混迷の自民党総裁選



自民党総裁選の話題を見ていると、

谷垣さんはかつての河野洋平とイメージがかぶる。

野党になったら総裁をやらせておいて、

いいところになったら力のある人間がかっさらっていく。


93年の総選挙で細川連立政権が誕生し、自民党は野党に転落。

総裁には河野洋平が選ばれた。

ところが、1年も経たないうちに連立与党に亀裂が入り、

自民党は社会党の村山富市を首相にかつぎ、与党を分裂させて政権を奪還。

その後、村山富市の後継首相を決めるかたちで自民党総裁選が始まる。

最大派閥に属していた橋本龍太郎が多数派を形成し、

戦う前から敗戦濃厚となった現職の河野洋平は立候補を断念した。

それに憤慨して立候補したのが小泉純一郎だった。

結果は惨敗だったが、その後、三度目の正直で伝説の総理総裁になった。

河野は戦う前に戦線を離脱したが、谷垣は戦う心づもりだった。

ところが足下から石原伸晃が立候補を表明し、

収拾がつかなくなって谷垣が立候補を断念するかたちになった。


かつての自民党なら、有力議員は待っていれば

いずれ総理のイスが転がってくる可能性が高かったが、

今の政治は一寸先は闇である。

この好機を逃せば、次のチャンスはいつになるやらわからない。

可能性のある人間が、我も我もとなっているのが現状なのだろう。

保守派の本命は安倍晋三さんだが、同じ清和会の会長である町村信孝氏にとっては、

67歳という年齢からもラストチャンスとなる。

どうしても出馬したいということだろう。

そして清和会の実質的ドンである森元首相は町村氏の肩を持つ。

安倍さんは一度総理をやっている、

ここは最後に花を咲かそうとしている町村氏に道を譲れということだろう。

古い政治家の考えそうなことだ。

そして、安倍さんに対して

「君のお祖父さんがつくったこの派閥を、君が終わらせることになるかもしれない」

と圧力をかける。

清和会(現・清和政策研究会)は安倍晋三さんの祖父・岸信介がつくり、

福田赳夫を経て、父である安部晋太郎が受け継ぎ、森喜朗を経て現在に至る。

しかし、安倍晋三さんの頭にはそんな派閥のことよりも、

保守再生、日本の再生が第一にあるのではないか。

一度総理を経験してもなお、志のために起とうとする安倍晋三さんを私は応援したい。




もどる