[底本] 9. (129) アレクサンドロス王の〔書〕『惑星と諸々の宮<において>効能を有する7種の植物の能力について。これらのうちの各々は次のような能力を有する』ノエムブリオス月〔12月〕とペブルゥアリオス月〔2月〕に。さて、第1の植物は、土星のいわゆるアスポデロス〔ツルボラン、Dsc.II-199〕。この液汁は、単独でも蘇合香といっしょでも、(130) 膝や脛の痛い者たちに最も善く効く。というのも、苦痛や疲労を癒やすからである。また根も少量煮られて、腎臓の痛い者たちに与えられる、それ〔腎臓〕を浄化し健康にするからである。これは、亜麻布の包帯や毛皮で巻きつけられると、ダイモーンに憑かれた者たちや恐れる者たちを癒やす。ダイモーン的なものらが家に侵入することを許さないからである。これが歯痛の幼児に巻きつけられても、それ〔歯〕が痛みなく生えるよう調える。また夜を恐れる者たちや戦慄する者たちにも効能あり。 イウゥッリオス月〔7月〕に。第2の植物は太陽のポリュゴノス〔Dsc.IV-4 ミチヤナギ、Dec.IV-5 スギナモ〕。獅子宮(これは太陽の家である)意をとって「カマイレオーン」〔Dsc.III-10 白カメレオン、Dsc.III-11 黒カメレオン〕と謂う者たちもいる。これが飲用されると、胸まわりや口のまわりの痛みを治癒させるのは、これらの部位にこの宮が君臨し、その名称からして一種の共感(sumpavqeia)を有するからである。この液汁が飲用されると、出産や性愛をすぐにしようとする者たちを程よい情態にする。この根が巻きつけられると眼病患者の痛みを除く。もしひとがその情態を被る前に巻きつけられると、全然被ることはない。また巻きつけられると、脳炎患者にも嗜眠症患者にも効くこと、あたかも (131) 太陽が心の場を抽籤したかのごとくである。また肺病患者たちにも楽な呼吸をもたらし、脳炎患者たちにも肺病患者たちに益し、この液汁が飲用されると女の下痢にも関係し、糖尿病にも関係する。 イウゥニオス月〔6月〕に。第3の植物は月のキュノスバトス〔Dsc.I-123〕である。これの液汁は胴や口や脇腹の激<痛>を取り除くが、それは月が宮とともにこの部位を抽籤し、多産に協働するするからである。この植物の花は肥大した脾臓を綺麗にし、その結果、胃と尿を通して灰色の液が出てゆく。また他の†万事のために†働き協働するように思われるが、それは月も脾臓の性質を有し、この植物が月のように減少もし増加もするからである。それゆえ誕生の際に形姿を採り、????するからである。この植物の根の方は、眼に当てられると、血が出ていても、驚異的に癒やすが、それは、月が眼の光を抽籤しているからである。口に疾患のある者たちにも効能があり、食べ物を消化できない者たちにも、この液汁が飲用されると助ける。さらにまた疝痛患者たちにも四肢を傷害された者たちにも効く。 オクトーブリオス月〔10月〕とマルティオス月〔3月〕において。第4の植物は火星のアルノグロッソン、いわゆるペンタネウロス〔Dsc.II-153 セイヨウオオバコ〕である。これの根は、巻きつけられると、頭痛に顕著に効く、たとえ世界の頭がアレースの家<であると>(132) 思われてもである。同様に恥部の悪疾も汚い腫瘍も癒やす。<というのは>この植物の種子は湿布剤にされると、腐敗した傷をもその患部において癒やすからである。赤痢患者にも喀血患者にも吐血患者にも効能あり。またこの液汁は洗浄され飲用されると血の異常流出をも癒やす。 マイオス月〔5月〕とアウグゥストス月〔8月〕において。第5の植物は<水星の>いわゆるペンタピュッロス〔「5つ葉」Dsc.IV-42〕(一部の者たちはアントローポケイロン〔「人間の手」〕という)である。