セクゥンドスの生涯

セクゥンドスの思想(Sententiae Secundi)

1."t"
世界(kovsmoV)とは何か。
1.1
　捕捉できない内容(periochv)、観想される構造体(kataskeuvasma)、見はるかされることのできない高み、自生した観想体〔観想の対象〕(qewvrhma)、さまざまな性質を持った形態、永遠の結合体(diakravthma)、養育する霊気(aijqhvr)、迷動することなき周回(kuvkleuma)、太陽の光、日、星辰、闇、夜、大地、大気(ajhvr)、水。

2."t"
オーケアノスとは何か。
2.1
　世界(kovsmoV)を抱擁するもの、冠せられている境界、海水の首飾り〔Lat. torques〕、アトラースの縛め、あらゆる自然の縁(perivdromoV)、太陽の燭台、人の住まいする世界の支え(oijkoumevnhV kavtocoV)。

3."t"
神とは何か。
3.1
　自己形成される善、多形の類似、見はるかされることのできない高み、さまざまな性質を持った形態、気のすすまぬ探求対象、不死なる理性、はるかに広がる気息、不眠の眼、多くの名を有する力能、万能の光。

4."t"
日とは何か。
4.1
　忍従の競技場、12の刻限をもった行路、日々の活動範囲(ajrchv)、人生の思い出(uJpovmnhsiV biwtikh;)、午後の延長、活き活きとした出会い(zwtikh; e[nteuxiV)、永遠の勘定、自然の鏡、輪廻する想起(palivndromoV ajnavmnhsiV)。

5."t"
太陽とは何か。
5.1
　天の眼、夜の好敵手、霊気の周回(aijqevrion kuvklwma)、世界の吟味、純粋無雑な炎、間断なき輝き、供給された燈火、天の旅人、昼の飾り。

6."t"
月とは何か。
6.1
　天の紫、夜の慰め、船乗りたちの不寝番、道行く者たちの激励、太陽の跡継ぎ、悪行者たちの敵、祝祭の合図、〔暦の〕月ごとに周回するもの。

7."t"
大地とは何か。
7.1
　天の土台、世界(kovsmoV)の中央、底を持たぬ観想の対象(ajpuvqmeuton qewvrhma)、大気に生えた根(ajerofue;V rJivzwma)、［捕捉できない内容］、生命の鍛錬所、神の創造した組織体、月の不寝番、見はるかされることのない観想の対象、雨の乳母、作物の保護者にして母親、冥府($AidhV)の覆い、はるかに広がる空洞、万物の生出者にして受容者。

8."t"
人間とは何か。
8.1
　肉をまとった理性(nou:V)、霊的な容器、感覚を持った空洞、辛労する魂、束の間の住み家、時間の幻影、骨を組みこまれた器官、人生の観察者、偶然(Tuvch)の玩具、長続きしない善、生命の浪費、生からの逃亡者、光からの離反者、大地が返還要求するもの、永遠の屍体。

9."t"
美とは何か。
9.1
　自然の絵画、自己形成される善、束の間の幸運、長続きしない所有物、敬虔な男の難破、肉をまとった遭遇、快楽に対する奉仕、しおれる花、不誠実な所行、人間どもの欲望〔の対象〕。

10."t"
女とは何か。
10.1
　男の欲望〔の対象〕、宴楽を共にする獣、いっしょに目覚める思い煩い、からみあう淫蕩、共寝する牝ライオン、着物を着たマムシ、自分で選んだ戦い、共寝する放縦、日々の罰金、家の〔中の〕嵐、思い煩いのなさに対する障害、自制心のない男の難破、姦夫たちの準備、人生の捕獲、高価な戦闘、邪悪な生き物、充分〔重たい〕荷物、九つの風の暴風、有毒のコブラ、人間作りに貢献するもの、必要悪(ajnagkai:on kakovn)。

11."t"
友とは何か。
11.1
　探し求められる名詞、気づかれぬ人間、見つけがたき所有物、困窮の慰め、不運の避難所、悲惨さの〔頼れる〕腕、人生の観察者、捕捉できない人間、実在する宝物、捕捉できない幸運。

12."t"
農夫とは何か。
12.1
　作物に奉仕する者、豪雨の仲裁者、荒れ地に慣れた者、海なき交易商、森の好敵手、食糧の供給者、平野の改良者、大地の医者、樹木を手入れする者、ラバの調教者、忍従に慣れた者(kakopaqivaV sunhvqeia)。

13."t"
剣闘士(monomavcoV)とは何か。
13.1
　売りに出された死、興行師の生け贄、［大食の欲望］、教練によって決まる運命、血塗られた術知、偶然(Tuvch)の失敗、鋭い〔速やかな〕死、ラッパで告げ知らされる運命、そばにある破滅(movroV)、悪しき勝利。

14."t"
舟とは何か。
14.1
　浮遊する行為〔もの〕(pra:xiV)、土台なき家、うってつけの墓、立方体の板、風による旅、翔けり行く番所、枷を共にする運命(moi:ra)、風の玩具、帆走する破滅〔死〕、木製の鳥、海洋を行く馬、開いたままのイタチの籠、不明な身の安全、予測される死、波間の旅人。

15."t"
船乗りとは何か。
15.1
　波の旅人、海の駅馬〔郵便馬車の馬。Lat. veredus〕、風の〔足跡を追跡する〕狩人、風の同道者、人の住まいする世界の余所者、陸地の離反者、嵐の好敵手、海を渡る剣闘士、身の安全の不明なる者、死の隣人、海の愛者(ejrasthvV)。

16."t"
富とは何か。
16.1
　黄金の荷物、快楽に奉仕するもの、希望される恐怖、心配なき愉しみ、宴楽を共にする妬み、日々の営み、移ろいやすい所行、愛される不運、策謀される所行、満たされることなき欲望、渇望される悲惨、高き転落、銀子の総額、通り過ぎる幸運。

17."t"
貧しさとは何か。
17.1
　嫌悪される善、健康の母、快楽の障害、思い煩いのない暮らし、引き離しがたい所有物、創意工夫の教師、知恵の発明者、妬まれることなき所行(pragmateiva)、侵害されることなき財産、罰金をとられることのない商品、勘定に入らぬ利得、誣告されることなき所有物、不明な幸運、思い煩いのない幸運。

18."t"
老いとは何か。
18.1
　所有しやすき悪、生ける死、健康な病、予想される運命、長年のお笑いぐさ、脆弱な知慮、息のある屍体、アプロディーテーと無縁な者、予想される死、動く屍体。

19."t"
眠りとは何か。
19.1
　辛労の中断、医師たちの成功、束縛からの解放、不眠者の知恵、病者の祈願、死の似像、悲惨な者たちの欲求、あらゆる気息(pnohv)の静穏、富者の必需品、［貧者の冗舌］、日々の営み。

20."t"
死とは何か。
20.1
　永遠の眠り、身体の解消(ajnavlusiV)、悲惨な者たちの欲求、霊(pneuvma)の離反、富者の恐怖、貧者の欲求、肢体の解体(luvsiV)、生からの逃亡と〔生の〕喪失、眠りの父、真実の定めの日、あらゆる事象からの放免(ajpovlusiV)』。

　このときアドリアノスは読み、彼〔セクゥンドス〕が沈黙の哲学を修した理由を学び知って、彼の書物を、哲学者セクゥンドスの〔名の〕もとに、聖なる図書館に所蔵するよう命じた： —
　〔みずからの〕指をもって書いた者、所有した者、
　心して読む者のために、
20.10
　三倍祝福されたる三位一体(TriavV)よ、これら三者を守りたまえ。

2009.01.06.　訳了。