『33章(Capitula xxxiii)』
(理性的魂の情念の定義)


[底本]
TLG 4110 015
Capitula xxxiii (definitiones passionum animae rationalis), MPG
40: 1264-1268.
(Cod: 469: Eccl.)





40.1264."42t"
修道者のエウアグリオス
40.1264."43t"
順序正しい33の摘要


40.1264.46
1.
黄疸〔レビ26_16〕とは、ロゴス〔霊〕的な魂の最も劣悪な情態(hexis)のことである。ここにおいて、「神」と、生じたものらの観想とを誤って見るところの。

40.1265.
2.
後弓反張〔申命32_24〕とは、ロゴス〔霊〕的自然の悪のことである、ここにおいて、徳への、また「神」の覚知とへの曲がり難さが生じるところの。

3.
壊死〔レビ26_16〕とは、気性の沸騰と動きのことである。魂のロゴス〔霊〕的部分を掻き乱すところの。

40.1265.7
4.
盲目〔レビ21_18〕とは、理性の無知のことである、諸々の実践的徳と、生じたものらの観想とに帰することがないところの。

40.1265.10
5.
中風とは、思量的魂の、実践的諸徳への動き難さのことである。

6.
精液の漏出〔レビ22_4〕とは、ロゴス〔霊〕的魂の怠慢のことである。そこにおいて、霊的教えの言葉を投げ捨てるのが常であるところの。

7.
月経とは、ロゴス〔霊〕的魂の無能力のことである。そこにおいて、達成した諸徳をクリストスの形に向けて投げ捨てるのが常であるところの。

8.
癩病は、ロゴス〔霊〕的魂の不信のことである。そこにおいて、言葉にさわっても確信を持てないところの。

9.
精神錯乱〔申命28_28〕とは、徳と、「神」の覚知の後、ロゴス〔霊〕的魂の悪へと再度向かう屈折のことである。

10.
捻挫とは、ロゴス〔霊〕的魂の最も劣悪な情態(hexis)のことである。そこにおいて、美そのものを通して、諸徳を探しもめられないところの。

11.
鼻の欠損〔レビ21_18〕とは、クリストスのかおりに与る徳の喪失のことである。

12.
耳なし〔レビ21_18〕。ロゴス〔霊〕的魂の耳障りのことである。霊的教えへと引きもどすところの。

13.
〔眼の〕斑点〔レビ21_20〕とは、霊的観想からの転落、ないし、生じたものらの観想の、真実ならざる理解のことである。

14.
唖〔イザヤ35_6〕とは、魂の思量的部分の情念のことである。ここにおいて、あるものらに躓いて、あらゆる場合に、「神」に感謝することが不可能になるところの。

15.
足萎え〔レビ21_18〕とは、徳の働きへの、ロゴス〔霊〕的自然の不可能性のことである。

16.
水腫とは、魂の無言の〔=無理性的〕逸脱のことである。ここにおいて、諸々の徳は消え、悪と無知が支配するところの。

[『箴言』30章
24 この地上に、小さいけれども、
  非常に賢いものが四つある。
25 ありは力のない種類だが、
  その食糧を夏のうちに備える。
26 岩だぬきは強くない種類だが、
  その家を岩につくる。
27 いなごは王がいないけれども、
  みな隊を組んでいで立つ。
28 やもりは手でつかまえられるが、
  王の宮殿におる。]

17.
アリとは、実践的人間のことである。自分の食べ物を、この永遠のうちに、備えるところの。

40.1265.47
18.
岩ウサギ注13)とは、不浄の民族のことである。わたしたちの救主クリストスのいましめを受けているところの。

19.
王なきバッタとは、ロゴス〔霊〕的魂たちのことである。死に揺すぶられることなく、〔神の〕種子に養われいるところの。

20.
ヤモリとは、実践的理性のことである。諸徳に頼り、天上の諸力の覚知に住まうところの。

[『箴言』30章
29 歩きぶりの堂々たる者が三つある。
  いや、四つあって、みな堂々と歩く。
30 すなわち獣のうちでもっとも強く、
  何ものにの前にも退かない、しし、
31 尾を立てて歩くおんどり、雄やぎ、
  その民の前をいばって歩く王がそれである。]

40.1265.57
21.
ライオンの仔とは、無心の人間のことである。自分の内にあったものらの観想を王支配するところの。

40.1268.1
22.
オンドリとは、霊的人間のことである。覚知に満たされ、他の魂たちに、叡智的太陽から生じる日々の福音を宣べ伝えるところの。

23.
雄ヤギとは、実践的な人のことである。自分の内なる、隊列につかない諸々の想念を正しく導くところの。

[『箴言』30章
15 蛭にふたりの娘があって、
 「与えよ、与えよ」という。
 飽くことを知らないものが三つある。
 いや、四つあって、
 皆「もう、たくさんです」と言わない。]

24.
蛭とは、不浄の自然のことである。ロゴス〔霊〕的魂たちの義しい血を吸い取るところの。

25.
冥府とは、ロゴス〔霊〕的自然の無知のことである。「神」の観想の喪失によって結果するところの。

26.
女とは、無知慮のことである。ロゴス〔霊〕的魂たちを不浄さの上に呼び寄せるところの。

27.
大地とは、もっとも劣悪な情態(hexis)のことである。不敬と違法から集められるところの。

28.
火とは、ロゴス〔霊〕的自然の悪のことである。「神」の諸徳の堕落であるところの。

29.
水とは、偽りの覚知のことである。真実の覚知の消滅であるところの。

[『箴言』30章
17 自分の父をあざけり、
  母に従うのを卑しいこととする目は、
  谷のからすがこれをつつき出し、
  はげたかがこれを食べる。]

30.
嘲笑者たちの眼とは、不浄の自然のことである。「神」の覚知を嘲笑し、生じたものらの知恵を侮辱するところの。

31.
カラスたちとは、聖なる諸能力のことである。諸悪を破壊するところの。

32.
峡谷とは、ロゴス〔霊〕的魂たちのことである。悪と無知によってえぐられたところの。

33.
タカたちの雛たちとは、聖なる諸能力のことである。不浄な者たちを投げ捨てることで、信じられたところの。

2005.02.02. 訳了。


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