神代地誌

ミーレートスのアナクシマンドロス



[略伝]

 哲学者のアナクシマンドロスとは別人。





生涯と作品

T1
SUID.「アナクシマンドロスの子アナクシマンドロス」の項。
 ミーレートス人、若い方の〔アナクシマンドロス〕、歴史家。ミネーモーンと呼ばれたアルタクセルクセース(404-358)の御代に生まれた。『ピュタゴラス派の信条(suvmbola)の解説』を書いた。例えば、「秤竿を飛び越えぬこと」、「戦刀で火をかきたてぬこと」、「パンを丸っぽ食べぬこと」等々である。

T2
DIOG. LAERT. II 2:
 他にもアナクシマンドロスがいた。歴史家で、彼もまたミーレートス人で、イオーニア方言で書いた人物である。

T3
XENOPH. Symp. 3, 6:
 「それじゃ承知しているかい」と彼〔アンティステネース〕が謂った、「吟唱詩人という阿呆の一種を」――「ゼウスにかけて、とんでもない」とニケーラトスが謂った、「ぼくにはちっともそうは思えない」――「明らかだからね」とソークラテースが謂った、「彼らが真意(hyponoia)を知識していないということは。しかしあなたはステーシブロトスやアナクシマンドロスや他にも多くの詩人たちにたくさんの銀子を与えてきたのだから、多くの価値あることは何もあなたに忘れられていないだろう」。

T4
PLIN. NH I 4:
 下記諸地域の位置、種族、……クレタ(20章)……外国の典拠著作家……ドシアデス(IV 58)、アナクシマンドロス(IV 58)、マルスのピリステイデス(IV 58)、ディオニュシオス(IV 64)……F 2参照。


断片集

『英雄論』

F1
ATHENAI. XI 498 AB:
 スキュポス(skuvfoV)。……ヘーシオドスは『メランポディア』第2歌(F 165)の中で、パイpを加えてskuvpfosと言う。……同様に、アナクシマンドロスも『英雄物語』の中で次のように言う。「アムピトリュオーンは戦利品を共闘者たちに与えたが、skuvpfoVばかりは自分のものとして持っていた」。さらに続けて、「ポセイドーンはそのskuvpfoVをわが子テーレボエースに与え、テーレボエースはプテレラオスに与えた。〔プテレラオスは〕これを持って船で去った」。アナクレオーン(F 82)も同様に〔パイpを加えて〕述べた……。

表題のない断片

F2
PLIN. NH IV 58:
 クレタ島……ドシアデス(III)は、この島はヘスペリスの娘でニンフのクレテからその名を得たのだという。アナクシマンドロスは、クレテス族の王にちなんで名づけられたのだという。マロスのピリスティデス(11 F 2)と(?)クラテスは、この島は最初アエリアと呼ばれ、ついでクレティスと呼ばれたのだという意見を持っていた。「恵まれた人々の島」というギリシアの呼称は、この島の気候が温和であることに基づくのだと考える人々がある。

F3
SCHOL. DIONYS. THRAC. [Gr. Gr. III] p.183, 5 Hilg.:
 ピュトロドーロスは『字母について』(IV)の中で、デーロス人ピッリスは『年代について』(II)の中で、カドモス以前にダナオスがこれを持ちこんだと謂う。彼らに加えて証言しているのが、アナクシマンドロス、ディオニュシオス(III)、ヘカタイオス(1 F 20)といったミーレートスの著作家たちで、アポッロドーロスも『軍船目録』(II)の中で彼らを引証している。

偽作

F4
FULGENT. Myth. I 15 p.25 Helm:
 〔未訳〕。

2007.10.20.


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