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偽ルゥキアーノス作品集成

エピグラム詩






[解説]

 全部で53篇のエピグラム詩が、ルゥキアーノスの作とされてきた。これらのいくつかは、疑いもなく、他の作者の作品である。しかし、53篇すべてをルゥキアーノス的でないと否定する人たちはおそらく行き過ぎで、少なくとも何篇かは、文体といい考え方といい、ルゥキアーノス的でないことはない。ここに挙げられているのは、ポティオス『Bibliotheca』128 fin.に引用されている「自分の作品に書に寄せて」というまがいもののエピグラム詩で、これはまたルゥキアーノスのいくつかの劣ったMSSに現れる。その他の52篇はすでに、PatonによるLCLのGreek Anthology5巻本の中に含まれており、ルゥキアーノスの写本類を通してよりは、むしろこれを出典としてわれわれに届いている。Paton校訂によるAnthologyにおいてルゥキアーノス作とされているのは、以下のとおりである。

番号 Anthologia Graecaの出典箇所 作者その他
1* ポティオス『Bibliotheca』128 fin.
2* IX.367
3* X.26
4* X.31
5* X.28
6* X.29
X.30 Anon.
8* IX.120
9* X.27
10* X.36
11* X.42
12* X.41
13 IX.74 Anon.
14* X.35
15* X.122 Lucilius
16* X.37
17 X.43 Anon.
18* XI.431
19* XI.428
20 XI.80 Lucilius
21 XI.81 Lucilius
22* XI.400
23* XI.427
24 XI.239 Lucilius
25 XI.129 Cerealis
26* XI.274
27 XI.10 Lucilius
28* VII.308
29* XVI.154 Lucian or Archias
30* XVI.163
31* XVI.164
32* XVI.238
33 VI.20 Julian
34 VI.164 Patonはルゥキアーノス作とするが、おそらくはLucilius作
35* XI.429
36* XI.432 Macleodの表では欠落
37* XI.434
38 XI.408
39* XI.404
40* XI.405 おそらくNicarchus
41* XI.433
42* XI.435
43* XI.436
44* XI.397
45* XI.430
46* XI.410
47* XI.403
48* XI.396
49* VI.17
50* XI.402
51 XI.420 Anon.
52* XI.401
53 XI.212 Lucilius

 番号に*印の付いているものは、TLGにおいて偽ルゥキアーノス作のエピグラム詩として収録されているもの。なお、TLGでは、XI.294(PatonはLucilius作とする), 36(XI.432)も含むが、38(XI.408)は含んでいない。






"1t"
自分の書に寄せて

2
わたしルゥキアーノスは、これらの古くさいばかげたことどもを知っていて書いた。
人間どもにとっては、賢明と思われる事柄もばかげたことだからだ。
人間界に叡知的なことは何ら取り立てて存在せず、
汝が驚嘆すること、それは他の者たちには滑稽なことである。

2010.09.17.

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