(比較するには非常に失礼であるが)このホーム・ページの「おまけのページ」を拡充し更に細かくしたように思って頂ければ良い。つまり、誰某Aと誰某Bにはこういう関係がある、そして誰某Bは誰某Cとこういう関係がある、ということが様々な分野を越えて指摘されている。こんな人とこんな人が関係があったなんて、という知的興奮に覚える。その文章の流れは、博覧強記の南方熊楠の文章と比較されても良いように思う。
この本に登場する人々の名は多岐にわたる。巻末に付属している10ページの主要人名索引に揚げられている名を見れば、そのあまりの多さに驚愕するであろう。
そして、著者は、その多数の人々の円環の中央に、石原莞爾を据える。彼の「挫折」の過程を中心に、幾多の人々の「挫折」を描いていく。
石原の研究書、という体裁ではないが、石原のことを知るには非常に有益な書である。是非一読をお勧めする。
(ちょっと固い文章になってしまった...。)
満州事変勃発、65周年の日(1996/9/18)、記す。
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