神代地誌

ミーレートスのヘカタイオス
(3/4)






断片集(2/3)

F101
同、「アブロイ族(SUID. 「ハブロス」の項)の項。
 アドリアに近いタウランティオイ族の族民だと、ヘカタイオスが。

F102
a) 「ラクモーン」の項。
 ピンドス山脈中の丘上、ここからイナコス河とアイアス河が流れ出ると、ヘカタイオスが第1巻のなかで。
b) STRAB. VII 5, 8:
 アオーオス河――この畔にアポッローニアという都市……ヘカタイオスはアオーオスをアイアスと呼び、〔この河の水源と〕同じ場所、つまりラトモス山周辺と、あるいはむしろ同じ山峡から、イナコス河が流れを発して南の方アルゴスに達し、アイアス河は西に〔流れて〕アドリア海に達すると謂う。
c) 同、VI 2, 4:
 また、地下を流れているという川は多く、この大地の上のいたるところにあるが、その距離がこれほどに達する例はない。また、もしもこれがありうるとしても、上述のような〔アルペイオスとアレトゥーサに関する〕出来事はまずありえないし、イナコス川にまつわる話はおとぎ話に近い。というのは〔イナコス川は〕、ソポクレース(F 249 N2)が謂うところでは、「水源をピンドス山の頂、ペッライポイ族領内の最高峰ラクモスに発し、アムピロコイ族とアカルナネス族の地へ流れ入り、アケローオス川と合流する」からだ。そして、すこし間を置いて、「そこから、アルゴスヘと、海の波間をかき分けて進み、リュルケイオンという町に至る」。……
 ヘカタイオスはまだましで、アンピロキア地方のイナコス川は、ラクモス山(この山からはアイアス川も流れを発する)から流れを発するが、アルゴリス地方の〔同名の〕川とは別で、アンピロコスによって命名された。〔この命名者は〕都市にもアルゴス・アンピロキコンという呼び名をつけた。そこで、この著者の謂うところでは、上記の〔イナコス川〕はアケローイオス川へ注ぎ、アイアス川の方は日没の方アポッローニアまで流れるという。

F103
STEPH. BYZ.「デクサロイ族」の項。
 カオニア人たちの族民、エンケレアイ族に付随する。ヘカタイオスが『エウローペー』で。アミュロン山の麓に居住する。

F104
同、「バイアケー」の項。
 カオニアの都市。ヘカタイオスが。

F105
同、「カオニア」の項。
 エーペイロスの中央。……所有を表す形でも、同人(Lykophr. 1320)は、「発音はカオニア語の後甲板(fqoggh;n eJdwvlwn Caonitikw:n a[po)に由来する」。ヘカタイオスは『エウローペー』で。「港はキライオスKirai:oV(?)、またカオニア地方には平野がある」。

F106
同、「オーリコス(Eustath. Dionb. Per. 321)」の項。
 イオニア湾内の都市。ヘカタイオスがエーペイロスの湖を『エウローペー』の中でオーリコスと呼んでいる。「次にブゥトロートスという都市、次にオーリコス湾」。しかし、驚異譚作者アポッロドーロス(II)は、それが都市であることを知っていた。男性名詞で言われると、ポリュビオス第6巻(14d)。「オーリコスの住民たちは、往古、侵略する際に、右側からアドリア海へと漕ぎ出て移動した」。

F107
STEPH. BYZ.「オレスタイ族」の項。
 モロッソイ族の族民。ヘカタイオスが『エウローペー』で。テアゲネースが『マケドニア誌』の中で謂うところでは、オレステースの狂気を祓うため、ヘリミネーとともに冥府の館を通って、この地に逃れ、オレステースという子をもうけた。これが支配者となって、オレスタイとと呼ばれたが、彼自身は……

F108
同、「ドードーネー」の項。
 エーペイロスにあるモロッシス地方の都市。……Dwdwvnh〔という都市名〕から〔つくられる市民名〕は、Dwdwnai:oV。ヘカタイオスが『エウローペー』で。「モロッソイ族の南方に、Dwdwnai:oiが住んでいる」。

