過去を遠くまで振り返ることで、未来も遠くまで見わたせる



「過去をより遠くまで振り返ることができれば、

未来もそれだけ遠くまで見渡せるだろう」


これはチャーチルが残した名言である。

9人連続女子が誕生したことで、

現在の皇室は若い世代の皇族男子が少なくなっている。

その対応策としてよく論じられるのが女性宮家創設論だ。

男子が少なくなってきたのなら、女子も宮家を作れるようにして、

女系継承を認めようとするもの。

一方で、過去にさかのぼれば、皇位継承者がいなくなったとき、

各地に散らばっていた天皇の子孫を探し出し、

皇室に迎え入れるということが行われた。

現在もそれに習って、終戦直後

GHQの占領政策で皇籍離脱を余儀なくされた

旧宮家のご子孫をお迎えしてはどうか、という主張がある。


男子が少なくなれば女子まで広げて女系継承を容認するというのは、

目先の対応策として妥当なように見えるが、

それで千年先まで皇室が存続できるだろうか。

過去においては男子が少なくなったとき、

女系に道を開くのではなく、男子を探し出して、

無理をしてでも男系継承を貫いてきた歴史がある。

安直な方法を選択すれば、安直な結果しか待っておらず、

苦労した痕跡を残せば、それだけ子孫に責任の重さを引き継ぐことができる。

正統性を受け継ぐ重みというのはそういうことだ。


女性宮家創設と女系天皇容認で50年先の皇室は安泰かもしれない。

なぜなら現在の皇室を直接受け継いだ世代だから、

何とか権威も受け継ぐことができるだろう。

男系から女系に移行した直後はそれでいい。

しかし、真価が問われるのは、女系から女系への継承が繰り返されたときだ。

女性宮家創設論を述べている人はそのとき誰も生きていない。

要するにそのときどうなるかわからない無責任な発言をしているということである。

先のことなど誰にもわからない。

わからないからこそ過去の実績に重きを置くべきなのではないか。

つまり、チャーチルが言うように、

過去をより遠くまで振り返ることで、

未来もそれだけ遠くまで見渡せるようになるのである。


また、チャーチルは次のようなことも述べている。


「築き上げることは、多年の長く骨の折れる仕事である。

破壊することは、たった一日の思慮なき行為で足る」


初代神武天皇の即位により日本がはじまり、

以後、二千年にわたり父子一系で継承されてきた皇統は、

女系天皇を容認すという一日の思慮なき行為で

簡単に破壊してしまうことができる。

日本人は本当にそれをやってしまうのか。

今一度、冷静になって考えてみる必要がある。






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