■ 写真の歴史(2)

最終更新日:2006.01.15

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2.銀塩写真法の発見

1.で見たように、銀の化合物に感光性があることは早くからわかっていました。18世紀以降、このことに関連する様々な実験が繰り返し行なわれたものの、得られた像を固定する方法はなかなか見つからなかったのです。

1839年:フランスのダゲール(Louis Jacques Mandé Daguerre)は、ニエプスと協力して、初めて銀塩写真法を確立しました。このことから、1839年は銀塩写真始まりの年とされます。彼の方法は「ダゲレオタイプ(銀板写真法)」と呼ばれ、この年の8月19日に公開・公認されました。この方法では、まず、銀板をヨウ素蒸気中に入れて銀板の表面にヨウ化銀を生じさせます。これを使って撮影した後、銀板を水銀蒸気中に入れます。こうすると、光が当たった部分に水銀が付着して、一種の現像が行なわれます。このままでも水銀が光った像(鏡像、水銀ポジ像)ができます。しかし、この後でさらにチオ硫酸ナトリウム水溶液で銀板を洗えば、未露光部のヨウ化銀が溶けて像が完全に定着されるのを彼は発見したのです。

1840年:イギリスのトールボット(タルボットとも。William Henry Fox Talbot)は、現在と同じようなネガ−ポジによる写真法を発明しました(翌年に特許をとっています)。この方法では、まず。紙をヨウ化カリウム水溶液と硝酸銀水溶液に交互に浸して、紙の繊維間にヨウ化銀の結晶を生じさせます。こうしてできた感光紙が湿ったまま撮影し、撮影後、没食子酸で現像して「紙ネガ」を作ります。これを上と同じようにして作った感光紙に密着させて露光し、同じように処理をして、写真プリントを得たのです。彼の方法は「タルボタイプ(カロタイプ)」と呼ばれます。


没食子酸(ぼっしょくしさん、もっしょくしさん):3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸、または、ピロガロール-5-カルボン酸ともいう。分子式 C765。植物体に広く存在し、還元性を持つ。そのアルカリ性水溶液は還元作用が強い。タンニンの加水分解によって得られる。お茶の中にも存在する。


     ●参考文献  菊池真一著「写真化学」(共立出版,1978)
                 田中益男著「写真の科学」(共立出版,1992)
                 「科学の事典・第3版」(岩波書店,1985)
                 「理化学辞典・第5版」(岩波書店,1998)
                 「化学辞典・第1版」(東京化学同人,1994)

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(文責:塚本)