インフレ政策は禁じ手?




景気対策としてのインフレ政策は禁じ手か?

どちらかといえば禁じ手に分類されるだろうか。

例えばデフレというものについては、デフレだから不況になるのではなく、

不況だからデフレになる。

それと同じでインフレだから好景気になるのではなく、

好景気だからインフレになる。

インフレ誘導によって経済を上向かせるというのは、

因果関係が逆なので、本末転倒している。


しかし、因果関係ということでは、通常の経済では、不況になると金利が下がる。

金利が下がるから企業がお金を借りやすくなり、経済は好転するということになる。

ところが、デフレがあまりにも深刻化して、

ゼロ金利でも企業がお金を借りない。

経済学では考えられない状況が続いている。


つまり、経済学では考えられない状況が続いているなかで、

経済学で考えられる手立てを講じたところで

なかなか効果が現れないのも無理はない。

インフレ政策を行って経済を動かそうとするのは、ある意味禁じ手かもしれないが、

これはケインズ的な瞬発力のある需要喚起ということではなく、

経済の流れ、世の中の流れを変える起爆剤となる。

縮み上がった経済の流れを変えるべく、

これから名目GDPは成長するのだ、というメッセージを送る効果があるのだ。

そのメッセージを受けて、市場では円安が進み、株価が上昇している。

すなわち「公共投資」は短期的な需要喚起効果、

「金融緩和」はあらゆる手を尽くして経済を立て直すという

政府の強い意志を伝えるメッセージ効果である。

この二本柱が安倍政権の経済立て直し政策ということだ。


当面は円安が続き、株価は上昇するだろうが、

それは市場のリアクションに過ぎない。

真価が問われるのは、そのあとに民間企業の資金需要が高まるほどの

実体経済の成長が伴うかどうかである。

そのあたりが安倍政権の経済政策についての勝負の分かれ目となるだろう。







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