title.gifBarbaroi!
back.gif<病気と健康について>

ギリシア占星術文書目録4350_120

トポスについて無題の抜粋





[底本]
TLG 4350 120
Excerptum acephalum de locis (e cod. Laur. plut. 28, 34, fol. 130)
Astrol.

Date of manuscript = A.D. 11
F. Cumont, Codices Florentini [Catalogus Codicum Astrologorum Graecorum 1. Brussels: Lamertin, 1898]: 167-169.



1.
(167)
 諸々の箭の発見の行道を……。それではさあ、その〔行道〕を伝授しよう。先ず初めには幸運箭から始めよう、この女神は、助長するにせよ減退させるにせよ、その〔行道〕に属するものらにより多く親縁なものとして生まれついており、そのためあの最も神的なヘルメース・トリスメギストス・ピビはこれを月にも譬えているからである。次いでその後で、善きダイモーンの〔箭〕を〔説明しよう〕、魂の性格、知慮、選択はそれから知ることができるからである、あたかも、身体と身体に関する〔事柄〕とが運によって〔知られる〕がごとくに。後者については、特に最大の占いは魂の性格と諸身体の過ごし方を知ることから導き出され、いわば、魂が上天からこの世にやって来ていかに過ごすかは、身体と身体に関する情態とが(端的にいえば、われわれにはどうしようもない事柄すべてが)どうであるかと同じことなのである。それゆえ、ダイモーンと運の箭を、あらゆる箭に先立って探求しなければならないのである。もちろん別の原因をも、ダイモーンと運の箭をあらかじめ計算しなければならない所以は、自余のすべての〔箭〕もこれら〔の箭〕から計算しなければならないと云え。だから、これらが算出されなければ、自余の〔箭〕は算出できない。されば、以上が美しく述べられているのだから、提起されている〔問題〕に進み、幸運箭が算出される所以の行道を探求しよう。

 すなわち、誕生時に、あるいは端的に云っていかなる行事であれ着手する時期に、太陽がいかなる獣帯星座のいかなる度数にあるかを観察しなければならないことは、月がいかなる獣帯星座といかなる度数にあるか、かてて加えて、ホーロスコポスもいかなる獣帯星座、いかなる度数にあるか〔を観察しなければならないの〕と同様である。そしてこれらが発見された場合、もし誕生が昼間なら、太陽から月までの度数の間隔はそのときに測量できる。次いで、発見された間隔のこの度数に、ホーロスコポス上に発見された数を合算する。次に、これが各獣帯星座に与えられている30度をホーロスコポスから引き、発見された数がいかなる獣帯星座のいかなる度数にあるかを考察し、そこに幸運箭があると言う。例として、(168) 太陽が双児宮12度、月が宝瓶宮28度、ホーロスコポスが天秤宮で昼間の誕生とせよ。この場合、太陽から月までを間隔として計量せよ、誕生が昼間だからである。そこで太陽のある双児宮12度、月のある宝瓶宮28度を取れ。〔合算すると〕40度になる。次いで、間にある獣帯星座を30度ずつ合計せよ。すると、双児宮と宝瓶宮との間には〔獣帯星座が〕7つ。30〔度〕の7倍は210。太陽と月がある獣帯星座の〔度数〕をも加算する。250になる。ホーロスコポスの10度をもわたしは加える、前部で260になる。それから、ホーロスコポスから引き、ホーロスコポスに最初の30〔度〕を与えよ。???。すなわち、30の8倍は250?〔240でないと合わない〕。余り20。これを双児宮に与える。そこでわたしは言う、幸運箭は双児宮の20度である、と。それから、双児宮がいかなる情態にあるかを観測する。はたして、上昇点のように基本方位のトポスを占めているのか、それともそこに吉兆星のいずれかがあるのか、またその他、占星版に記載されるすべてを。そういうふうにしてこそ、身体に関する事柄とか、将来身体に起こるであろう事柄についてわたしは表明できるのだ。そして以上が、昼間の誕生には etc. ……

 当然ながら、最初の7つの箭??は通有的〔な箭〕 — わたしが言うのは7つの星々の〔箭〕、最も神的なヘルメースが次のような名称で呼称したもので、月の〔箭〕を運、太陽の〔箭〕をダイモーン……等々と名づけたものである。自然本性的にも月は運として現成し、太陽はダイモーン、金星はエロース、水星の箭は必然、火星のは敢行、木星のは勝利、土星のは瞋恚として〔現成する〕。しかしこれらの中央のホーロスコポスは、全世界の基礎として現成して害を及ぼす所以は、それから生じたものが最初に生命を引っ張ること、万事がそれからカタルケーを有するのと同様である。運もまた身体に関する万事と人生における諸行為とを象徴し、所有・栄光・特権の指標として現成している。ダイモーンの方は、魂とトポスと知慮とあらゆる権力の主であるが、往々にして諸行為についても言説を共働者と為すことがある。また、エロースは、選択によって生じる諸々の衝動や諸々の欲望を象徴し、友愛と恩恵の原因として現成している。ところが必然は、諸々の不安・従順・喧嘩・戦争、敵意と憎悪、有罪判決、その他にも人間どもの身に起こるありとあらゆる暴力的な事柄を引き起こす。敢行は、(169) 蛮勇、策謀、力、あらゆる悪行の原因として現成している。勝利は信念と善望と競争とあらゆる共同の、さらにまた策謀と遭遇の原因として現成している。瞋恚は、大地のダイモーンたちや隠されているものら、証拠・脆弱さ・逃亡・喪失・悲嘆・死の性質の原因として現成している。基礎つまりホーロスコポスなるものは、生と気息の原因として現成している、それは誕生すると同時に大気から生ずるあらゆるものが、水時計で計測された<刻限の>一瞬(これは誕生時に定められている)のうちに生命の息を知るが、これが全体の指標である。

2018.11.21. 訳了



[トポス(tovpoV)/ロクス(locus)]
 黄道円を12に分割することはメソポタミアが発祥の地と考えられるが、同じく黄道円を36に分割する「デカン」と「トポス/ロクス」は、エジプト天文学の寄与であることをテスターは示唆する。
 このうち「トポス/ロクス」は、人生のさまざまの領域を支配し、この’世界’mundusで起こることに関係しているので、’世界の家’mundane houses とも呼ばれる。しかし、この’家’という呼び方はじつに紛らわしい。というのは、各惑星は自らが’支配星’となる1つないし2つの宮をもっており、その宮も惑星の「宿」house(oi\koV、domus)と呼ばれるからである。現在では、後者の「宿」に対して前者は「家」と呼びならわされている(本翻訳では前者は「トポス」と原語で呼びならわしている)。
 「トポス/ロクス」と紛らわしいのが「箭(klhvroV)」であるが、「古代人は完全に混乱し、また人を混乱させている」。
 「現存する資料から知られる幸運箭は、確かにヘレニズム期にエジプトで生まれたものであるが、究極的にはさらに古いバビロニアの’月の場所’すなわち大神シンに由来するのかもしれない。月はバビロニアの天文学と占星術では非常に重要であり、暦は太陰暦であった。幸運箭の位置を計算するさまざまな方法すべてに月が関わっていたこと、そしてそれが時に「月のホロスコープ」と呼ばれていた事実から、古くからバビロニアと関係があったことがうかがえる」(テスター『西洋占星術の歴史』)。

forward.GIF惑星の植物について