title.gifBarbaroi!


魔法と科学の間

ネプゥアリオス

『反発性と共感性との関係にあるものらについて』
(Peri; tw:n kata; ajntipavqeian kai; sumpavqeian)





[底本]
TLG 1527 NEPUALIUS Med. et Phil.
vel Neptunalius, vel Neptunianus
(A.D. 2?)
1 1
1527 001
Peri; tw:n kata; ajntipavqeian kai; sumpavqeian, ed. W. Gemoll,
Nepualii fragmentum peri; tw:n kata; ajntipavqeian kai; sumpavqeian et
Democriti peri; tw:n sumpaqeiw:n kai; ajntipaqeiw:n [Städtisches
5
Realprogymnasium zu Striegau (1884)]: 1-3.
(Cod: 832: Magica, Med.)





ネプゥアリオス『反発性と共感性との関係にあるものらについて』

"t".1
ネプゥアリオスの『反発性と共感性との関係にあるものらについて

"prol".1
 あなたの愛学ぶり(filomaqevV)と、あらゆることに対する愛名ぶり(filovtimon)とをよく知っておりますから、優秀なセクストスよ、共感性をもったものらや反発性をもったものらの書を、あなたのために編集し著述することに真剣になりました、昔の著述家たちのように、数多の信じられないことや、真理にさえ全然関与していないことをではなく、数は少ないが、すべて経験を通してわたしたちに語られてきたことを〔編集し著述することに〕。それは、これによって、わたしの大いなる経験と、あなたに対する好意とをあなたに知ってもらうためです。さらにわたしにとって喜ばしく思えるのは、あらゆる教育によって飾られた人士に、哲学者たちや詩人たちや占い師たちを証人として提示しえたことです。というのは、最も大事な手当ては、反発性ajntipavqeiaにしたがって、呪文や護符や軟膏で手当てされることなのですから。
 では、生き物たちが病気になったとき、自分でどうやって手当てするか、ということから始めよう。

