title.gifBarbaroi!
back.gifテオピロス/ヘンルーダについて

ギリシア占星術文書目録4366_001

動物・植物・鉱石の力能について


[人物]
ハルポクラティオーン (後2世紀?)アレクサンドレイア出身のギリシア系文献学者。一説にウェールす帝の師。彼の編纂した『アッティケー十大弁論家辞典』が伝存し、古典期アテーナイの法律・宗教・社会・歴史・文化を知るうえで貴重な資料となっている。(『松原國師西洋古典学事典』)


[底本]
TLG 4366
HARPOCRATION Astrol.
A.D. 4
Astrol.
Alexandrinus
Cross Reference

TLG 4366 001
De facultatibus animalium, herbarum et lapidum (excerpta) (e cod. Mus. Hist. Mosq. gr. 508, fol. 124v)
Astrol., Med., Nat. Hist.

M.A.F. Sangin, Codices Rossici [Catalogus Codicum Astrologorum Graecorum 12. Brussels: Lamertin, 1936]: 200-201.
Cross Reference



12.
(200)

アレクサンドレイア人ハルポクラティーンから
<海のヤマアラシとエウアンティオンについて>

 ところで、「海のヤマアラシ」〔海胆〕の臍?は、、もし搗き砕いて、癲癇を患っている者たちに与えれば、たちどころに癲癇症が止む。ただし、蜂蜜とともにできるかぎりしばしば与えよ。
 またエウアンティオン石(われわれがパンクリュソンと謂うところのもの)に、アプロディーテー(結いあげられた頭髪と三つ編みをした)が彫られ、その下に植物の根とアエードーンの舌が置かれ、閉じられる。これを携行する者は、あらゆる人々に愛され、知られ、雄弁で、人々にひとり畏敬される、いや、獣たちにやダイモーンたちに畏怖される者となる。あらゆる獣が彼から逃げ去るだろうから。

<ヤツガシラについて>

 ヤツガシラは、天空を飛ぶ7色の、王者的で、2ダクテュロスの長さの、単純に構成された鶏冠を有する生き物だが、こちら〔鶏冠〕の方は4色で、時間にして4刻限に相当する。この鳥は、ある人たちのもとではkouvkoufoV〔エジプトの呼び名。Horap.I-55〕とかkou:poV〔Cyran.20〕と呼ばれるが、この生き物の自然的力能はあまりに驚嘆すべきものである。例えば、もしひとがこの生き物を切り裂いて、そのまだピクピクして活きている心臓を取り、太陽に相対して立ったまま呑み下す — それは第7曜日つまりサバットンの、第1刻限ないし第2刻限の始まるときだが — 、さらにまた、黒い牝牛の乳をも、述べられたものから成る少量の蜂蜜とともに飲み加える、以上すべてのことをできるかぎりに速やかに、注意深く閲しながら (201) というのは、呑み下されるのが健康な心臓であるためなのだが、実行すれば、天上・地上にある事すべて — 誰が魂に何をもっているか、地上のクリマや諸都市にどれほどの事が起こるか、あらゆる人間どもの未来 — を知る者となる。ところで、蜂蜜の構成物とは以下のものである。蜂蜜1コテュレー、できるだけすべすべした磁鉄鉱2個、エーリュンギオン草〔セリ科の植物。Dsc.III-24〕の隨〔?〕7つ。これらを搗き潰して蜂蜜と混ぜよ、さらに別の磁鉄鉱をも、この鳥が彫られたもの(これは蜂蜜の構成物の中に浸されなければならない)をも持て。で、汝が望む事について予知しようとするなら、彫刻された磁鉄鉱を提示し、喉に当てよ、そうすれば汝が望むあらゆる事を汝は予知するであろう。またもし、多くのものらを搗き潰した上で、ヤツガシラの別の心臓ないし肝臓をその構成物の中に投入すれば、これを実行する汝の身体を不調にしないためにより勝っており、記憶すべきである(というのは、数多の破滅を増大させがちであるから)。先ず第一に、以下の軟膏を塗布すべきである。オリーブ油1コテュレー、できるだけ搗き潰された野生小麦2。これを美しく搗き潰して一緒にして、保管された常備薬として保持せよ。そこで、塗る場合は、就寝するときにこれを塗布せよ。

<ハイエナについて>

 ハイエナは、四足の、極めて獰猛な生き物である。これを、月が処女宮にあって闕ける時に供犠し、その〔ハイエナの〕呼吸から、気がふれた者たちの飲み物として与えれば、治癒させられるだろう。

2019.05.23. 訳了


[パンクリュソン]
 pavgcrusonは「全金石」の意になるが、「豹石(パンテルス)」とも呼ばれるpagcpooVないしpagcpouV石〔「全色石」の意〕なるものがあり、これの別記と考えられる。オパールの一種と言われる。
「パンテルスは、それ一個の体に多くの色をおびた石である。黒、緑、赤、さらにそのほかいろいろと。薄い紫がかったもの、さらにパラ色のものも見つかっている。それは視力を半減させるともいわれる。石は大抵メディアの地域で発見される。石を身につける人は、成功するとか勝利するとかを願うためには、太陽が昇る朝早いときにその石を眺めるとよい。が、それはいろいろな 色のあるだけ、それだけ効能もあるといわれる」(大槻真一郎『西欧中世宝石誌の世界』)。

forward.GIF12宮の植物と7惑星の問題の小論