北朝鮮が戦争の準備を着々と進めていた週末のことである。
川合淳三さん(仮名。37歳。西京区在住)は、庭の桜の木の異変に驚いていた。
葉がすっかり消え失せているのである。
原因はすぐにわかった。毛虫である。桜の葉を食べ尽くした毛虫の大群は、家の塀や壁などにワサワサと登り始めており、すでに玄関内の靴の中に潜んでいるものさえいた。
殺虫剤で一気に粉砕してはどうかと妻に勧めた淳三さんだったが、
「そんなもの危ない!」
の一言で却下。手作業で駆除を進めることになった。
捕まえた毛虫で、インスタント・コーヒーの空き瓶があっという間に一杯になってしまった。
「無農薬農業の苦労を身に滲みました。もう二度と 高すぎる なんて女房に不平は言いません」
淳三さんはこう語った。