1.1
cynodon.jpg イヌたちは、病気になると、新鮮なギョウギシバ〔Cynodon Dactylon、右図〕を食べ、胆汁を吐く。
2.1
 ブタたちは、病気になると、川のカニを食べる。
3.1
 シカは、病気になると、カニを食べる。
4.1
 ライオンは、病気になると、サルを食べる。
5.1
 ハイエナは、病気になると、イヌの仔を食べる。
6.1
 オオカミは、病気になると、土を食べる。
7.1
 ヒョウ(pavnqhr)は、病気になると、イヌの血を飲む。
8.1
 トラは、病気になると、人糞を食べる。
9.1
 ラクダは、病気になると、樫の樹の新鮮な葉を食べ、黒い胆汁を吐く。
10.1
 サルは、病気になると、自分の尿を飲む。
11.1
 イクネウモーンは、病気になると、コブラを食べる。
12.1
 クマは、病気になると、アリ族を食べる。
13.1
 ヤギは、弓で射られると、ハッカ〔Origanum Dictamnus〕を食べて、その矢弾を抜く。〔『動物誌』IX(612a4)〕
14.1
 ワシは、病気になると、カメを食べる。
15.1
cyperus.jpg オオガラスは、病気になると、ハマスゲ〔Cyperus rotundus、カヤツリグサに似ている。右図〕を食べる。
16.1
 サギは、病気になると、カニを食べる。
17.1
 ツルは、病気になると、カエルを食べる。
18.1
 ヒョウ(pavrdaliV)は、病気になると、野生のヤギの血を飲む。
19.1
 ネコは、病気になると、ネズミを食べる。
20.1
 ヤギジカ(tragevlafoV)は、病気になると、オリーヴの新鮮な小枝を食べる。
21.1
 トキは、病気になると、塩水を多量に飲み、吐き、病気を防ぐ。
22.1
foeniculum.jpg ヘビ類は、弱視になると、ウイキョウ〔Foeniculum vulgare、右図〕を食べる。
23.1
scammonia.jpg ヤギは、病気になると、スカモニア〔convolvulus Scammonia、右上図〕やトウダイグサ〔Euphorbia Peplus、、右下図〕を食べる。euphorbia.jpg
24.1
 ハシボソガラスは、病気になると、人糞を食べる。
25.1
 カンムリヒバリ(korydallovV)は、病気になると、ギョウギシバを食べ、同じく自分の巣の中にギョウギシバを入れておく。
26.1
 しかし、トビはいばらを入れておく。
27.1
 キツネたちがスキッラの葉を巣穴に入れておくのは、オオカミを防ぐためである。
28.1
 モリバトは、ゲッケイジュの葉を巣に置き、雛たちを守る。
29.1
 キルノスというタカは、視力が衰えると、野性のチサの端を食べ、その汁で眼をこする。
30.1
 ハゲタカは、視力が衰えると、人間の胆嚢をついばみ、眼をこすりつける。
31.1
 バッタ類は、病気になると、オリーヴの葉を食べる。
32.1
 ドバドは、病気になると、アステリスコン〔blue daisy, Phphr. HP, 4_12_2〕を食べ、タカの一種のキルコスは、トウダイグサを〔食べる〕。
33.1
verbena.jpg しかし、ハシボソガラスは、ハトグサ(peristerewvn)すなわち聖なる草(iJera; botanhv)〔Verbena supina、右図〕を〔食べる〕。
34.1
 コキジバトは、i\riV stragalew:tiV〔不明〕を〔食べる〕。
35.1
 コウノトリが、カメの骨や、プラタノスの葉を〔巣の中に〕置くのは、コウモリを防ぐためである。
36.1
 タカ類はアグノス〔クマツヅラ科のセイヨウニンジンボク、学名Agnus castus〕を置く。
37.1
 ヤツガシラは、クジャクシダを置く。
38.1
 スズメたちは、ヘルピュロス〔Thymus Sibthorpii〕を置く。
39.1
 ツルたちは蜜蜂を〔置く〕。
40.1
 ネズミトリ(muvagroV)〔ヘビの1種〕がヤモリ(ajskalabwvthV)を〔巣の中に置く〕のは、サソリを防ぐためである。
41.1
 カンムリヒバリは、樫の樹の葉を〔置く〕。
42.1
 フクロウたちが、コウモリの心臓を〔巣の中に置く〕のは、アリたちが自分たちの卵や雛を台無しにしないためである、というのは、アリたちの巣穴のそばにコウモリの心臓を置いておくと、アリたちは近づくことができずに、死んでしまうからである。
43.1
dracunculus.jpg 大蛇は、ドラコンティオンという草〔Dracunculus vulgaris、右下図〕を〔置く〕。
44.1
 コウモリは、オリガノスの葉群を〔置く〕。
