千年先まで皇室を続けていく覚悟が問われている



録画してあった朝まで生テレビ

「激論!象徴天皇と日本の未来」(9/30放送)を見た。

譲位についての見解は八木秀次さんが一貫している。

さすがだと思う。

皇室典範を改正して譲位をできる制度というのは不可能だし、

特措法で今上陛下が譲位できるようにするというのは、

制度論に例外を設けることになり、好ましくないということだ。


徹底した制度論というのも大事だけど、

天皇と国民の関係、すなわち国体という観点から考えると、

私は天皇陛下に譲位していただきたいという

日本人の素朴な感覚というのも無視できないと思う。

八木さんの主張でそのまま行ければいいが、

これからの時代それでいけるかどうかわからないと思う。

これから60代、70代で即位する天皇が続出するかもしれない。

場合によっては80歳で即位することもあるだろう。

そのような仕組みでやっていけるか。


ただし、結論から言えば私は八木さんと同じだ。

現実的に譲位を制度化するのは難しいと思う。

陛下のご心配もごもっともだが、

そうなっときにまた考えても遅くはないのではないか。

議論だけは進めておく。

それでいいと思う。


高森明勅氏は

「皇嗣が成人していれば天皇の意思で退位できるようにすれば、

制度としては簡単だ」と述べるが、

健康上、何の問題も無く、さほど高齢でも無い状態で、

天皇の自由意思で譲位できる制度というのはいかがなものか。

私は近代国家において天皇が望んだときに退位できるというのはおかしいと思う。

天皇という地位はなりたくてなるものでもなければ、

辞めたいと言って辞めるものでもない。

生前退位容認派はそこの認識が甘すぎる。


番組での女系天皇容認論についての議論は無茶苦茶だった。

ほとんど感情論に等しい。

女系天皇容認派からは、この21世紀の現代において、

男だけが継承できる仕組みなど野蛮極まりない、といった意見が多かった。

そんなことを言ったら、職業選択の自由をはじめ、

あらゆる自由を制限されている皇室そのものの実情が

やがて問題視されるということをなぜわからないのだろうか。


私の個人的な予測だが、200年〜300年先に、

西洋の王室はほとんどなくなっていると思う。

西洋の王室というのは、これまで王族間だけで結婚を繰り返して、

一般国民との差をつくり階級制度を明確にしていたが、

それもできなくなり、いまは一般人との結婚を繰り返し、

第一子を優先する制度へと変わっている。

今はまだ過渡期であっても、遅かれ早かれ、

「あの人たちは自分たちと何が違うのか」、

「いまの時代、王室はもういらないのではないか」

という議論が出てくるだろう。


王室に人権論など持ち込んだら当然にそうなる。

それと同じような発想で、今後、五百年、千年、二千年と

皇室が残っていくことができるのか。

現代人はいまその覚悟を問われている。

現在はその分岐点だとも言える。

二千年続いてきたものを自分の代でやめてしまう、ということについて、

樹齢千年の御神木を切り倒すような、

「本当にこんなことをやっていいのか」という畏れのような

素朴な感覚が日本人にはある。

この番組を見て、こういう話をうまく伝えていくやり方を

もっと磨かないといけないということを改めて強く感じた。






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