta; sfa; doi:sai

  わたしを誉れある身となさった方々〔ムーサたち?Cf. 193.〕が
  おのが業を贈りたもうて

33 Ap. Dysc. Synt. 3. 247 (ii 350 Uhlig)
 ……祈りを直叙する副詞〔例えばai[qe〕がある。

ai[qe e[gw, crusostevfan= =Afrovdita,
tovnde to;n pavlon lacoivhn

 黄金の冠いただくアプロディーテーさま、わたしは
 この運を引き当てられさえすればいいのです。

34 Eust. Il. 729. 20
 「照る月をめぐって」 (Il. VIII. 555)という詩句に、照りわたり、満ちわたった月を考えるべきでないことは注意すべきである。なぜなら、満月ならば、その光に気圧されて、星々はぼんやりと微かになろうから、サッポーがどこかで述べるように。

a[stereV me;n ajmfi; kavlan selavnnan
a]y ajpukruvptoisi favennon ei\doV
o[ppota plhvqoisa mavlista lavmph
ga:n

  星は 美しき月のあたりに
  きらやかな姿をひそめる
  満ちわたった光が
  陸にあまねく照りわたるとき。

[北嶋美雪訳]
  綺羅星も さやけき月のかたえに
   影をひそむる
  銀月の 大地にあまねく
   照りわたるとき

 Holt Okes, Ahrens は4行目にejpi; pai:san〔全(地)に〕を補う。

ajrguriva

 白銀の(光り)が

Iulian. Ep. 194, 387a (p. 264 Bidez-Cumont)
 サッポーは……月が銀色であって、そのゆえに他の星たちを視界から隠してしまうと謂っている。


35 Strab. 1. 2. 33 (i 60s. Kramer)
 詩人はフェニキア人のことを述べる際にシドンの名を挙げるが(sc. +OmhroV Od. 4. 83s.)、もしもこれがその部族の母市シドンだとすれば、……イーデーへと、ガルガロスへと着きたもうた(Il. 8. 47s.)と、おなじみの形容法を使っているのである。サッポーも、

そなたをキュプロスやパポスやパナルモスが[ひきとめる]
パポスはキュプロスの都市。パナルモスはおそらくシケリアの都市〔現在のパレルモ〕。

36 Et. Gen. (p. 31 Calame) = Et. Mag. 485. 41ss.
 アイオリスの作家たちはpoqevw〔「わたしは思い焦がれる」〕の代わりにpoqhvwを用いる。例えば、

kai; poqhvsw kai; mavomai
わたしは思い焦がれ、恋い焦がれます

37 Et. Gen. (p. 36 Calame) = Et. Mag. 576. 23ss.
 またアイオリスの作家たちは苦悩(ojduvnh)のことをstalagmovV〔「滴り」〕と言う。サッポー。

ka;t e[mon stavlacmon

  わたしの苦悩に

〔苦悩は〕滴り、流れるからである。

Et. Gen. (p. 25 Calame) = Et. Mag. 335. 37ss.
 というのは、アイオリス語では、二重のsszに転音する。ejpiplhvsswejpiplavzwになるからである。サッポー

