Alpha_87 "Habros" 〔優美な〕
輝かしい(lampros)、優雅な(trypheros)、しなやかな(hapalos)の意。『詞華 集』にある、「優美なる音節を口ずさみつつ、蝉、竪琴の上にとまりて」(Book VI, epigram 54)。ただし、優雅(tryperos)・優美(habros)にして、身体の柔さ ゆえに軟弱(kateagos)で、なよなよして(lelygismenos)、娼婦よりも淫蕩な女た ちのように髪を結い上げ、いつも眉間と巻き毛に豊かに軟膏をしたたらせている あの人物〔ペルシア王アルタクセルクセスのことか?〕は、公の貢納物から黄金 を取得して、神話上のミダスさえ満足するに足るぐらいが、この大王に流れこむ。
〔この一節の訳には、まったく自信がありませぬ(^^ゞ〕
368 "Agronomoi"〔野の長たち〕
野に暮らす者たちの意。「鳴き声高い蝉さん、あなたは露の雫に酔いしれて、 荒野でぺちゃくちゃおしゃべり、野の長たる芸神を賛美する」。『詞華集』〔Book VII, epigram 196〕にある。
454 "Aidein keleuonth' hosperei tettiga hestionta"〔「歌をうたえとは、 まるで蝉をもてなすようなもの」アリストパネス『雲』1360〕
この生き物はたいそうおしゃべりだからである。"Adein"だけで充分。
796 "Akantha" 〔アカンサス〕
植物のことだが、海獣の背中も。また、三本の棘の飛び出す〔生き物〕も。こ の獣は、強烈な突進で飛びかかり、その棘で繋縛を断ち切る。また、無声・無音 の〔生き物たち〕の譬えとして、"akanthios tettix. "〔アカンサスの蝉〕*。
*[補注]
『イメージ・シンボル事典』"cricket"の項目の1のC。
「ギリシアの優勝詩人を表し、またアカンサスのコオロギとは寡黙を表す。そ れはアカンサスの茂みではコオロギは鳴かないから」p.149-150
〔スーダが典拠としている古い出典がありそうですが、不明〕
〔参考までに
797 "Akantha"
罪(hamartia)の意。ダビデ〔の歌〕。「akantha がわたしに刺しこまれました。 そのため、無役な若枝(blartema)のよう、pephykos〔棘〕 が刺したように」〔 七十人訳、詩篇31(他の訳では32)_4〕。〕
798 "Akanthias"
蝉の種類ではなく、蝉の別称で、アカンサスの茂みで鳴くことに由来する。" achetas"も蝉の種類ではなく、「鳴く」に由来する別称であるのと同様。
2159 "Andra Tithonon sparatton kai taratton kai kykon"〔「ティトノス爺 さんをこなごなにし、おろおろさせ、こんがらかせて」アリストパネス『アカル ナイの人々』688〕
すなわち、とんでもない老いぼれをいう。はなはだしく歳をとって蝉に変身し たティトノスに由来する。
4112 "Archilochos"〔人名。アルキロコス〕
死を急がなかった者たちにさえ、神々は忘却を定めたもうたということ。じっ さい、アルキロコスは、ひとが彼の破廉恥な詩句や罵詈雑言を、あたかも汚れを かなぐり捨てるように、取り除いたとしたら、他の点では高尚な詩人であって、 ピュティオス〔=アポロン〕は、戦争のさなかでさえ もちろん、エニュアリ オス〔軍神アレス〕が外人の場合にかぎるが 彼が死ぬのを憐れみたもうた。 しかし、彼の殺害者 名前をカロンダス、添え名をコラクスというやつ が 登場したとき、彼〔アルキロコス〕の求めに応じて神も望んだにもかかわらず、 ピュティア〔デルポイのアポロン神殿の巫女〕は、まるで破門者に対するように、 彼を容赦せず、人口に膾炙している例のことばでもって応じたのであった。する と彼は、戦争の勲功を楯にとって、自分がやり遂げたほどのことを、したりされ たりしたというなら異議があるぞと言い、自分の守護神のご加護で生き延びてい るからには、神に憎まれているのではないということを要求し、自分は死んだと いうよりはむしろ殺したのだといって自慢したのである。これには神も同情し、 彼にはタイナロン ここでテッティクスが埋葬された〔ヘシュキオス『辞書』 Tau_669"Tettigos hedranon"を参照せよ〕 に赴くよう命じ、テレシクレイア スの子の魂を慰め、灌酒によって宥めさせた。彼はこれに聴従し、また神の怒り を免れた者ともなったのである。ことわざにも、非難・罵倒する連中について、< アルキロコスを見習う(Archilochon pateis)>とある。