ギリシア本土

F109
STRABON VI 2, 4:
 この都市をもアルゴス・アムピロキコスと呼んだアムピロコスによってF102cに続く。

F110
STEPH. BYZ.「エピレウカディオイ」の項。
 アカルナニアの次の都市。ヘカタイオスが『エウローペー』で。

F111
同、「リュゼイア」の項。
 アカルナニアの都市。ヘカタイオスが『エウローペー』で。ある人の子リュゼースにちなむ。

F112
同、「オリュクライ」の項。
 ナウパクトンに隣接する都市。ヘカタイオスが『エウローペーの周航』で。

F113
a)同、「カライオン(Cavlaion)」の項。
 ロクロイ人の都市。ヘカタイオスが『エウローペー』で、「続いてロクロイ人。ここにカライオンという都市、ここにオイアンテーという都市」。
b)同、「オイアンテー」の項。
 ロクロイ人の都市。ヘカタイオスが『エウローペー』で。しかしヘッラーニーコス(4 F 120)はこれをオイアンテイアと謂う。

F114
同、「ポーキス」の項。
 パルナッソス山に隣接する地方。ヘカタイオスが『エウローペー』で。ある人の子ポーコスにちなむ。

F115
a)同、「クリサ」の項。
 ポーキスの都市。ヘカタイオスが『エウローペー』で。ポーコスの子クリソスにちなむ。族称はKrisai:oV、そしてクリサ平野……だが一部の人たちはキッラに同じと謂う。
b)EUSTATH. Il. B 520:
 クリッサとは、平野にして都市、所在はロクロイ、あるいは、(Schol. A)大多数の人々の謂うにはデルポイ、由来は、ある僭主と、(Schol. A)デーイノネウスの娘アステロデイアとの子、あるいは、ヘカタイオスの謂うには、ポーコスの子、クリッソスにちなむ。

F116
STEPH. BYZ.「カイローネイア」の項。
 ポーキスの山脈に面する都市。ヘカタイオスが『エウローペー』で。「カイローネイアでは第1の都市」。カイローンにちなんで呼ばれた。アリストパネースは『ボイオーティア誌』第2巻(III)の中で、「この都市の建設者となったのはカイローンと言われる」……(4 F 81)

F117
同、「コローネイア」の項。
 ボイオーティアの都市。ヘカタイオスが『エウローペー』で。テルサンドゥラスの子コライノスにちなむ。

F118
同、「ゲピュラ」の項。
 ボイオーティアの都市。一部の人たちは、タナグライオイ人に同じと謂っていると、ストラボーン(IX 2, 10)ならびにヘカタイオス。彼にちなんでデーオーはゲピュライアとも。

F119
STRABON VII 7, 1:
 さて、ミーレートス人へカタイオスがペロポンネーソスについて謂うには、ここにはヘッラス人たちより前に非ギリシア民が住んだ。そして、ヘッラス のほとんど全域も古くは非ギリシア民のものだった、というのが伝承として残っている当の話から推定した結論である。まず、ペロプスがプリュギア地方から軍勢を率いて自分に因んだ名のついた「ペロポンネーソス地方」へ入 り、ダナオスはエジプトから入った。また、ドリュオペス、カウコーネス、ベラスゴイ、レレゲスそのほかこの種の諸族が「(コリントス)地峡」より内側と外側の両地域にわたって、それぞれに分かれ住みついた。すなわち、エウモルボスの率いるトラキア族はアッテイカ地方を領し、テーレウスはポーキス地方のダウリスを、カドモスとそのフェニキア人一行はカドメイアを、アオネス、テムミケス、ヒュアンテス諸族は当のポイオーティア地方を、それぞれ領した。(ピンダロスが謂うとおり(F 83)、『その昔ポイオーティア族がシュエス(豚)と呼ばれた時があった』)。また、いくつかの名から非ギリシア民であることがはっきりする例があって、たとえばケクロプス、コ ドロス、アイクロス、コトス、ドリュマス、クリナコスがそれである。また、トラキア、イリュリア、エーペイロス諸族は今に到るまで〔ギリシア本土の〕側面地域にいるが、以前にはなおのこと今日以上に〔広く〕住んでいた。現状では異論なくギリシアの地となっている地方ですら、その大半を非ギリシア民が領している。まず、トラキア族がマケドニア地方と一部のテッタリア地方を占め、アカルナニア、アイトーリア両地方を占めるのは高地テスプロートイ、カッソーバイオイ、アンピロコイ、モロットイ、アタマネスの諸族で、何れもエーペイロス系諸族である。