to;n d= ejpiplavzont= a[nemoi fevroien
kai; melevdwnai

  わたしを謗る者を、風よ心配事よ
  さらってゆくがよい

38 Ap. Dysc. Pron. 127a (i 100 Schneider)
 アイオリスの作家たちは a[mme〔「わたしたちを」〕を用いる。

o[ptaiV a[mme

  そなたはわたしたちを燃え立たせる

サッポーが第1巻で。


39 Schol. Ar. Pax 1174 (p. 205 Dübner)
 リュディアの染料はすぐれている。……サッポーも

          povdaV de;
poivliloV mavslhV ejkavlupte, Luvdi-
on kavlon e[rgon

 足は
 多彩な沓で隠した、リュディアの美しき造りなる(沓で)〔サンダルの一種〕

 cf. Poll. 7. 93


40 Ap. Dysc. Pron. 104c (i 81 Schneider) (v. inc. auct. 13)
soiv。アッティカ語法。イオーニア語、アイオリス語も同じ。

soi; d= e[gw leuvkaVepidwmon ai\goV

 そこでわたしは御身のために、白き山羊の……

サッポー。


41 Ap. Dysc. Pron. 124c (i 98 Schneider)
 アイオリス語はu[mmin〔あなたがたに〕。

tai;V kavlais= u[mmin to; novhmma tw\mon
pa;r d= i[eisi ta; ptevra

 愛しい貴女がたに対しするわたしの想いは
 お伝えすることができません

42 Schol. Pind. Pyth. 1. 10 (ii 10 Drachmann)
 サッポーは……ハトについて。

tai:si de; yu:croV me;n e[gent= oj qu:moV,
pa;r d= i[eisi ta; ptevra

 その心はつめたく冷え、
 翼は垂れ

43 P. Oxy. 1232 fr. 1 col. i 5-9〔3世紀頃パピルス〕

5    ]. a[kala klovnei
    ]kavmatoV frevna
    ]e katisdavne[i]
    ] ajll= a[git=, w\ fivlai,
9    ], a[gci ga;r ajmevra.

  5   ]. 平和を紛争に陥らせ
      ]煩いは心を……
      ] お座りなさい……
      ]しかし、さあ、おお、友たちよ、……
  9    ]日も近いころなれば……

44 P. Oxy. 1232 fr. 1 coll. ii, iii, fr. 2 + 2076 col. ii〔同上パピルス〕

 Kupro . [          ]aV`
 kavrux h\lqe qe[   ]ele[ . . . ] . qeiV
 !IdaoV tadeka . . . f[ . . ] . iV tavcuV a[ggeloV
     deest unus versus〔1詩行欠〕
 tavV t= a[llaV =AsivaV . [ . ]de . an klevoV a[fqiton`
5  !Ektwr kai; sunevtair[o]i a[ggois= ejlikwvpida
  QhvbaV ejx ijevraV PlakivaV t= aj[p= aji]n<n>avw
  a[bran =Andromavcan ejni; nau:sin ejp= a[lmuron
  povnton` povlla d= [ejliv]gmata cruvsia ka[mmata
10 ajrguvra t= ajnavriqma pothvria kajlevfaiV.
  w]V ei\p=` ojtralevwV d= ajnovrouse pavt[h]r fivloV`
  favma d= h\lqe kata; ptovlin eujruvcoron fivloiV`
  au[tik= =Ilivadai sativnai[V] ujp= ejutrovcoiV
  a\gon aijmiovnoiV, ejp[ev]baine de; pai:V o[cloV
15 gunaivkwn t= a[ma parqenivka[n]t . . [ . . ]osfuvrwn,
  cw:riV d= a[ndreV u[pagon ujp= ajr[mat-
  p[ ]eV hjivqeoi megavlw[s]ti d[
  d[ ]. ajnivocoi f[ . . . . . ] . [
20 p[  v]xa.o[
     desunt aliquot versus
                   i[]keloi qevoi[V
                   ]a[gnon ajol[le-
  o[rmatai[       ]non ejV !Ilio[n,
  au\loV d= ajdu[m]evlhV] t= ojnemivgnu[to
25 kai; y[ov]fo[V k]rotavl[wn, ligev]wV d= a[ra pavr[qenoi
  a[eidon mevloV a[gn[non, i[ka]ne d= ejV ao[q[era
  a[cw qespesiva gel[
  pavnta d= h\V ka;t o[do[iV
  kravthreV fivalaiv t= oj[ . . . ]uede[ . . ] . . eak[ . ] . [
30 muvrra kai; kasiva livbanoV t= ojnemeivcnuto`
  guvnaikeV d= ejlevlusdon o[sai progenevstera[i,
  pavnteV d= a[ndreV ejphvraton i[acon o[rqion
  Pavon= ojnkalevonteV ejkavbolon eujluvran,
  u[mnhn d= !Ektora k=Andromavcan qeoeikevlo[iV.