〔この話の出典は、ディオドロスの世界史あたりかと推測していますが、未調査〕
4689 "Achetas"
蝉の種類ではなく、蝉の別称であることは、"akanthias"と同様。アカンサス の茂みのなかで鳴くことに由来する。
Gamma_491 "Gymnoteros Ialemou" 〔「イアレモス(ialemos)よりも赤裸の」の意〕
イアレモス(ialemos)は弔い歌の別名。嘆き歌にも適用される。また、<擂り 粉木や蛻(ぬけがら)よりも赤裸の(Gymnoteros hyperou kai leberidod)>も。 アリストパネスは、「〔蛻(ぬけがら)〕よりもめくらの」と。蛇や蝉の外皮( syphar)とか抜け殻(ekdyma)とかいうのは、殻(lepis)のようなもの。主として、 若い牡牛が身にまとっている。?これはまた盲目でもある。眼窩を有するに過ぎ ないからである。したがって、この譬えには三つの意味があげられる、 「〔 蛻(ぬけがら)〕よりもめくらの」、「〔蛻(ぬけがら)〕よりもむなしい」、 「〔蛻(ぬけがら)〕よりも赤裸の」。
Delta_1045 "Diipoleia" 〔ディイポレイア祭。アリストパネス『雲』1360〕
ディイポレイア祭というのはアテナイの一種の祭礼。ディイポレイデ祭とも蝉 簪だらけの祭りとも。ディイポレイア祭とは、いわゆるディアシア祭のこと。こ の祭りがそういうふうに言われたのは、都市神ゼウスに捧げられたからである。
1545 "Dryokoites" 〔「樹上の住まい人」の意〕
「野の歌い女たるキリギリス(akris)と樹上の住まい人たる蝉とのために、少 女ミュロ、乙女の涙をそそぎつつ、木の塔婆をこしらえたり」(『詞華集』Book VII, epigram 190)。
Epsilon_3082 "Herse" 〔「露」の詩語〕
露のこと。「たおやかなる白露の雫を味わいつつ」(『詞華集』Book VI, epigram 120)。蝉たちは露を食べ物とするからである。
3652 "Eupelekos"〔「よき兜の」の意〕
「美しき兜をかむりし彼女の」ということ。じっさいのところは、「兜よろし きアテネの長柄の上にわれ―tettixのとまりたるを、御身よ、見るべし」(『詞 華集』Book VI, epigram 120)。
Eta_232 "Heliomanes" 〔「太陽気違いの」の意〕
蝉のこと。「気違いのように太陽を慕う」〔アリストパネス『鳥』1096〕。
675 "echetes" 〔「鳴き蝉」の意〕
雄の蝉。「声高きtettixよ、歌う汝を取り殺したのだ、大馬鹿者の子どもの広 げられた手が」(『詞華集』Book VII, epigram 201)。 〔本テキストどおりでは読めないので、『詞華集』のテキストにしたがって改 めた〕
Iota_397 "Ixyn" 〔「腰」の意。単数対格〕
腰(osphys)のこと。蹄部や腰部の盛り上がってゆく下の部分。つまり、くびれ (rhachis)。背中も。「すらりと姿よき腰のくびれによりて、声高なものよ、お まえは歌曲を奏でたり、蝉よ、羊飼いたちにとりて七弦琴よりも素敵な歌を」( 『詞華集』Book VII, epigram 213)。
〔ここも本テキストどおりでは読みにくいので、『詞華集』のテキストにした がった〕
Kppa_497 "Katagerasai Tithonou bathyteron kai Kinypou plousioteron kai Mardanapalou trypheroteron, hopos to tes paroimias epi soi plerothei. dis paides hoi gerontes" 〔「老齢の点ではティトノスよりも甚だしく、キニュロ スよりも裕福、サルダナパロスよりも贅沢、このことわざの意味がおまえにあて はまる。年寄りは二重に子どもだ」の意〕
長生きした者たちについての慣用句。ティトノスは老いぼれたとき、祈りによっ て蝉に変身した。キュニラスは、パルマケー〔ヒュリア王メガッサレースの娘〕 の子孫で、キュプロスの王であったが、富で抜きんでていた。サルダナパロスは、 アッシュリアの王であったが、放縦と贅沢で過ごして生涯を終えた。
1349 "Kera aglae" 〔「イリアス」第11巻385 では「角弓」の意味であるが、こ こでは髪型の話であるから、あまり関係はなさそう……〕?