F120
STEPH. BYZ.「コリントス」の項(EUSTATH. Il. B 570)。
 ペロポンネーソスのイストモス〔地峡〕内の都市。ヘカタイオスが『エウローペー』で。この都市は、エピメーテウスの妻ミュルメークスの娘エピュラにちなんでエピュラと呼ばれる。

F121
STRABON VIII 3, 9:
 〔ヘカタイオスの〕謂うには、デュメーもエペイオイ族とアカイア族の都市であるという。(F 25を見よ)

F122
STEPH. BYZ.「メーキストン」の項。
 トリピュリア〔エリス南部〕の都市。ヘカタイオスが『エウローペー』で。エーリスにも別の都市がある。

F123
同、「アガムメイア」の項。
 ……ヘカタイオスでは文字が融合してマンティネーと言われる。

F124
同、「ヒュドレア」の項。
 トロイゼーンの向かいの島。ヘカタイオスが『エウローペー』で。

F125
HARPOKR.「カラウレイア」の項。
 ……トロイゼーンの近くの都市だとヘカタイオスが『大地の旅』の中で謂っている。昔は、カラウレイアはエイレーネーと呼ばれたとは、アンティクレイデース(II)が謂っているとおりである。

F126
STEPH. BYZ.「トリコス」の項。
 アカマンティス部族の区。しかしヘカタイオスはこれを都市だと謂う。

F127
HERODOT. VI 137:
 話はベラスゴイ人がアテーナイ人たちによってアッティカの地から追放された時に遡る。この放逐が正当なものであったか不当であったかについては、伝承されたところを記す以上に私のできることは何もない。まずへーゲーサンドロスの子へカタイオスはその著書の中で、放逐は不当のものであったと言っている。(2)それによればアテーナイ人たちは、アクロポリスにめぐ らした城壁構築の労に報いるため、自発的にヒュメットス山麓の土地をベラスゴイ族の定住地として与えたのであったが、もとはとるに足らぬ貧弱な土地であったのが、立派に開墾されたのをみたアテーナイ人は、その土地が嫉ましくなりわがものとしたい欲望にかられた結果、それ以外格別の理由を設けることもなくベラスゴイ人を放逐したというのである。(3)しかしアテーナイ人自身の言い分によれば放逐は当然であったという。ヒュメットス山麓に住みついたベラスゴイ族は、ここを根城にしてこんな悪事を働いたのだという。当時アテナイでは他のギリシア諸国同様まだ奴隷というものがなかったので、アテナイ人の娘〔や子供〕たちがエンネアクルノス注8)へ水汲みに通っていた。増長してアテナイ人を甘く見ていたベラスゴイ人たちは、娘たちが水汲みにくるのを狙っては乱暴を働いたのである。(4)しかも彼らはそれだけではまだ足らず、遂にはアテナイを襲う陰謀をめぐらしている時、その動かぬ証拠を抑えられてしまった。しかし自分たちは――とアテナイ人はいうのであるが――彼らよりは高級な民族であったから、彼らの陰謀計画の現場を抑えた暗殺すこともできたのに、そうすることを好まず国外退散を命じたのであると。右のような次第でベラスゴイ人はアテーナイの地を去り、諸方に住みついたのであるが、レムノスもその内の一つであったというのである。
 以上、はじめに述べたところがヘカタイオスの説であり、後の話がアテーナイ人たちの伝承である。