   キュプロスより……
   足迅き布告使イーダイオス〔トロイアの伝令使。Li. 7. 248 ff., 24. 325 ff.〕が駆け来たって、告げて言うには
   …………
   「アシアーの他の地より、朽ちることなき誉れがこの国にもたされました。
   ヘクトール様とそのお仲間の方々は、かがやく瞳もつ、みやびなる姫
   アンドロマケーを、聖なるテーバイ、ブラキアーの清流のほとりより
   船に乗せて、塩鹹い海を渡って連れまいらせましたぞ。
   数々の黄金の腕輪に紫の衣裳、彩色ゆたかな装身の具、
   数知れぬ銀の酒杯とそれに象牙(をたずさえて)……」
   こう告げたのであった。すると、ヘクトールのいとしの父君は
   すばやく立ち上がり、報せは広き都を伝って友人らのもとに達した。
   イーロスの子らはただちに、滑らかに走る馬車に騾馬つなぎ、
   妻女たち、また足もとうるわしい処女たちが群なして乗り込んだ。
   さてプリアモスの娘らは別に、(馬車をり)……
   いまだ妻娶らぬ若者らは、車に馬つないで……
   車駆る者たちは……大いに……
   …………
   …………
   …………
   …………神にもまがう者らは
   …………聖なる……
   皆々残らず……出で立った……イーリオスへと
   ここちよき笛の音は(竪琴と)シンバルの音に混じり
   処女らは声さわやかに聖らなる歌うたい、神さびた
   その響きは天にまで達した……
   街路中いたるところに……
   混酒器や酒杯が立ちならび……
   没薬と肉柱と乳香とがあい混じって……
   年老いた女たちは歓喜の声あげ、男たちは残らず
   声はりあげてパイアーンを、竪琴の名手なる弓の上手を
   呼びたてまつり、神にもまがうヘクトールと
   アンドロマケーの頒歌をうたった。
                 (沓掛良彦訳)

 アテナイオスの引用によって、サッポーの作と確認された。Bekker's Anecdota Graeca and Ammonius.。


44A (=alc. 304 L.-P.) P. fouad 239

 2ないし3世紀頃書かれたパピルス断片。Lobel とPage によって、C.Q. 2 (1952) 1-3 で公刊された。ためらいがちにではあるが、彼らによって、アルカイオスの作とされたが、Treu (Sappho 161-4)は、サッポーの作と論じている。cf. Kirkwood, E. G. M. 145-7.

(a) col. i
1       sanores . . [
  Foivbwi crusokov]mai, to;n e[tike Kovw k[ovra
  mivgeis= ujyinevfei Kr]onivdai megalwnuvmwi`
  !ArtemiV de; qevwn] mevgan o[rkon ajpwvmose`
5  nh; ta;n sa;n kefav]lan, a[i& pavrqenoV e[ssomai
  a[dmhV oijopov]lwn ojrevwn koruvfais= e[pi
  qhreuvois=` a[gi kai; tav]de neu:son elman cavrin.
  w}V ei\p` aujtavr ejneu]se qevwn makavrwn pavthr.
10 a[nqrwpoi; te kavle]isin ejpwnuvmion mevga.
  khvnai lusimevlhV] !EroV oujdavma pivlnatai,
         ] . [ . ] . . . . afovbe[ . .]` . .w`

  1  …………
    黄金の髪したポイボス、これを産みしは、コオースの乙女〔レートー〕、
    クロノスの息子、大いなる名前の高雲と交わりて。
    されど、アルテミスは神々の大いなる誓いを立てり。
  5  「御身の頭にかけて、わたしはいつまでも処女でいましょう
    未婚のまま、山々のいただきにひとり
    狩りをしながら。いざ、これをわたしのために聞きとどけたまえ」
    そのように云った。浄福な神々の父神は、ただちに聞きとどけたもうた。
    かくして神々は彼女を処女、鹿の射手、女猟師と、
  10  人間どももまた〔そのように〕大いなる名前で呼んだ。
     手足をぐったりさせるエロスはけっして彼女に近づくことなく、
      …………

