カワセミ
[解題]
『偽預言者アレクサンドロス』『ペレグリーノスの昇天』中に含まれる神託を集めたものにすぎない。
訳は高津春繁に拠る。
[底本]
TLG 7052
ANTHOLOGIAE GRAECAE APPENDIX
(Varia)
6 1
7052 006
Oracula, ed. E. Cougny, Epigrammatum anthologia Palatina cum
Planudeis et appendice nova, vol. 3. Paris: Didot, 1890: 464-533.
Epigr. 6. 1-106, 111-323.(この中の 296-307).
5
(Epigr: 11, 460: Epigr.)
296 t
A.バキスの〔神託〕として
n
ペレグリーノスとその弟子たちについて
されど、数知れぬ名をもてる犬儒が燃え盛る火に
虚栄の熱に浮かされて身を投ずる時、
その時にこそ他の諸々の彼の後ろへに従う犬狐どもは
去れる狼の運命を見ならうべし。
卑怯にもヘーパイストスの力を避ける者、
この者を直ちに石にて撃てよ、アカイアの諸人たち、
自ら熱なくして熱弁を揮わんとし
幾多の黄金を金借しに用いて合切袋をみたし
美しきパトラスに15タラントンを持てるが故に。
297 t
B.シビュッレーに由来する〔神託〕として
n
ペレグリーノス、あるいは、犬儒の没落について
されどあらゆる犬儒の中にていとも尊きプローテウスの
鳴神ゼウスの聖なる地に火を起こして
焔の中に身を翻して大いなるオリュムポスに至れる時、
その時にこそ、畑の実を食するほどの者はなべて
夜をさまよういとも大いなる彼をあがむべし
ヘーパイストスと主なるヘーラクレースと王座をわかつ人神とを。
298 t
Γ.それ以前に預言したシビュッレーの〔神託〕として
n
偽預言者アレクサンドロスについて
シノーペーに近く、エウクセイノスの海のほとりに
アウソニア人の下、テュルシス〔塔〕の傍に預言者現るべし、
初めの一と三十につづきて
五の外なる一と二十を三度数えたるもの。
299 t
不明な〔神託〕
n
同じ人物について
ここに現る、ポイボスが恵みに浴するペルセウスの裔
聖なるアレクサンドロス、ポダレイリオスが血をうけたる者
7052 006 300 t
他の〔神託〕
n
同じ人物について
わが仕え人なる預言者をあがめよ、
わが心は財宝にあらずしてわが預言者にあればなり。
301 t
他の〔神託〕
n
エピクーロスについて
鉛の枷を足に泥の中に座せり
302 t
「お直声」の神託
n
セウエーリアノスに〔与う〕
パルティア人とアルメニア人をば突き進む槍もて征服し
ローマとティベルの輝かしき水に帰るべし
陽光の飾りある冠を頭上に。
303 t
他の〔神託〕
n
ケルトのセウエーリアノスに〔与う〕
汝アルメニアに兵を入るべからず、そはよろしからざればなり、
女人の装いせる男がその弓より呪わしき
死をば放って汝より命、世の光を奪うべければ。
304 t
他の〔神託〕
n
病人たちに
もはや呪わしき死に対して助けを求むべからず
死は立ち現れて、遁る能わざればなり。
305 t
他の〔神託〕
n
偽預言者アレクサンドロスの〔神託〕
今こそ赴くべしクラロスへ、わが父の御声を聞かんがために
※ ※ ※
ブランキダイの御堂に近づき神託を聴くべし
※ ※ ※
マロスへ、アムピロコスの神託に赴け
306 t
同じ人物の〔神託〕
n
ルゥティッリアーノスに
ピュータゴラースと戦にくわしき尊き歌人をこそ〔教師とすべし〕
307 t
同じ人物に
初めにペーレウスの子、次にメナンドロス
次に今の世の汝の姿、その後に太陽となって
百に八十年生きながらうべし
2012.07.15. 入力。
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