F128
STEPH. BYZ.「ヘレネー」の項。
 アッティカの島。ヘカタイオスが『エウローペー』で。イリオン陥落後、ヘレネーが上陸したという言い伝えがあるからである(Pausan. I 35, 1)。細長いのでマクリス〔長い島〕と呼ばれている。

F129
同、「カルキス」の項。
 エウボイアの都市。ヘカタイオスが『エウローペー』で。「カルキスという都市がある、昔はエウボイアと命名されていた」。アソーポス〔河神〕の娘、カルキスと呼ばれるコムベーにちなんで呼ばれた。一部の人たちの謂うには、カルキス人と呼ばれた所以は、昔、銅鉱が彼らによって発見されたからという。昔はステュムペーロスと、しかし今はハリカルナと命名されている。

F130
STEPH. BYZ.「オレステー」の項。
 <エウボイアの>都市。ヘカタイオスが『エウローペーの周航』で。族称は同じく=Orevstai

F131
同、「キュノス」の項。
 オプゥスの海港だと、ピローン(III)とパウサニアス(X 1, 2)。ヘカタイオスはこれを都市だと謂う。ホメーロス(〔イリアス〕B 531)は、「キュノスやオポエイス、またカッリアロスに割拠する者たち」。

F132
同、「アイゴーネイア」の項。
 メーリス注9)人たちの都市。リュコプローン(903)は、「このうちかの者たちは、アイゴーネイアを父祖の地として誇る者たち」。ヘカタイオスも。リアノス16巻はこれをアイゴーネーと言う。

F133
同、「クランノーン」の項。
 テッサリアのテムペーにあるペラスギオーティス地方の都市だと、ヘカタイオスが『エウローペー』で。アタマニアにも別の都市があり、ペラスゴス人クランノーンにちなむ。

F134
同、「ポーティナイオン」の項。
 語尾から第三音節〔「ィ」の部分〕に鋭アクセントを持つ。テッサリアの都市だと、ヘカタイオスが『エウローペーの周航』で。

F135
同、「オリゾーン」の項。
 テッサリアの都市。ヘカタイオスが『エウローペー』で。

F136
同、「エウリュメナイ」の項。
 テッサリアの都市。ヘカタイオスが『エウローペー』で。

F137
同、「イムペイス」の項。
 ペッライボイ族に付加される族称。ヘカタイオスが『エウローペー』で。「=ImfeveS Perraiboivが住んでいる」。

トラキアの島嶼とアジア沿岸

F138
a)STEPH. BYZ.「レームノス島」の項。
 トラーキア地方に面した島、2つの都市、ヘーパイスティアとミュリナとを有すると、ヘカタイオスが『エウローペー』で。メガラ〔「偉大な女」〕と言われる女神に由来し、この〔女神〕がレームノスと謂われる。この〔女神〕には処女たちが生け贄に捧げられたと〔謂われる〕。最初に建設されたのはトラキア人たちによってであり、この者たちはシンティエスと呼ばれたと、ストラボーンが(XII 3, 20)。自分たち自身はサバイオイと〔謂う〕。
b)同、「ヘーパイスティア」の項。
 レームノスにある都市。ヘカタイオスが『エウローペー』で。
c)同、「ミュリナ」の項。
 レームノスにある都市。ヘカタイオスが『エウローペー』で。アイオリスにも別の都市がある(F 225 参照)。〔アマゾーン女人族の女王〕ミュリネーに由来するか、ミュリノスに由来するか、いずれかである。

F139
同、「テネドス」の項。
 スポラドイ族の島だと、ヘカタイオスが。ヘッレスポントスにある。テンネースと〔妹の〕アムピテアないしヘーミテア――いずれもキュクノスの子どもたち――に由来する。TennouvedoV〔「テンネースの座」〕のごとくである。〔この島は〕レウコプリュスとも呼ばれた。