45.1
 ヤモリは、サソリの刺し針を〔置く〕。
46.1
 アトリ(spi:noV)〔=spivza、ズアオアトリ(Fringilla coelebs)であろうという〕は、murivkhnスズメバチを恐れる。
47.1
 ドバトは真っ直ぐなクマツヅラ(peristerew:n)を〔恐れる〕。
48.1
 ツバメ類はシカの毛、セロリ、シプリオンの腕輪を恐れる。
49.1
 ワシは、鷲石(ajetivthV)と言われる安産石を〔巣の中にもっている〕。
50.1
 ツグミは、ギンバイカを。
51.1
 クマが黒焦げの石を〔もっている〕のは、安産のためである。もしもそれがない場合は、クマにしっかりつかまっていれば、安産できる。
52.1
 ツバメを不具〔盲目〕にしたら、ツバメグサ(celidovnion)という草でその眼をこすると、それ〔眼〕をもとどおりの自然な状態にすることができる。
53.1
 コウモリの心臓をアリたちの巣のそばに置くと、入ることも出ることもできない。ところで、彼らは安息日には静かにして暇を過ごすと謂われている。
54.1
 小鳥たちが住みつくと、自分たちをきれいにし、果実を以前にも増して豊穣にする。
55.1
 カワセミが妊娠すると、海は7日間凪となる。point.gif『古代ギリシア自然誌』の「カワセミ(Alkyon)」の項を参照。
56.1
 金剛石を溶かすのはヤギの熱い血である。
57.1
 ネコの頭蓋骨に薔薇油を塗布すると、自分自身を駄目にする。しかし、ヘンルーダ(phgavnon)の汁を注ぎかければ、自分を救える。
58.1
 ajeivzwonが上弦の月の間に大地より起ち、鉛といっしょに炉に隠しておくと、火がこれ〔炉〕に点火することはない。
59.1
 サラマンドラを火は燃えあがらせない。
60.1
 ライオンは、オークの白い葉を踏むと、麻痺する。〔ボーロス、第13節〕
61.1
 ライオンの脂肪には、雄ネズミも雌ネズミも近づかない。
62.1
 ライオンの脂肪を何かの道具に塗りつければ、ウマもウシもその梶棒につかない。
63.1
 ライオンはクマを恐れる、白いクマは特に〔恐れる〕。
64.1
 クマの脂肪を人間が塗布すると、自分を狙っているライオンの衝動を逸らすことができる。
65.1
 ライオンは、戦車や回転する車輪や燃える火を避ける。
66.1
 イヌは、キツネの乾燥した糞を嗅ぐと、踊るように回転するように転げまわる。しかし、ラコーニア犬はそうはならない。
67.1
 イヌは、ハイエナの脂肪を塗布されると、狂って死ぬ。しかし、アスポデロスの汁を塗布すると、たすけられる。
68.1
 イヌが眠るのは、苦いアーモンドをオリーヴ油といっしょにそっと横たえるか、塗りこまれたときである。
69.1
 アイギュプトスにいるワニを、アスポデロスの根が誘い出す。
70.1
 カニにタコの足を押しつけると、歯を抜け落ちさせる。ザリガニの足にタコの足をおしつけると、直ぐにそれを抜け落ちさせる。
71.1
 イタチは、バラの葉が置かれているところには近づかない。
72.1
 ウマは、オオカミの新しい足跡を踏むと、麻痺する。〔ボーロス、第12節〕
73.1
 ウマは、ヒッポマネス〔雌ウマの発情液〕を持った人間には、狂ったようにすり寄る。
74.1
 ゾウの脂肪が塗りこめられると、獣は1頭もあなたに近づかない、だまされないからである。
75.1
 ビーバーたちは、堕落していない女に追いかけられると、自分の睾丸を切り捨てる。point.gif『自然究理家』第23話
76.1
 ツバメの雛たちは、頭の石を呑みこむと、人間どもの手の中に吐き出す、自分自身を見ながら〔???〕。
77.1
 マグネース石〔磁石〕は鉄を引きつける。
78.1
 オオカミは、スキッラが自分に近づけられると、動けなくなる。
79.1
 struvcnonという草〔同定は難しいが、発狂させるというシロバナチョウセンアサガオのことか?〕をハイエナは荒らさない。
80.1
 オオカミの皮をヒツジはまたげない。〔ボーロス、第24節〕
81.1
 トキの羽はあらゆるヘビが怖がる。
82.1
 ライオンは、ほかのものが食事に手をつけたものは、味わおうとしない。
83.1
 タマオシコガネムシは、香油を塗布されると、死ぬ。
84.1
 クマは、ワシの糞を少し与えられると、歩けなくなる。
85.1
 オンドリの蹴爪を蜜蜂の巣に貼りつけると、死んでしまう。
86.1
 バッタ類は一箇所に集まる — どこでも、夕方、gavroV〔小魚でつくったソース〕をふりかけておいたところに。

2006.06.09. 訳了。

back.gif表紙にもどる