単なる三つ編み髪ではなく、お下げ髪(emploke)の一種で、角(keras)の上に革 組み紐(tropos)?を編み込んだもの。アテナイ人たちも蝉簪を編み込んだ。ホメ ロスの作品中にも、「垂れ髪(plochmoi)も、金糸・銀糸できっちり編まれ」〔イ リアス、第17巻52〕とある。輪飾り(toxike)?によって、あるいは髷(trichosis) によって美しく粧われている。角(kera)のことを古人は髷(trichosis)と呼んで いたからである。
1500 "Kekidios" 〔人名。ケキディオス〕
ディテュランボス詩人、非常に古い人。これに言及しているのはクラティノス 『パノプタイ(Panoptai)』〔「すべてお見通しの人々」の意〕の中。アリストパ ネスも、「古色蒼然、ディイポリオデ祭とか蝉簪やケーキディオスに満ち満ちた もの」〔『雲』984-985。ただし、アリストパネスのテキストでは、"Kekeidos" となっている〕。
2191 "Kourosynon"
剃髪式(koura)で供儀されたものということ。『詞華集』にある、「美しき蝉 簪とともに クリステネスのこの刈り込まれた髪房を」(『詞華集』Book VI, epigram 156)
〔詞華集のテキストでは、カリステネスになっている〕
2315 "Krade" 〔「イチジクの枝の先に揺れている小枝」L& S〕
イチジクの木のこと。さらには道具のことも。ラケダイモン人たちはこの小枝 を食していた。つまり粉々にされたものである。じっさい、蝉たちはこの枝の上 で1〜2ヶ月間歌う。アテナイ人たちは、訴訟〔という枝〕の上で生涯ずっと歌 い続ける。1本の樹から自余のすべてが明らかになる。
〔悪名高いアテナイの訴訟屋(シュコパンテース)という語には、語素として イチジクの意が含まれていることからの連想であろう〕
2488 "Krobylos"
児童の髪総(ふさ)(mallos)。黄金製の蝉簪をつけた人たちは貶したけれど、 編み髪(plokamos)、髪留め(anadema)、飾り、髷に編み込まれた飾りもいう。『 詞華集』にある、「太陽のごとき髪に髪総 これを4年に一度の祭列は、舞踏 家ポイボスにくしけずられ」〔『詞華集』Book VI, epigram 155〕。クセノポン、 「〔頭には〕パプラゴニア風の革製の兜をかぶっているが、中央のあたりに毛の 総(krobylos)が巻いてあり、冠によく似た形をしている」〔『アナバシス』第5 巻4_13〕。"Krobylos"は、トュキュディデスでは主としてお下げ髪(emploke)の 一種である。
Omega_107 "Oner"
"o aner"〔「おお、人よ」の意〕。縮約語。「われ=蝉のとまりたるを、御身 よ、見るべし」(『詞華集』Book VI, epigram 120)。
Pi_1826 "Pneumon" 〔「気息」複数属格〕
第11巻〔アリストテレス『霊魂論』? 未調査〕を通しても、次のように言わ れている。生き物すべてが音声を有するわけではなく、〔音声を有するのは〕呼 気と吸気とを有する生き物だけである。音声の原材は吸い込まれる空気だからで ある。〔したがって〕有節〔昆虫〕類も無血類も息を吸わず、すべての両棲類も、 またカタツムリのような殻皮〔甲虫〕類も音声を発せず、カニやエビのような軟 殻類もそうである。両棲類の中では、河馬やワニは音声を出す。たしかにこれは 短く声を出す。しかし、声を出すと思われているアケロオス河の魚類は、声を出 すわけではない。