F140
STEPH. BYZ.「ミュティレーネー」の項。
 レスボス島最大の都市。ヘカタイオスが『エウローペー』で。マカルないしペロプスの娘ミュティレーネーに由来する。ある人たちは、建設者はミュティレースだと〔言う〕。またある人たちは、ポセイドーンとミュティレーネーの子ミュトーンに由来すると。ここから、カッリマコスは第4巻(F 33 Schn.)の中で、レスボスをミュトーニスと呼ぶ。パルテニオス(F 43 Mart)はレスボス女たちをミュトーニスたちと謂う。

F141
同、「キオス(CivoV)」の項。
 イオーニア人たちの最も有名な島で、都市も同名のを有する。ヘカタイオスが『エウローペー』で。「エリュトライに対面してキオス。ここにはキオスという都市がある」。オーケアノスの子キオス、あるいは、ここで発生する多量の雪、あるいは、ニンフのキオネーに由来する。

F142
同、「オイヌゥッサイ」の項。
 キオスに付随する諸島。ヘカタイオスが『エウローペー』で。

F143
同、「コルセアイ」の項。
 イオーニアの島、サモスの対岸。ヘカタイオスが『エウローペー』で。ヘローディアノス(I 285, 1 L)はイオタ(ι)に変えてコルシアKorsiva

マケドニア

F144
EPIMER. HOM. CRAM. AN. OX. I 223, 16:
 fakovV〔レンズ豆〕は最後の音節に鋭アクセントをとって表されていた。ところが、山名の場合は最後の音節に鋭アクセントがない。ヘカタイオスは、「南にハオーロスとパコス山FavkoV」。

F145
HARPOKR.「ロイディアス」の項。
 マケドニアの河であることは、他の人々もそうだがヘカタイオスも『エウローペーの旅』の中に記録している。

トラキア

F146
STEPH. BYZ.「カラストラ」の項。
 トラキアのテルメ湾周辺の都市。ヘカタイオスが『エウローペー』で。「ここにテルメーというトラキア・ヘッラス人たちの都市があり、かしこにはカラストラというトラキア人たちの都市が〔ある〕」。

F147
同、「シンドナイオイ族」の項。
 トラキアの族民だと、ヘカタイオスが『エウローペー』の中で。

F148
同、「スミラ」の項。
 トラキア地方の都市。ヘカタイオスが『エウローペー』で。「次にスミラという都市」。

F149
同、「リパクソス」の項。
 トラキア地方の都市。ヘカタイオスが。

F150
STEPH. BYZ.「メーキュベルナ」の項。
 トラキア地方にある半島ペッレーネーの都市。ヘカタイオスが『エウローペー』で。

F151
同、「セルミュリア」の項。
 アトス周辺の都市だと、ヘカタイオスが。

F152
同、「ガレープソス」の項。
 トラキア地方のパイオノイ族の都市。ヘカタイオスが『エウローペー』で。トゥキュディデース第4巻(107, 3)が言うのは別の都市である。「その後間もなくガレープソスもオイシュメーも〔降伏した〕」。<タソスとテーレペーとの子ガレープソスにちなんで名づけられた>。

F153
同、「クレーストーン」の項。
 トラキア地方の都市。クレーストーンはヘーロドトスの作品(I 57)にあるらしい。リュコプローン(937)によれば、「クレーストーネーの神さえ誓いを立てる」。市民は、ピンダロス(F 309)ではKrhstwnai:oV。しかしリアノスは彼らをKrhstwnivoiと謂う。ヘカタイオスは『エウローペー』の中で彼らをKrhstw:naiと。所有を表す場合はKrhstwnikovn(Thuk. IV 109, 4)。

F154
ATHENAI. X 447 D:
 ヘカタイオスは(F 323a)……『エウローペーの周航』の中で、パイオニア人たちが飲用すると謂っているのは、「大麦からつくったブリトンや、黍やコニュザ〔蚤除草〕からつくったパラビアス。また彼らが身体に塗るのは」と謂う、「牛乳からとった油である」。

