抜粋 XVII (XVII Scott)
Stobaeus 1, 49, 4, vol. I, p.321 Wachsmuth.

同じ人の〔書〕。

1
 さて、魂は完全な有性であり、初めに、宿命(eiJmarmevnh)にしたがった人生を選び取ったものであり、質料(u{lh)に等しいロゴス — 気性(qumovV)と欲性(ejpiqumiva)を有した — を自己に引きつけることを常とする。


 また、気性は質料に属する。これは、魂の思考(novhma)に対応した性向(e[xiV)を形成する場合は、勇気(ajndpeiva)となって、怯懦(deiliva)によって逸らされることがない。他方、欲性の方は、〔質料を〕もたらす。これは、魂のロゴス力(logismovV)に対応して性向を自己形成する場合は、慎み(swfrosuvnh)となり、快楽によって動かされることがない。


すなわち、ロゴス力(logismovV)は欲性の欠如を充満させるのである。だから、両者〔気性と欲性〕が同心し、等しい性向を形成し、両者が魂の思量(logismovV)をわがものとすれば、義しさ(dikaiosuvnh)が生じる。なぜなら、等しい性向は、それら〔気性と欲性〕から過度を取り除き、欲性の欠如を等化するからである。


 ところで、これらを支配するのは、思考の働きとしての有性(hJ dianohtikh; oujsiva)であり、自己の周到な思考の働きをするロゴス(perinohtikw/: lovgoV)の内に単独で自己に属し、自己のロゴスの強さ(kravtoV)を有するところのものである。


つまり、有性は支配者(a[rxwn)のように支配し嚮導するのであり、ロゴスはその〔有性の?〕いわば助言者のようなものである。


 さて、有性の、周到な思考の働きをするロゴス(perinohtikw/: lovgoV)は、ロゴスなきものにロゴスの力による推理をもたらすロゴス力〔複数〕の覚知(gnw:siV)であるが、〔推理の〕おぼろさは、ロゴス力に対してのごとく、ロゴス力はロゴスなきものに対してのごとくであり、それはあたかも、谺が音声に対し、月の明るさが太陽に対するがごとくである。


じっさい、気性と欲性は一種のロゴス力(logismovV)と合致し、お互いを引きつけ合い、自己の内に円状の考量(kuklikh; diavnoia)を引き寄せるのである。

2008.10.12.


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