これが声を出すのは、発声器官によってではなく、鰓の一種の 運動によってである。すなわち、水面を泳ぐときに、鰓の中におびただしい水を 含み、次いで鰓がこの水をいっきょに吐き出すと、この噴出によって〔鰓が〕震 動する。この震動部が一種の空気を含んで、この空気がその衝撃でこすれて鳴き 声を立てるので、声を出すように思われているのである。また、蝉たちは、胸の 下の生まれつきもっている体表に一種の薄膜があり、ここで圧迫された空気を羽 でこすって、声を出す。すなわち、発声器官によって声を発するわけではないの である。またハエ類は、飛んでいる最中に羽で空気を撃って鳴く。むろん、とまっ ているときにはもはやぶんぶん言わない。ブダイ類も口で水を勢いよく噴出して 鳴き声をつくる。むろん、深みでは声を出さない。
2981 "Proikios"
報酬なしにということ。「道行く人間どものために 報酬なき歌い手」と。蝉 が〔なんで蝉が主語なんや!?〕『詞華集』(Book VI, epigram 120)の中で言っ ている。
Sigma_122 "Sardanapalous" 〔人名。「サルダナパロスの」の意〕
『ペルシア史』第2巻の中で、カリステネス(Kallisthenes)は、〔サルダナパ ロスという人物は〕二人〔=二重人格〕 ひとりは精力的で高貴な生まれ、も うひとりは軟弱者 であると主張している。また、『ニネベ』の中では、この 人物の言及に際して、次のことを付言している。「アナキュンダラクセス(Anakyndaraxes) の子〔サルダナパロス〕はタルソス(Tarsos)とアンキアレー(Anchiale)とを1日 で建設せり。喰らえ、呑め、愉しめ、 他にはこれの値打ちもないゆえ」〔ス トラボン『地誌』C672〕。これとは、すなわち、指による爪弾きのことである。 というのは、記念に建てられた奉納物は、頭の上に両手をかざし、まさに指で爪 弾かんとしているすがたでこしらえられていた。タルソスに近いアンキアレー― ―今はゼピュリオンと呼ばれている にも同じ文句が刻みこまれている。こと わざにも、「老齢の点ではティトノスよりも甚だしく、キニュロスよりも裕福、 サルダナパロスよりも贅沢、このことわざの意味がおまえにあてはまる。年寄り は二重に子どもだということ」。これは老いぼれたちにあてはまる。というのは、 ティトノスは祈りによって老いの皮をかなぐり捨てて蝉に変身した。キニュラス はキュプロスの王パルナコスの子孫だったが、富で抜きんでていた。サルダナパ ロスは、アッシュリアの王だったが、放縦と贅沢で暮らし、おのが支配権を潰え させた。このサルダナパロスは、ペルシアの領土たるニネベの王アナキュンダラ クセスの子であった。この人物が1日でタルソスとアンキアレとを建設したので ある。またこの人物が破廉恥にも化粧していたことは、宦官や処女たちを別にす れば、肉親たちにも眼にされることはなかったと伝えられている。そして酒に焼 けただれ、内にいるところを見つけられて殺された。彼の墓には、アッシュリア 語で刻まれている、「アナキュンダラクセスの子サルダナパロスは云々」と。
1694 "Syphar" 〔外皮〕
革、人間の皮。「わしのしなびた皮にかけて、されど、この乾いた樹にかけて、 然り」〔出典不明〕。カリマコスは、『ヘカレー』の中で。「"syphar"とは蛇や 蝉の抜け殻(endyma)のことで、"lepis"〔殻〕の類義語」と。
Tau_338 "Teretismata"
艶歌。あるいは、くだけた歌曲。蝉あるいは小夜啼鳥の〔鳴き声の〕隠喩に由 来する。