F155
STEPH. BYZ.「アイギアロス」の項。
 ……トラキア地方にも、ストリュモーン河のほとりにアイギアロスがあると、ヘカタイオスが。

F156
同、「パグレース」の項。
 トラキア地方の都市。ヘカタイオスが『エウローペー』で。トゥキュディデース第2巻(99, 3)も。

F157
同、「サトライ」の項。
 トラキア地方の族民だと、ヘカタイオスが『エウローペー』の中で謂っている。

F158
同、「アブデーラ」の項。
 2つの都市。ひとつはトラキア地方にあり、アブデーロスにちなむとヘッラーニーコス(4 F 105)が謂い、他の人たちも謂う……もうひとつはイベリアのガデイロイ族の近くにある都市だと、アルティミドーロス(V)が『地誌』の第2巻のなかで。市民は=AbdhrivthV……=AbdhrivthVという語に言及しているのは、エウドクソス(V)が『旅行記』の第4巻の中で、パウサニアスが『案内記』第6巻(5, 4)で、ヘーロドトスが第7巻(120, 137)や多くの箇所で、ヘカタイオスや多くの人たちが。

F159
同、「マローネイア」の項。
 トラキア地方の[半島]にあるキコニアの都市。<ヘカタイオスが『エウローペー』で>。「ここにマリス湾、かしこにマローネイアという都市」。

F160
同、「ドゥリュス」の項。
 トラキア地方の都市。ヘカタイオスが『エウローペー』で。オイノートリア注10)族の都市もある。

F161
同、「ゾーネー」の項。
 キコニア族の都市。ヘカタイオスが『エウローペー』で。

F162
同、「キュパシス」の項。
 ヘッレースポントス近辺の都市。ヘカタイオスが『エウローペー』で。

F163
STEPH. BYZ.「ケッロネーソス」の項。
 クニドスの半島にある都市。……ケッロネーソスという都市はトラキアに2つある。これについてはヘカタイオスが『エウローペー』で。「ここには、半島の地峡にケッロネーソスという都市がある」。市民はCerrovnhsioVだと謂う。「南中の方向にアプシンティオイ族と合流しているのが<Cerronhvsioi>」。しかしヘーロドトス(IX 118)は、CerronhsivthV>。「ケッロネーソス軍は望楼から信号によって、そのことをアテーナイ軍に伝えた」。この人々や**をも、Cerronhsivoiと彼は言い、このうち女性形はエウリピデース(Hek. 8)が「彼〔プリアモス〕はケッロネーソスの肥沃な土地に〔農を営み〕o}V th;n ajrivsthn Cerronhsivan plavka」。

F164
同、「リムナイ」の項。
 ヘッレースポントスのセーストス近辺の都市。ヘカタイオスが『エウローペー』で。

F165
同、「マデュトス」の項。
 ヘッレースポントス地方の都市。ヘカタイオスが『エウローペー』で、また他の人たちも。

F166
HERODIAN. p. mon. levx. 31, 26 (II 937, 10 L):
 ボリュザはペルシア地方の都市だと、ヘカタイオスが『エウローペー周航記』で。「次にペルシア人たちの都市ボリュザ。次にテュニアス」。

F167
PHOTIOS LEX. p.53, 21 Reitz. (BELL. ANECD. I 362, 24):
 ハイモン。誰にもわからぬ山。ヘカタイオスは全体を通して、ディオニュシオス(III)、ヘッラーニーコスは『アッティス』第1巻(4 F 41)の中で、ティマイオス(III)も、エウドクソス(V)も。

F168
STEPH. BYZ.「イトーン」の項。
 テッサリアの都市。「羊らの母なるイトーン」(Il II 696)。……しかし一部の人たちは、これを、「穀物作りsitofovron」を根拠に、シトーンだと謂う。……地域はハイモン山麓の=Itwvnhだと、ヘカタイオスが『エウローペー』で。

