エウトキウス/エウトキウスの「星占い」から
ギリシア占星術文書目録4321_001
レートリオスの占星術の質問集、アンティオケイアのテッサロスからの抜粋集
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[人物]
5〜6世紀の人。500年頃に『フロールイト(Floruit)』を著す。かなり典型的な人物で、CCAGの補遺にある彼の著作の多くの部分から判断するかぎりでは、その体系は基本的にはプトレマイオスと同じであり、ブトレマイオス自身ばかりでなく別の似たような資料に基づいていた。しかしその著作が扱う範囲は『テトラビブロス』よりも広く、しかも説明がかなり細かくなっている。三角宮trigons(『テトラビブロスJ I.19 参照)の説明には、ほとんどの後の占星術師と同じく、元素が含まれている。すなわち、火の三角宮はおひつじ宮、しし宮、いて宮、土の三角宮はおうし宮、おとめ宮、やぎ宮、空気の三角宮はふたご宮、てんびん宮、みずがめ宮、そして水の三角宮はかに宮、さそり宮、うお宮である。これはまさに現代の占星術書に見らるものである。プトレマイオスでは幸運箭ひとつだけであるが、レートリオスは、幸運箭、善の箭、ダイモーンの箭に加えて、昼の18箭と夜の17箭を表にしている。かに宮が’世界のホロスコープ’ thema rmundi ……におけるアセンダントにあっ たという理由で、獣帯の初めにかに宮を採用する占星術師もいれば、太陽の宮ということでしし宮で始める占星術師もいるが、春分点のあるおひつじ宮から始めるほうがよい、と彼は言っている。月はプトレマイオスよりもレートリオスにとって重要であった。月の昂揚と失墜が何よりも重要なのは、「月がすべてものの運勢であり、運勢が昂揚される場所では何ものも失墜せず、月が失墜する場所では何ものも昂揚し得ないからである」。彼の家の表はプトレマイオスのものと同じであるが、宮や惑星と同じように、それを男性と女性に分け、さらに詳細に述べている。例えば、「もし水星が良い、特に土星の家にあり、木星、土星、火星と良いアスペクトにあれば、それは占星術師、預言者、僧侶を生み出すだろう。もし土星がアセンダントにあって水星の家にあるか、水星がアセンダントにあれば、それは立派な数学者を生み出すだろう」。(テスター『西洋占星術の歴史』)
レートリオスの用いた428年のホロスコープについては、CCAG, VII. 1, pp. 221 ff. を見よ。
[底本]
TLG 4321
RHETORIUS Astrol.
A.D. 6
Aegyptius
TLG 4321 001
Rhetorii quaestiones astrologicae ex Antiochi thesauris excerptae (e cod. Laurent. 28.34 et variis codicibus aliis)
Astrol.
F. Boll, Codices Florentini [Catalogus Codicum Astrologorum Graecorum 1. Brussels: Lamertin, 1898]: 142-164.
<レートリオスの>アンティオコスの宝物から、あらゆる天文術の解明と解説
(142)<序>
2019.10.09. 訳了
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