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イコール(ijcwvr)

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 神々の神秘的な「青い血」をさしたホメーロスの用語。神々は、青い血のおかげで、不死を享受するとともに、インドの宗教画に描かれた神々の特徴となっているあの青い肌をもっていた。中世になって、異教の神々が悪魔の側に追いやられると、この魔法の血も悪魔の血にされてしまった。ichorという語には、今日では「膿漿」という意味があるが、これは、中世において教会側の人々が、悪魔の血管に膿が流れていると主張したためだった。昆虫の血液もichorと呼ばれてきた。
 point.gifQuintessence.


Barbara G. Walker : The Woman's Encyclopedia of Myths and Secrets (Harper & Row, 1983)



 イコールとは、神々の体内を流れる不死の体液。

それで御神の不死なる血汐が流れて出た、
イコール〔神血〕とて、さきわいたもう神々の 体の内をめぐるものである。
というのは彼らは穀類をはまず、燦がな酒も飲まれないので、
それゆえ血汐ももたず、不死の身と呼ばれたもうのだ。
(『イーリアス』第5書339-342)

 イコールは赤い血でなく、脱脂乳、乳清、あるいは体液中の水気の多い成分にみられるような、いくらか青白い液体のことである。これらの液体を表すために、ギリシアの医師たちは彼らの著述にこの単語を利用している。アリストテレースは産婦の羊水を述べるのに、この言葉を使っている〔『動物誌』586b32〕。(ケレーニイ『ディオニューソス』p.59)
 バーバラ・ウォーカーの「詩人の直感」は、インドの身体の青い神々を連想した。


[画像出典]
不動明王座像