高森明勅氏のコペルニクス的大転回
Facebookでおもしろいネタを提供してくれる人がいた。
下記はゴー宣ネット道場の中にある
高森明勅の『今昔モノ語り』(2013年6月14日)である。
以下、高森氏の記述
-----------------------------------
この事実無根の記事が主張していることは、
天皇としてのご在位に、ご本人のご意思を明確に介在させるという、
明治・昭和の皇室典範が皇位継承の安定のために
意図して排除した考え方を、敢えて導入しようということだ。
これは皇位継承に関する、原理上の根本的転換を意味する。
あり得ないことだが、万が一にもこのような制度改正がもしなされたら、
皇位の継承は一挙に不安定なものになりかねない。
(中略)
一旦、ご本人のご意思を介在させる制度化を行った以上、
悠仁親王殿下だけを例外には勿論、出来ない。
するとたちまち、万事休すだ。
我が国から天皇という存在そのものが失われることになる。
天皇を秩序の基軸とする日本社会の伝統的な在り方自体が、
たったお一人の皇族のご意思によって決定的に左右される事態になるのだ。
また、ご本人のご意思で退位や即位辞退が可能になると、
無責任かつ悪質な週刊誌の記事などを鵜呑みにした人々が、
ご本人に働きかけて天皇の退位や即位辞退を実現させようと、
不敬不埒な署名活動やデモを活発に繰り広げないとも限らない。
あるいは、現在の皇統の危機を首尾よく乗り越えたと仮定しての話だが、
複数の皇位継承候補者がいた場合、
希望の皇族を即位させるために、
継承順位が優先する他の全ての皇族方の即位辞退を、
強烈に要請するような行動にも走りかねない。
さらに、自分たちが「支持」する皇族を何とか即位させようと、
国民の間に激しい対立が生まれることもあり得る。
そうなると、社会を安定化させ、民主主義の暴走を抑止する、
伝統ある君主制の大切な機能は完全に失われ、
社会の不安定化とポピュリズムの暴走を、
むしろ加速する事態にもなりかねない。
あるいは、退位した天皇は歴史的には
太上天皇(上皇)という地位を与えられて来たが、
太上天皇にはどのようなご公務を考えているのか。
天皇と太上天皇が併存した場合、
国民統合の中心が分裂したのに近い印象を与える懸念はないのか。
前近代の実例では、太上天皇が複数併存したことも、ざらにあった。
前例のように次々と退位の意思が示されれば、そうした場面も当然、出てくる。
それで、天皇の国民統合の象徴たる役割に、
いささかの支障も生じないのか。
等々。問題は噴出する。
まさにパンドラの箱を開けるような行為だ。
そんな愚挙に、天皇陛下はじめ皇族方が賛意を表されたとか、
宮内庁がかくも愚かな提案をしたなどという、
子供でも簡単に見破れるような嘘っぱちを、
いくら週刊誌とはいえ、臆面もなくよく巻頭に7ページも割いて載せたものだ。
-----------------------------------
引用ここまで
見事なまでに立派な天皇の「生前退位」への反対意見である。
これを書いた高森明勅氏は、
現在、天皇陛下の意思で「生前退位」できる制度改正を推進しようとしている。
この3年の間に何が変わったのか。
決定的な変化といえば、
今年、天皇陛下が譲位を望まれる「お気持ち」を表されたことだけだ。
それで意見を変えたのであれば尊皇派としては立派なことであるが、
さすがにここまで変節すると学者として無節操極まりなく、
根本資質を疑わざるを得ない。
自分の研究が天皇陛下の一言で変わってしまうのだから。
上記では、いわゆる生前退位について
「問題が噴出」「パンドラの箱を開ける行為」とはっきり述べているが、
それはどのように解決されたのだろうか。
高森氏の考えには確固たる軸がなく、
場当たり的な対応をしているからこういうことになる。
彼の女系天皇容認論も、皇族が減少したからという場当たり的な対応に過ぎない。
このようなレベルで、二千年の皇統を論じてもらいたくないものだ。
もどる