神代地誌

テオースのスキュティノス



[略伝]

 テオース島出身、プラトーンの同時代の人。ヘーラクレイトスの教説を詩にあらわしたイアンボス詩、また散文作品『自然について』『歴史』を書いた。後者は、ヘーラクレースの功業を人類の恩恵であったとみなす小説風の叙述である。(OCD)





生涯と作品

T1
STEPH. BYZ.「テオース」の項。
 イオーニアの都市。……ここの出身者は「テオース人プロタゴラス」(Eupolis I 297, 146 K)、「テーオスのイアンボス詩人スキュティノス」。

T2
DIOG. LAERT. IX 16:
 「またヒエローニュモスが謂うには、イアンボス詩の作家スキュティノスはあの人〔sc. ヘーラクレイトス〕の文章を韻文に変換しようとしたという。


断片集

『歴史』

F1
ATHENAI. XI 461 E:
 キュリクラネス人の一人ではないが……。彼らのことは、喜劇作家のヘルミッポスが、『イアンボス詩集』(I 246, 70 K)の中で冷やかし半分に謂っている。「道を進み、キュリクラネス人のsplhnovpedonにたどり着いた。かくてヘーラクレイア、げに麗しき都市を眼にした」。このヘーラクレイア人とは、テュアテイラ人ニカンドロス(III)の謂うところでは、オイタ山麓の住人たちで、リュディアのキュリクスという種族で、それにちなんで彼らはそう呼ばれると謂う。ヘーラクレースの遠征に付き従った者たちの一人という。テオースのスキュティノスも『歴史』と題された書の中で彼らに言及し、次のように言う。「ヘーラクレースは、エウリュトスとその息子を、エウボイア人から貢ぎを取り立てていたかどで、捕らえて殺した。彼らはまた、盗賊行為を行っていたキュリクラネス人を掠奪し、そこにトレーキニアと呼ばれるヘーラクレイアを建設した」。またポレモーンは、『アダイオスとアンティゴノスに寄す』第1巻(IV)の中で、次のように謂っている。「オイタ山麓のヘーラクレイアとトラキスに関しては、その住民のうち一部は、ヘーラクレースについてリュディアからやって来たキュリクラネス人であり、他はアタマネス人である。彼らの時代以来、その諸地域は変わらない。だが、ヘーラクレイア市民たちは、集住しながら彼らに市民権を与えず、他部族と受けとっている。キュリクラネスと言われるのは、肩にキュリクス〔酒杯〕を彫っているからである」。

2007.10.18. 訳了。


forward.gifプロコンネーソスのビオーン