「日本を、取り戻す」総理大臣談話を
植民地と併合はまったく意味が違う。
イギリスにとってスコットランドやアイルランドは併合(annexation)で、
インドは植民地(colonization)だった。
併合の場合はみんな同じ国民。
植民地の場合は被支配民。
併合とは基本的に当事者の合意がベースになる。
当時、日本は世界に向けて韓国と併合すると宣言し、
世界中でそれはまさしく併合であると認められた。
日本は台湾と朝鮮半島を併合したが、植民地にはしていない。
植民地とは宗主国の利益のためにあるが、台湾と朝鮮は植民地ではなかったので、
インフラ整備などで莫大な費用がかかり、大赤字となった。
東南アジア諸国については第二次世界大戦で戦った
敵の支配地域を占領したのであって、
戦争状態が継続している以上、それはあくまで占領地であって植民地ではない。
したがって日本は植民地支配などやったことがない。
安倍総理がどうしても戦後70年の談話を出すのなら、
「いかなる理由があるにせよ戦争によって
アジア諸国の人々に迷惑をかけたという事実はある。
そのような不幸な歴史は二度と繰り返してはならない」
とだけ言えばよい。
侵略や植民地などと、ありもしなかったことを語る必要はない。
謝るべきところは謝る。
謝らなくていいところは謝らない。
謝らなくていいところを謝ることが、
結果的にお互いにとって不幸となるのであり、それが戦後でもあった。
安倍総理は戦後レジームからの脱却を訴えるのであれば、
そこの部分をしっかりとふまえて談話を出してもらいたい。
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