(b) col. ii 5-10
5  Moivsan ajgla[
  povei kai; Carivtwn[
  bradivnoiV ejpeb . [
  o[rgaV mh; =pilavqe . [
  qnavtoisin` ped' . c[
10      ]dalivw[

  5  ムーサたちの栄光の〔賜物〕を……
    作り……カリスたちの……
    ほっそりした……
    怒りを忘れない……
    死すべき者らに
  10 …………

45 Ap. Dysc. Pron. 119b (i 93 Schneider)
 〔uJmei:V(あなたがたは)は〕アイオリス語でu[mmeV

a\V qevlet= u\mmeV

 御身らが望むかぎりを

サッポーが第2巻の中で。


46 Hdn. p. mon. levx. b v 39 (ii 945 Lentz)
 tuvlh〔しとね〕を挙げて説明した前述の箇所にもどろう。この語は、アッティカ方言で使われることはなく、サッポーが第2巻の中で言及しているものである。

     e[gw d= ejpi; molqavkan
tuvlankaspolevwmevlea` ka]n me;n tetuvlagkaV ajspovlea

 わたしはやわらかなしとねのうえに
 手足を押しつけて

teは接続詞ではない。


47 Max. Tyr. 18. 9 (p. 232 Hobein)
 エロースのことをソークラテースはソフィストだと言い、サッポーは神話の編み手(muqoplovkoV)だと言う。〔前者は〕『パイドロス』においてエロースに憑かれ、後者は、エロースがその心をゆるがせた、山颪が樫の樹並みを吹きくだるように。

     !EroV d= ejtivnaxev moi
frevnaV, wjV a[neroV ka;t o[roV druvsin ejmpevtwn.

 エロースが、わが心をゆるがせた、
 山颪が、樫の樹並みを吹きくだるように。

48 Iulian. Ep. 183 (p. 240s. Bidez-Cumont)

   h\lqeV, e[gw dev s= ejmaiovman,
o]n d= e[yuxaV e[man frevna kaiomevnan povqw/.

 あなたは来てくれました、わたしはあなたを求めていました
 想いに焦がれるわたしの心を冷ましてくれました。

 1行目、ユリアヌスは始める:h\lqeV (kai; ejpoivhsas` h\lqeV ga;r dh; kai; ajpw;n oi|V gravfeiV, quae verba manifesto Iuliani sunt)


49 Heph. Ench. 7. 7 (p. 23 Consbruch)
 完全な詩型(sc. アイオリス風ダクテュロス詩型)のうち、五歩格はサッポー風14音節と呼ばれ、これによってサッポーの第2巻全体が書かれている。

 hjravman me;n e[gw sevqen !Atqi pavlai potav`.....

わたしはそなたを恋していた、アッティスよ、ずっと昔のことなれど

Plut. Amat. 751d (iv 343 Hubert)
 まだ婚礼適齢期にない少女に呼びかけてサッポーはこう謂っている

 smivkra moi paviV e[mmen= ejfaivneo ka[cariV.

  優美な子よ、わたしにはそなたはちっちゃく見える。

50 Galen. 8. 16 (i 113 Marquardt)
 それゆえ、青春の盛りは春の花のごときもので、束の間しか喜びをもたらさないことを心得て、かのレスボス女の言うところを讃えるにしかず。

oj me;n ga;r kavloV o[sson i[dhn pevletai kavloV,
oj de; ka[gaqos au[tika kai; kavloV e[ssetai.

  容姿美しき人は、眼に映るかぎりでは美しきもの、
  善美なる人もまたほどなく美しくならん。


forward.GIFサッポーの詩作品(2/4)