日本人は帝国主義時代に戻ったことを自覚せよ
中国の反日デモ、反日暴動が激化して、その方向が政府に転換し、
共産党政権打倒の流れになることを中国政府は警戒している。
日本の保守勢力にはそれを歓迎している人も少なからずいるようだが、
もし中国が民主化されたら、ろくでもない国になる可能性が極めて高い。
今回の反日暴動を見てわかるとおり、
ろくでもない人たちによる民主主義は、ろくでもない政権を生み出す。
民主主義はそれそのものに価値があるわけではなく、あくまで手段だ。
おそらく強烈な反日思想を表面に出した無法国家が誕生するだろう。
韓国を見ればそれがよくわかる。
まあ、その前に民主主義を実践すれば、国家がまとまらなくなって、
分裂状態になる可能性があり、それを期待するというのも理解できる。
いずれにしても、その後に生まれた国は、ろくでもない国になることは間違いない。
明治時代に日本人は孫文を支援したが、
清国がつぶれて何が生まれたかを見れば明らかだろう。
とりあえず中国が良い国になることを期待するのは幻想であることを認識し、
地政学的に常にろくでもない国が隣にいるという前提で、
中国政府にうまく恩を売って、譲歩させるしたたかさが必要だ。
日本はこれまで中国や韓国に対して奉仕してきても、恩を売ることはしてこなかった。
日本外交が幼稚だからだ。
大人の対応と称して、いいようにやられてきたのがこれまでの対中韓外交だった。
東欧諸国の解体による冷戦崩壊から20年。
アジアでは中国と北朝鮮が存続したことで、
冷戦構造の残骸が残ったかのように錯覚したが、
これは単なる独裁国家が生き残っただけであったことを、
ようやく日本人も気づきはじめた。
冷戦構造が崩壊したというのは、帝国主義時代に戻っただけだ。
力と力の関係という帝国主義時代から、思想と思想の関係という冷戦時代に入ったが、
共産主義思想が消え去れば、また力と力の関係に戻るのは自然なこと。
思想と思想の時代は、同じ思想の仲間が集まって、敵と対峙しなければならなかったから、
多国間軍事同盟の時代でもあった。
自由主義陣営のNATO(北大西洋条約機構)と、
社会主義陣営のワルシャワ条約機構がそれだ。
日米安全保障条約もその一環であった。
冷戦構造が崩壊し、東欧諸国の軍事同盟も解体し、NATOだけが残ったが、
存在意義はまったく別のものへと変遷している。
帝国主義時代とは、自分の国は自分で守ることである。
明治の日英同盟とは、自分の国は自分で守ることが大原則であった。
日本とイギリスはお互いの戦争には関与せず、中立を保つことが前提。
ただし、自国がどこかの国と戦争したときに、第三国が関わってきた場合にかぎり、
お互いに助け合いましょう、というのが日英同盟の趣旨である。
日本とイギリスは、ドイツ、ロシア、フランス(三国干渉)を想定していた。
そして、日英同盟により、日本は安心してロシアと戦争することができた。
時代が帝国主義時代に戻ったのであれば、
自分の国は自分で守るという大原則に戻さなくてはならない。
これは同盟関係を否定するものではなく、
帝国主義時代に合った同盟関係を形成しなければならない、ということだ。
冷戦構造上にある同盟関係に依存すれば、
日本はパワーバランスによる国際競争から取り残されていくだろう。
世界史上、利害関係を無視して戦争したケースは、
宗教戦争か思想戦争(対共産主義)だけである。
帝国主義時代に戻ったのであれば、利害関係と力関係だけで国家はぶつかることになる。
日中が領土問題で衝突したとき、アメリカが助けてくれるなどとゆめゆめ思わないことだ。
アメリカはアメリカの国益に沿って仲裁に入るだろう。
それが帝国主義なのだ。
日本は帝国主義時代に戻ったことを認識し、
ただちに自分の国は自分で守るという自主独立の体制を確立させ、
自主独立に基づいた外交をやらなければならない。
自主独立を確立させてこそ、恩を売る外交ができるのである。
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