集団的自衛権違憲論とは憲法9条ではなく13条違反なの?
安倍晋三首相が第90代、96代、97代内閣総理大臣というのは、
初代伊藤博文から数えてのこと。
昨年の第47回衆議院選挙は、
大日本帝国憲法施行後の明治22年に行われた第1回衆議院選挙から数えて
47回目ということ。
戦前と戦後は国家として連続している。
東京大学を中心とする憲法学村だけが連続していないと言っている。
これがいわゆる八月革命説だ。
八月革命説という言葉を使っているかどうかはともかく、
既存憲法学の通説は、戦前と戦後は法的に国家が断絶しているという考え方である。
大学の法学部で使う教科書のほぼすべては八月革命説を前提として書かれている。
憲法学者は集団的自衛権は違憲だと述べているが、
戦前と戦後は法的に国家が断絶しているなどと
現実からかけ離れたことを言っている人たちの違憲論など何の意味があるのだろうか。
単なるファンタジーに過ぎない。
彼らは常に机上の空論を口にするだけだ。
そんなものに引きずられてはいけない。
かつて憲法学者の大半は自衛隊も違憲だと言っていた。
どうせまた現実に引きずられた解釈をしていくことになるのだろう。
個別的自衛権が合憲で集団的自衛権が違憲などという解釈が
そもそもおかしいのだから。
どちらも違憲かどちらも合憲しかない。
どちらも合憲なら問題なし。
どちらも違憲なら自衛隊を廃止するか憲法改正するだけだ。
素朴に考えれば、世界屈指の実力を持つ自衛隊が、
憲法9条に違反しないという考え方の方が、
集団的自衛権の合憲解釈よりよほど無理があるだろう。
自衛隊合憲解釈に比べれば、集団的自衛権など大したことはない。
むしろ、集団的自衛権の方が違憲性が小さいことは、9条の条文が示している。
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【第9条】
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、
国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、
国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2
前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。
国の交戦権は、これを認めない。
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日本国政府による自衛隊の合憲解釈は、この条文から導き出されてはいない。
憲法第13条が根拠となっている。
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【第13条】
すべて国民は、個人として尊重される。
生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、
公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
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いわゆる「幸福追求権」であり、国民の生命、自由を守るための手段として
自衛隊の存在が合憲であると。
これが自衛隊及び個別自衛権が合憲である法的根拠なのだ。
第9条をもう一度見てみると、
1項に「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、
国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」とあり、
2項で「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、
これを保持しない」とある。
つまり、9条2項の条文を反対解釈すれば、
前項の目的、すなわち国権の発動たる戦争のための戦力でなければ
保持できることになる。
「前項の目的と達するため」というのは、現行憲法案が定まる直前に修正が加えれた
「芦田修正」といわれるもので、
この解釈によれば、自衛隊ではなく「軍」を持てることになる。
しかし、政府解釈は自衛隊が合憲である根拠を第9条ではなく、
第13条に根拠を置いているので、集団的自衛権の話がややこしくなっているのだ。
なぜなら、集団的自衛権は武力攻撃を受けた他国を救援するだけなのだから、
第9条の条文解釈でいけば、国際紛争を解決する手段としての武力行使でもなければ、
武力による威嚇でもない。
「前項の目的を達するため」という芦田修正の話を出すまでもなく
集団的自衛権の憲法違反でないのだから、自衛隊の問題より憲法には抵触しないのだ。
つまり、憲法9条ではなく、わざわざ憲法13条を持ち出して、
個別的自衛権と集団的自衛権を区別していることが、ボタンの掛け違いとなっており、
話を複雑化しているのである。
繰り返しになるが、個別的自衛権が合憲で集団的自衛権が違憲などという解釈が
そもそもおかしいのであり、憲法9条をそのまま読めば、
どちらも違憲かどちらも合憲しかない。
憲法学者は姑息な議論は終わりにして、集団的自衛権を違憲と言うなら、
自衛隊も違憲と言う覚悟を示して反対するべきだ。
それなら自衛隊を廃止するのか、あるいは憲法改正を真面目に論じようではないか。
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