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back.gifひとが死ぬ日を知ることについて

ギリシア占星術文書目録5002_006

芍薬について


[魔術書]
 『ギリシア語魔術パピルス(Papyri Grace Magicae)』〔略称:PGM〕は、前2世紀頃から後5世紀頃までのギリシア語で書かれた魔術パピルスの集成。個別のパピルスが公開されることはあったが、網羅的な集成を手がけたのはK・プライゼンダンツで、標記のタイトルで1928年から1931年までに2巻本を出版した。後に改訂、補充され、現在に至っている。(大貫隆・筒井賢治編訳『新約聖書・ヘレニズム原典資料集』の著者・著作解説より)
 TLG5002_006 から 5002_017 に収められているのは、Catalogus Codicum Astrologorum Graecorum(=CCAG) 12 に、M. A. F. Sangin の校訂で収録されているものである。


[底本]
TLG 5002
MAGICA Magica, Nat. Hist.
Varia
Magica, Nat. Hist.

TLG 5002 002
De paeonia (excerptum e cod. Petropol. Mus. Palaeogr. Acad. Scient., fol. 47v)
Astrol., Magica
Date of manuscript = A.D. 17
Vernacular

M.A.F. Sangin, Codices Rossici [Catalogus Codicum Astrologorum Graecorum 12. Brussels: Lamertin, 1936]: 117-118.



12.
(117)

芍薬について

 汝がこれを大地から根刮ぎしようとする場合は、月の第5日、???な日にこれを根扱ぎし、以下のように調えようとするであろう:つまり、ひとつの黒くわずかなパンと蜂蜜と塩と小麦、神聖なkeri??と、香料付きの炭??を汝の身に携行し、主の祭壇の土台の4隅から、「三倍聖」とともに塵を取れ、そうしてその塵と蜂蜜と塩と小麦とパンと根堀鍬を執って、その植物の3つの溝の地面を掘れ、そうして,布でその大事な〔髭根〕を削ぎ落とさないようにして、炭に火をつけ?、香料をふりかけ、次いでこれを上から下に、(118) 植物の3つの溝にある布に投げこみ、その上に香を焚け、そして神官は「祝福さるべき神」、「解散のトロパリオン」、「神の生母のコンタキオン」を勤めよ。次いでそれ〔シャクヤク〕を引き抜け、その上に小麦と塩をふりかけ、「聖なる、聖なる、聖なる、充満せるサバオート」と勧請を始めよ。そうして次のように言え。「三倍偉大なパイオーニア、諸々の植物の聖なる母、万人の恋するいと気前よき方???、の不死なる天使、???、上天より墜落せるオロエール、エレエール、アルシコス、リエ・コイラネ・クロネ、そして彼〔?〕とともに充満〔女性名詞〕がこの祭儀をそそのかせて、この〔祭儀〕とともに、この祭儀の交わりが属するところのその〔充溢の〕諸々の恩寵をして、万物の強さ、祭儀の強さにあらしめたまえ」???。

 そこで、これの実は、神官たちの臨在するところで、塩少々とともに、????飲用すべく与えよ、そうすればの恩寵によって癒やされる。

シャクヤクについて

 グリュクシディオン草と言われるのはシャクヤクのことである。この薬草の薬効は以下のとおりである:舌を縛られた者は、これの根で燻せられ、????

 ダイモーンに憑かれた者に他の方法。もし汝がその葉と根を燻せば、その家に悪を入りこませることはないだろうし、その境界からダイモーンを追い払うためにも、汝が逃れるためにも、それ〔シャクヤク〕を燻せ。同様に海狸膏??とも同じ効能を有し???、シャクヤクの種子を葡萄酒で服用する者は、(119) あらゆる悪から癒やされ、あらゆるつまらぬ出来事から購われ、????。右膝に括りつけられた種子は生育することで、脾臓〔病〕と喀血に益する。もし汝がこれを自分の家の中に有すれば、ダイモーンがやって来ることはなく、携行する者は魔法を恐れることもない。

2019.11.07. 訳了


[讃歌]
・「祝福さるべき神(oJ eujloghto;V qeovV)」:祭儀において、「われらの祝福さるべき神よ云々」で始まる讃歌。
・「三倍聖」=「三倍聖なる讃歌(oJ trisavgioV u{mnoV)」。
・「解散の辞(to; ajpolutikovn tropavrion)」:祭儀の終わりに唱えられたり歌われたりする。to; tropavrion th;V hJmevraVとも言われる。どの教会の祭りも適切な ajpolutikovn ないし ajpolutivkion を有する。
・「コンタキオン」:総括的な見解ないし教会祭儀の実質を内容とする短い讃歌。「コンタキオン」の多くは、アナスタティウス1世帝期〔491〜518〕に盛年であった聖ロマヌスに帰せられる。(E. A. Sophocles, Greek Lexicon.)
・「充満せるサバオート」:「充満(plhvrhV)」は「物質が充満した空間」の意で、ストア哲学の用語である。中性名詞。次の”plhrvth”は女性名詞。

[ロマヌス〔旋律の詩人〕]
 賛美歌作家。6世紀。祝祭日は10月1日。
 彼は、ビザンティンの賛美歌作家の中で最も偉大で、最も独創的であった。ユダヤ系のホムズ出身のシリア人で、ベイルートで助祭として仕え、その後コンスタンティノープルに移った。彼の生涯については、それ以上のことは知られておらず、彼がその作者であると信じられている千もの賛美歌のうち、残っているのはわずかに80にすぎない。それらは明るく劇的で、偉大な典礼詩であるが、趣味を異にする者には、あまりに長く、散漫で手がこみすぎているきらいがある。ロマヌスは、コン夕キオンと呼ばれている賛美歌の類型にその古典的な形式を与えた。このコンタキオンは、イギリスで知られていない訳ではなく、一番有名なのは、「この日、おとめは超越者を生んだ……」という、伝統的にクリスマスに歌われる賛美歌である彼の賛美歌の主題は、旧・新約聖書全般と教会の祝祭に及んでいる。(『聖人事典』)
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