これの根は、関節に起こる打撃とか炎症を癒やす。また、刻まれ塗布されると、打撃から構成される諸症状を解く。さらにこれの液汁は、水といっしょに飲用されると、胃の差し込みをたちどころに解く。また喉や胸に起こる諸症状も痛みなく健康な状態にする。また洗浄されると歯痛をも解き、口中のあらゆる厄介を治癒させる。また巻きつけられると、言葉と交わりの幸運に最美となる。また弁論や文字で演説する者たちをも (133) 達成者となす。さらにまた大王たちに責任を追及する者たちをも、遭遇した言説に聴従しやすき者となし、おとなしさも善き行為をももたらす。また液汁が飲用されると、排尿困難にも尿結石にも益する。 デケムブリオス月〔11月〕とイアヌゥアリオス月〔1月〕に。第6の植物は木星のヒュオスキュアモン〔Dsc.IV-69 ヒヨス〕である。これの根は巻きつけられると、横痃〔股間に生ずる悪性の腫れ物〕によく効く。患部を解熱したまま守るだろう。もしひとが罹患する前に巻きつけられるなら、その症状を経験することは決してないだろう。さらにまた痛風患者たちにも、刻まれて塗布されるとよく効き、その患部の発熱も、とくに集合をも解く、この星と宮こそが脚と大腿を抽籤しているからである。またこの液汁が蜜を混ぜた乳(melivkraton)といっしょに飲用されると、共感性によって肝臓を病む者たちに益する、いやしくも木星が肝臓を領有するからである。神話も彼を色好みとして造形する所以は、精子は肝臓の熱によって血管から生殖器に入りこむことで生まれると言われるからである。同じ星が誕生<の際にまさに>虐待されて肝臓患者をつくったからだ。(134) これの液汁は、単独であれ、コロコスと蜂蜜といっしょにであれ、飲用されると、過剰に交合する者らに効く。また巻きつけられると、女を満足させたい者らに有用である。というのは、優美で婀娜っぽい者たちにするからである。 金星の植物。セプテムブリオス月〔9月〕とアプリリオス月〔4月〕において。第7の植物は金星のマンドラゴラ〔Dsc.IV-76〕である。これの根は、頸に巻きつけられると瘰癧、腫瘍、喉の腫れ〔耳下腺炎〕、横痃〔股間に生ずる悪性の腫れ物〕を癒し、塗布されると口蓋垂炎と扁桃腺炎を和らげる、それはこの星もそれらの部位に共感するからである。また痔瘻とその部位にできる瘤を癒やし、汁液は蜂蜜と炭酸ナトリウム〔炭酸ソーダ〕といっしょに飲用されると、呼吸にかかわる諸症状を軽減し、善い呼吸をもたらす、この星も気息の部位に傾注していると思われるからである。さらに性愛を目覚めさせる。というのは、交合を選ぶ者たちにより過剰な衝動をもたらすからである。またこれの最大事を云えば、巻きつけられるとこのような衝動<から>妊娠を必然たらしめ、無考えな者たちを見張るであろう、????。逆襲されるからである。さらに根は、仕事場や家や場所に (135) とどまると、働きや優位や善き行為をもたらす。また根は巻きつけられると、植える者らや子どもたちにもよく効く。なぜなら、善学的で優美で邪眼を被らぬ者らを守るだろうからである。消化にもよく効き、ダイモーン的なものらを追い払う。 とにかく、このような植物の採取を、汝は月の23日から月の30日までに為すだろう、太陽とその他の星に属する植物を、第1刻限に始めて採取するだろう。そして採取したうえで、使用と療治のために汝が渇望する限りのことを付言せよ。しかし引き抜きながらその場に小麦か大麦を置け、そうすれば効果的に用いるだろう。 2018.10.03. 訳了
「7惑星の植物について」 [惑星/暦月/12宮] |