F169
同、「カバッソス」の項。
 カッパドキアにある都市、オトリュオネウスの祖国。ホメーロス(Il. XIII 696)は、「カベーッソスから城内へと到来した者」。しかしミーレートス人ヘカタイオスは、カベーッソスは都市だと謂う。「トラキアのハイモン山を越えてきた者」。また、結婚の望み注11)も、トラキア人たちの放縦に一致している。ヘッラーニーコス(4 F 147)は、リュキアの都市カベーッソスだと。アピオーンは、タルソスとマザコイとの中間のカッパドキアの村の方がより真実だと謂う。

F170
同、「クロビュゾイ」の項。
 イストロス河の南風の吹き来る方にある都市。ヘカタイオスが『エウローペー』で。ここから始まるのがクロビュジア地方。

F171
同、「トリゾイ」の項。
 イストロス河南方の族民。ヘカタイオスが『エウローペー』で。

F172
同、「オルガメー」の項。
 イストロス河畔の都市。ヘカタイオスが『エウローペー』で。イッリュリアの都市オルゴメナイもある。

F173
同、「アイジケー」の項。
 トラキア地方の部分。ヘカタイオスが『エウローペー』で。

F174
STEPH. BYZ.「バンティオイ族」の項。
 トラキア地方の族民。ヘカタイオスが。

F175
同、「ダルシオイ族」の項。
 トラキアの族民。ヘカタイオスが『エウローペー』で。

F176
同、「ダシロイ族」の項。
 トラキアの族民。ヘカタイオスが『エウローペー』で。

F177
同、「ダテュレプトイ族」の項。
 トラキア地方の族民。ヘカタイオスが『エウローペー』で。

F178
同、「ディソライ族」の項。
 トラキアの族民。ヘカタイオスが『エウローペー』で。

F179
同、「エントリバイ族」の項。
 トラキア地方の族民。ヘカタイオスが『エウローペー』で。

F180
同、「クサントイ族」の項。
 トラキアの族民。ヘカタイオスが『エウローペー』で。

F181
同、「サトロケンタイ族」の項。
 トラキアの族民だと、ヘカタイオスが『エウローペー』で。

F182
同、「スカイ族」の項。
 トローアス地方とトラキア地方との中間の族民だと、ヘカタイオスが『エウローペー』で。

F183
同、「トリスプライ族」の項。
 トラキアの族民。ヘカタイオスが『エウローペー』で。

スキュティア

F184
STEPH. BYZ.「カルキニティス」の項。
 スキュティアの都市。ヘカタイオスが『エウローペー』で。住民は(Karkini:tai)。

F185
同、「メランクライノイ族」の項。
 スキュティアの族民。ヘカタイオスが『エウローペー』で。彼らが身につけているもの〔「黒いクライナ」の意〕にちなんで呼ばれていた、ちょうどヒッペーモルゴイ族が雌馬たちをajmevlgein〔搾乳すること〕に由来し、モッシュノイコイ族〔「木の住居に住む者」の意〕がその住居に由来するように。

F186
同、「エードイ族」の項。
 スキュティアの族民。ヘカタイオスが『エウローペー』で。

F187
同、「イセーポス」の項。
 スキュティアの族民。ヘカタイオスが『エウローペー』で。

F188
同、「カルデーッソス」の項。
 スキュティア地方の都市。ヘカタイオスが『エウローペー』で。

F189
同、「マテュケタイ」の項。
 スキュティアの族民。ヘカタイオスが『エウローペー』で。

F190
同、「ミュルゲタイ」の項。
 スキュティアの族民。ヘカタイオスが『エウローペー』で。ヘーロディアノスのある著作(II 552, 14 L)で、getw:nと書かれているのは、よくない。

