小林よしのり研究
小林よしのり氏に関連して、ついでにもう一つ。
女系天皇容認論といい、いわゆる生前退位問題といい、
彼の無茶苦茶な論理を目にして、これは一体何なのか?
と疑問に思っていたのだが、最近、少しわかってきたような気がしてきた。
8月末にあった「朝まで生テレビ/激論!象徴天皇と“生前退位”」
での発言が頭をよぎり、インターネットで調べたら、
文字起こしをしている人がいたので、まずはそれを紹介する。
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わざわざ基本的人権を自分で制限して、しかもそれをね、
『国民を思い国民のために祈るという務めを、
人々への深い信頼と敬愛をもってなし得たことは、幸せなことでした』
っておっしゃるわけ。
こんなむちゃくちゃなことをね、天皇陛下に強要してよ、
国民が、それでもね、幸せなことでしたって言ってくださるわけね。
これは本当にありがたいことだしね、本当を言うんだったらね、
リベラル的な感覚から言うんだったらね、こんなのおかしいですよ。
本当は解放しなければならないっていう感じにもなるんですよ。
わしがリベラルに転身するとね。
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小林よしのり氏の尊皇心は確かなものであると思われるが、
天皇陛下のことが好きすぎて、
もはや「解放してあげたい」という解放思想の境地に入っているのではないだろうか。
元々皇室には興味がなかったのだけど、
『天皇論』を描いて、天皇陛下への屈折した愛情が芽生えた。
歴代天皇への畏敬ではなく、今上陛下に限定した異常なまでの愛情。
それが共産思想の人民解放思想と結びついた。
彼は元々左翼思考を持っていた人だから、根本的なところは抜けきっておらず、
尊皇心が歪んで解放思想に行き着いたと考えても不思議ではない。
その観点で見ると、非常にわかりやすく、一連の発言にも納得できる。
女系天皇容認論も、敬愛する天皇陛下の直系子孫に跡を継いでもらいたい、
他の系統には移ってもらいたくないという願望から来ているのではないか。
仮に三笠宮家や高円宮家に男子がいても、
その系統に移ることについて嫌悪感を抱いたであろう。
小林よしのり氏は大作『戦争論』を描き、
反日自虐史観に支配されていた世の中を大きく変えたという実績から、
保守派の人物だと思われがちだが、
私は彼のことを保守だとは思ったことは一度もない。
『戦争論』に描かれている主な内容は、
南京大虐殺や従軍慰安婦強制連行の否定であるが、
それらは、そのようなことがあったか、なかったか、という
事実関係だけの話であって、
保守であるかどうかとはまったく関係がない。
反日自虐史観に対抗する言論イコールを保守だと勘違いしがちであるが、
保守であろうと、左翼であろうと、真実を探求する気持ちがあれば、
従軍慰安婦強制連行がなかったということは、誰にでもわかることである。
すなわち『戦争論』を描いてもなお、彼から左翼思想は抜けていなかった。
そのあと反米論などでぶつかりながら、『天皇論』へとたどり着いた。
そして、二千年の皇統を論じたとき、完全に化けの皮がはがされてしまったのだ。
小林よしのり氏自身も気づいていない、
自らの本質を鏡のように映し出されてしまったのだ。
私は二千年の皇統から、ごまかすことができない凄まじさを感じた。
皇室は我々ごときが思いもしない計り知れないパワーが存在するのではないか。
これはあくまで私の推測であるが、この心理分析はおそらく当たっていると思う。
メンタリスト谷田川の分析では、
彼の直情的な性格は、あまりにわかりやすいのだ。
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