377 "Tettigophoroi"
アテナイ人たちのこと。彼らは、大地から生まれた者たる徴として、黄金製の 蝉を身につけていたからである。トゥキュディデス第1巻〔第6章〕。「〔彼ら は〕頭髪に黄金製の蝉の簪を身につけていた」。あるいは、音楽的な人たちとい うこと。蝉は音楽的だから。また、大地から生まれた人たち、アテナイの建設者 エレクテウスが、大地から生まれたことに由来するからである。
378 "Tettigon anamestoi"
アリストパネスが蝉を譬えに使ったのは、往古の人たちは髷の簪に、黄金製の 蝉を使い、アテナイ人たちは、蝉と同様、アウトクトネス〔地生え〕である証拠 としたからである。
〔アテナイ人たちのアウトクトネス観については、VINCENT J. ROSIVACH の詳 しい論文を訳出しましたので、ご参考までに 「アウトクトネス観とアテナイ人たち」(Vincent J. Rosivach)〕
379 "Tettigonos."
〔参考までに380 "Tetiemenos"
"tetimoremenos"〔現在完了/中・受動相/分詞〕の意〔この語は、「イリア ス」第11巻556、「オデュッセイア」第4巻804 などに登場し、呉茂一は「心を 傷めつつ」と訳している〕。また、"Tetiesthon"も。これは"tetimoresthe"〔現 在完了/中・受動相/2人称複数形〕の意〔「イリアス」第8巻447。呉茂一は 「ふさいでいる」と訳している〕。〕
437 "Tephra"
蝉の一種。というのも、tephra、membrax、他にもdakettasや、別種のkerkops。 また、一種のアケタス(achetas)や別種のアカンティアス(akanthias)を言う人た ちもいる。わたしはこれらを耳で聞いたうえで受け容れた。しかし、上述のこと 以上にどれほどのことがわかろうとも、次のことは言える。アケタス(achetas) とアカンティアス(akanthias)は蝉の種類ではなく、蝉の別名で、アカンサスの なかで鳴くことに由来するということである。
578 "Tithonos geras" 〔ティトノスの老いの皮(geras)〕
ことわざ。長生きして老いぼれた者たちに適用される。ティトノスは老いの皮 を脱ぎたいと欲して、蝉に変身したと語り伝えられる。アリストパネスいわく。 「ティトノス爺さんをこなごなにし、おろおろさせ、こんがらかせて」(アリス トパネス『アカルナイの人々』688)。
877 "Toi se"
"dio se"〔の縮約語。「されば、御身」の意〕。詞華集にある。「されば御身、 レトの浄福なる子よ、御身の蝉を〔エウノモスは〕讃えるなり」(Book VI, epigram 54)。
1217 "Typhloteros leberidos"〔蛻(ぬけがら)よりもめくらの〕また "Kenoteros leberidos" 〔蛻(ぬけがら)よりもむなしい〕 とも
両方とも言われる。蛻(leberis)とは、例えば〔語源的には〕"leperis"。また "lepostatai"〔「後に残したもの」というほどの意味か?〕とも。蝉たちにも適 用される。また老いの皮(geras)を後に残すものすべてにも。
//END
この俺はいまだかつて、/
おまえほどおしゃべりな女に会ったことがないぞ。いやさ、/
ケルコペだろうがカケスだろうが、ナイチンゲールだろうが燕だろうが、/
雉鳩だろうが蝉だろうが、とてもおまえにゃかなうまい。/
(柳沼重剛訳『食卓の賢人たち』第4巻133b)