ヘルメス選集(CH) III

聖なるロゴス





[底本]
TLG1286
CORPUS HERMETICUM
vel Hermes Trismegistus, vel Hermetica
(A.D. 2?/4)
3 1
1286 003
Hieros logos, ed. A.D. Nock and A.-J. Festugière, Corpus
Hermeticum, vol. 1. Paris: Les Belles Lettres, 1946 (repr. 1972): 44-46.
(Cod: 344: Phil., Theol.)




ヘルメースの聖なるロゴス

1
 神・神性・神的自然は、万物の栄光(dovxa)である。神は — したがって理性も自然も質料も — 、万物の顕示へと至らせる知恵だから、諸有の初め(ajrchv)である。初め(ajrchv)とは、神性・自然・作用力(ejnevrgeia)・必然・終極(tevloV)・更新(ajnanevwsiV)である。
 ところで、深淵に、はてしなき闇と、水と、微細で叡智的な霊とが、神的な力によって空隙の中に、あった。すると、聖なる光が昇り、†砂の下に†湿潤な有性(oujsiva)から元素(stoicei:a)が凝固し、あらゆる神々が実り多き自然を†あまねく関係づけた†。湿潤な砂の上に確定したのは、全体が火によって確定され、霊気にのしかかられるように〔性的意味あり〕ぶら下がったときである。


 さて、万物が不定で、いまだ形作られていなかったとき、軽いものら〔元素〕は分離して高みへと向かい、重いものら〔元素〕は湿潤な砂の上に土台を置き、万物は火によって分離されて、霊気にぶら下がり、〔霊気に〕のしかかられる形となった。それから、天が7層の球状をなして現れ、神々は星辰の形相をなして、そのあらゆる徴とともに見られ、…〔欠損〕…それ〔自然〕の内なる神々とともに分化し、周行は空を、円形の走路をめぐり、神的な霊気にのしかかられていた。


 さて、それぞれの神は、固有の力によって、自分に割り当てられたものを放出し、こうして、四足の獣、爬虫類、水棲類、有翼類、実りをなすあらゆる種や草、あらゆる花の新芽が生じた。彼らは再生の種子を†自分の内に拾い食いした†〔……そして〕人間どもの誕生、その目的は、神的な諸業の覚知と、自然の作用力の証のため、また、人間どもの数や、天が下なるあらゆるものらに対する支配や、善きものらの分別が、増しに増し、満ちに満ちるためである。そしてまた、肉の内なるあらゆる魂が、神々の円状をなす走路の†前兆の種を播き†を通して、天と、天上の神々の走路と、神的な諸々の業と、自然の活動を眺めるため、また、†善きことどもの徴のため†、神的な力の覚知のため、†運命が錯綜したとき†善きものらと悪しきものらとを覚知し、善きものらのあらゆる巧みを見出すためである。


 彼らによって開始されたのが、生活すること、円状の神々の走路に由来する運命に対して経験知を得ること、来るべきものへと解消することである。〔その結果〕技術の働きでつくった偉大な記念を地上に残し、†時間の名において、消え去らせ、有魂の肉であれ、実りなす種子であれ、あらゆる技術の働きであれ、その生成をも†〔残し〕、消滅するものらは、必然によって、つまり、神々の更新と、自然の数に表される円形の走路によって、更新されるであろう。
 なぜなら、神的なものとは、自然に更新される宇宙の全配合だからである。というのは、神的なものの中に自然(fuvsiV)も座を占めているからである。

2008.09.15. 訳了。


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