セドラクの黙示録
[解説]
不明。
[底本]
TLG 1156
APOCALYPSIS ELIAE
(a. A.D. 1)
1 1
1156 001
Fragmenta, ed. A.-M. Denis, Fragmenta pseudepigraphorum quae
supersunt Graeca [Pseudepigrapha veteris testamenti Graece 3.
Leiden: Brill, 1970]: 103-104.
5
(Q: 231: Apocalyp., Pseudepigr.)
断片集
"frag a,col1"
(i Cor., 2, 9:)
書かれている内容は、眼が見たことなく、耳も聞いたことなく、人間の心に思い浮かんだこともないこと、つまり、神がおのれを歓愛する人たちに備えたかぎりのことである。なぜなら、わたしたちに啓示したもうたのが、神だからである。
"frag a,col2"
(1 Clem. Rom., 34, 8)
すなわち彼は言う。眼は見たことなく、耳も聞いたことなく、人間の心に思い浮かんだこともなく、彼を待ち望む人たちに備えたかぎりのことを。
"frag b,col1"
ここからして、当然に、この書は信仰を有する人たちに福音を述べ伝えたのである。「主の聖なる者たちは神の栄光(doxa)とその力(dynamis)を相続した」。おお、浄福な人よ、いかなる栄光かを、彼はわたしに云った。「〔この栄光を〕眼は見たことなく、耳も聞いたことなく、人間の心に思い浮かんだこともない。そして彼らの主の王国を永遠にわたって彼らは喜んだのである、アメーン」。
"frag b,col2"
そのとき、「邪悪なる者どもは、永遠の懲らしめの方にと追いやられ、義しき者たちは永遠の生命の中に進んだ」、彼らが相続したのは、眼は見たことなく、耳も聞いたことなく、人間の心に思い浮かんだこともないこと、つまり、神がおのれを歓愛する者たちに備えたもうたあれらのことであった」、かくてイエースウスのクリストスたる神の王国にあって彼らは喜んだのである。
"frag c"
黙示録の中に含まれる内容はこうである。預言者ヘーリアス〔エリヤ〕はアンティクリストス*について云った。そのとき、次のような者が現れるであろう。彼の頭は火の焔。彼の右の眼は血が混じる。左の眼は獰猛で、2つの瞳孔を有し、彼のまぶたは白く、彼の唇は下が大きい。彼の右腿は細く、彼の両脚は平べったく、彼の足の指はぺちゃんこ。
*「アンティクリストス」 反キリスト。この語が新約聖書に出てくるのは、ヨハネ書簡(第1ヨハネ第2章18、22、第4章3。第2ヨハネ第7節)。
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