ヨーロッパのカウカソス山脈

F191
STEPH BYZ.「ダンダリオイ」の項。
 カウカソス山周辺の族民だと、ヘカタイオスが『エウローペー』で。

F192
同、「ティパニッサイ」の項。
 カウカソス山近辺の族民。ヘカタイオスが『エウローペー』で。

ヨーロッパ北部

F193
STEPH. BYZ.「イッセードネス」の項。
 スキュティアの族民。ヘカタイオスが†『アシア誌』で。しかしアルクマン(F 136 A)のみは彼らを=Esshdovnaiと謂う。他の著作家たちにはイプシロンを使った〔=IsshdovneVという〕第二の〔都市〕が見出され、3音節で=Isshdoivとも言われる。=Isshdoiv族の都市もある。

「イッセードネス」については、ヘロドトス『歴史』IV-25以下。ウラル山脈の東麓からアルタイ山脈北麓に至るまでの、西シベリアにかけての地域が比定される。(織田武雄『古代地理学史の研究』p.116-120)

F194
STRAB. VII 3, 6:
 〔アポッロドーロスは〕以上の〔詩人〕たちに続いて、史家たちの方へ歩み続ける。〔これらの史家たちは〕リパイア山脈、オギュイオン山、ゴルゴ姉妹やヘスペリスたちの住み家を語り……。T 13を見よ。

アシア(2巻)

F195
ANON. Peripl. Pont. Eux. 49(=Ps. SKYMN. 865ff)
 マイオータイからその名を採ったマイオーティス湖が続いて横たわっている。タナイス河(この河からアラクセース河はその流れをとっている)はこの湖に交わっていると、ヘカタイオスが†ejfotieiV?。だが、エポロス(II)が記録しているところでは、果ての知れないある湖からだという。いわゆるマイオーティス〔湖〕への流れは2つの河口を持っていて、キムメリアの〔タナイス河〕とボスポロスの〔タナイス河〕とに流れ出る。

黒海とそのアシア側沿岸

F196
EPIMER. HOM. Cram. An. Ox. I 287, 28 (HERODIAN II 225, 9 L):
 memetrevataimetrevwの過去完了・受動相・三人称・単数〕。これはイオーニア方言である。〔イオーニア方言では〕nenovhntainenoevataiperipoivhntaiperipoievataiとなるように、memevtrhntaiもヘカタイオスの作品では<memetrevatai>となる。「このように、ボスポロスをはじめポントスもヘッレースポントスも同じようにしてわたしによって計測された」(Herod. IV 86)。ヒッポーナルコスの作品においても……kekinevatai。アナクレオーンも……ejkkekwfevatai〔原形はejkkwfevw(つんぼにする)〕。またperibeblevataiということばもある。

F197
AMMIAN. MARCELL. XXII 8, 9:
 

F198
STEPH. BYZ.「ステパニス」の項。
 マリアンデュノイ族の都市。ヘカタイオスが『アシア誌』で。族称はStefanivthV

F199
STRAB. XII 3, 25(EUSTATH. Il. B 852):
 〔アポッロドーロスとしては〕、こうした説が古代の作家たちに由来するという理由で、作家たちが声を合わせてハリエス川以遠の地方からは誰ひとりトロイア戦争に参加したものがいなかったと認めているかのように、述べることも出来ない。むしろ、反対説のための証人が見つかるかも知れない。すくなくともマイアンドリオス(III)によると、エネトイ族はレウコ・シュリア族の地方から出陣してトロイア方の援軍となったし、トラキア族といっしょにトロイアから離れてアドリアス湾奥に住みついた。そして、この遠征に参加しなかったエネトイ族がカッパドキア族になった。……当のアポッロドーロス(II)は、ゼーノドトスの校訂になる詩行を引き、「野生の騾馬の産地と知られたエネテーの郷から来たもの」(Il. II 852)と書いているという。ミーレートス人ヘカタイオスも〔エネテが〕アミソスを指すと解している、と謂う。

F200
STEPH. BYZ.「カディシア」の項。
 レウコシュロイ〔「白シュリア」〕族の都市。ヘカタイオスが『アシア誌』の中で。市民はKadivsioi〔男性形〕とKadisiva〔女性形〕。F 7の続き。


forward.gifヘカタイオス(4/4)