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シケリアーのディオドーロス





[解説]

シケリアーのディオドーロス(ディオドールス・シクルス)

(前90頃〜前27頃) カエサルおよびアウグストゥス時代のギリシア系歴史家。シケリアー(現・シチリア)島のアギュリオンAgyrion(現・Agira)の人。エジプト、ローマなど各地を旅行し、全40巻から成る大著『世界史(歴史叢書)Bibliotheke』を30年を費して執筆(前60〜前30)。世界の始まりからカエサルのガッリア遠征(前54)に至るまでの諸事件を、主にアポッロドーロスの『年代記』に依拠しつつ編纂した。エポロスやヘカタイオス、ティーマイオス、クテーシアース、メガステネース、ポリュピオス、ポセイドーニオスら先行する大勢の史家の作品を無批判に引用しているため、独創性に欠け、伝承および年代処理に混乱が生じてはいるが、大衆向けに平明かつ面白く書かれた歴史書として、また散逸した古代の史書を忠実に採録・保存した点で価値がある。内容は第1巻がエジプト、第2巻はメソポタミアーからインドに及び、その後ギリシア・ヨーロッパを経て、第7巻以降はトロイアー戦争よりアレクサンドロス大王、そして作者の同時代のカエサルまでを扱っている。第1〜5巻と第11〜20巻が完全に伝わり、その他は抜粋と断片のみが残存する。数々の神話物語の異伝や、当時知られていた世界各地の習俗、歴史、産物、地誌が詳細に満載されていて興味深い。

 このほか、シノーペー出身の新喜劇詩人ディオドーロス(前3世紀初頭)やペリパトス(逍遙)学派の哲学者テュロスのディオドーロス(前2世紀後期)、アレクサンドレイアの数学者にして天文学者のディオドーロス(前1世紀)、 文法学者タルソスのディオドーロス(前1世紀)、旅行家・地誌学者のディオドーロスD. Periegetes (前4〜前3世紀)など大勢のディオドーロスの存在が知られている。

Euseb. Chron., Praep. Evang. / Phot. Bib!. 244/ Suda/ Cic. De Or. 1-11, Tusc. 5-30, Fin. 2-6, -11, 4-18, 5-5, -8, 25/ Ath. 5-180,6-235, -239,10-431, 12-541〜542, 13-591, 14-646/ Clem. A!. Strom. I, 2/ Strab. 14-675/ etc.
(松原國師『西洋古典学事典』)





[目次]

  1. [底本]

    TLG 0060
    DIODORUS SICULUS Hist.
    1 B.C.
    Geographic epithet: Siculus

    0060.001
    Bibliotheca historica (lib. 1-20)
    Hist.
    K.T. Fischer (post I. Bekker & L. Dindorf) and F. Vogel, Diodori bibliotheca historica, 5 vols., 3rd edn. Leipzig: Teubner, 1:1888; 2:1890; 3:1893; 4-5:1906 (repr. Stuttgart, 1964): 1:1-533; 2:1-461; 3:1-497; 4:1-426; 5:1-336.

    0060.002
    Fragmenta sedis incertae
    Hist.
    F.R. Walton, Diodorus of Sicily, vol. 12. Cambridge, Mass.: Harvard University Press, 1967: 296-302.
    Breakdown: frr. 1-14

    0060.003
    Bibliotheca historica (lib. 21-40)
    Hist.
    F.R. Walton, Diodorus of Sicily, vols. 11-12. Cambridge, Mass.: Harvard University Press, 11:1957; 12:1967 (repr. 11:1968): 11:2-456; 12:2-294.

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