皇統永続の鍵は男系継承にあり

                             PDF版


血統の形態には「男系」または「非男系」の二種類しかない。

女系というのは存在せず、

昨今語られている女系天皇容認論というのは、「非男系」のことだ。

母だけでつながっている血筋があるなら女系となるが、

そんな血統はどこにも存在しない。

女系と言っているのは、「非男系」を言い換えているだけのこと。

皇室とは血統の原理なので、

血統を大事にするということは、すなわち「男系」を守ることを意味する。

血統の原理を口にしながら、

「非男系」(女系)をやろうというのは論理矛盾となる。


非男系でも親子では血はつながっているではないか、

という反論はあると思うが、

親子で血がつながっているというのは全人類同じ。

要するに特別な血統から、全人類同じにしようとしていることになる。

皇室の特質性を庶民に埋没させよう、

すなわち皇室を無くしてしまおうと言っていることに等しいのだ。


「男系」は「血統」の論理。

「非男系」は「家」の論理。

この大原則について説明しておこう。


血統の論理では必ずしも親子継承にこだわらない。

他に男系男子がおれば、

自分とは遠縁であっても継承させることができる。

皇室では「タテ」の継承にこだわらず、

これまで124回の皇位継承で、約半数は親子継承ではなかった。

皇女しか生まれなかった場合、

男系の要件さえ満たせばいいのであれば、

皇女を天皇にして、他の皇族男子を夫にすることもできる。

しかし、現実には皇女しか生まれなかった場合、

別の皇族男子が即位して、皇女は結婚すらしないことがほとんどだ。

皇室の歴史では、皇女の未婚率は異常に高い。

天皇に皇子がいても、弟が即位することも少なくない。


皇位は相続ではないので、必ずしも親子継承、

すなわちタテの継承にはこだわらなかった。

一方で、家の相続はタテの継承を重視する。

例えば、自分に息子がいるのに、

弟が相続するケースはよほどの事情がない限り起こりえない。

娘しか生まれなかった場合、自分の家を娘に継がせず、

親戚の男子に継がせるなどということも普通はない。

ましてや、娘を差し置いて、

顔も見たことのない遠縁の人に家を継がせるなんてことは考えられない。


家や財産は「私物」なので、なるべく子に継がせようとする。

男系・非男系に関係なく、わが子に継がせたいと思うのだ。

だから娘しか生まれなかった場合、婿養子を迎えて継がせようとする。

ここで大事なのは、この場合のほとんどは、

娘の夫、つまり婿が当主となる。

単なる婿ではなく「婿養子」というのは、

養子縁組により義理の父の嫡子の地位を得るということ。

義理父の息子となって家を継ぐのだ。

皇室では絶対にこれができない。

天皇と血のつながっていない皇女の夫が、

天皇の嫡子の地位を得て天皇になるということ。

それができないから、

女性宮家なるわけのわからないものをつくろうとしているのだ。


そもそも皇室は家や財産ではない。

「家」は私物だが、「皇位」は完全な公となる。

皇位は私物ではないから、

血統的に遠く離れた別の男系男子が継承しても何の問題もない。

自分の子に継がせたいというのは「私」であり、

皇室の歴史ではなるべくそういうことはやらないようにしてきた。

だから親子継承は半数程度だった。


もちろん皇位継承に「私」の要素が持ち込まれたことは何度かあったが、

そういうときは後に大きな問題につながることもあった。

例えば、かつて皇統が持明院統と大覚寺統に分かれた原因はこれだ。

後に南北朝時代となって大混乱にまでつながった。


女性宮家に賛成している人は、「皇位」と「家」を混同しているのだ。

「公」と「私」の混同。

皇室を血統の論理(男系)から家の論理(非男系)にしようというのは、

皇室の存在を公から私物に変えようという主張だ。

皇室の存在を公から私物に陥らせれば、

いずれ滅びることになるだろう。


皇室は「家」ではなく祭祀を司る「位」であるから、

二千年続くことができたのだ。

「公」だからこそ、権力者は手を出せなかった。

皇室が私物であったなら、権力者に取って代わられていただろう。

他国の王室は「家」であり私物であったから、

権力の交代にあわせて滅びていった。


皇位継承は相続ではない。

皇室は「家」ではないので、

普通の家のような相続の発想を持ち込んではいけない。

皇位は相続ではなく、先帝から新帝に移りゆくもの。

男系の皇族から男系の皇族に継承されていく。

だから、男系の皇位継承者が少なくなったのであれば、

旧宮家を復活させて継承させることができるのだ。

「家」ではなく血統による「地位」だからこれができる。

男系を守ることは、イコール皇室を守ることに直結する。

政治家はこの前提知識を抜きにして皇室や皇統を論じることがあってはいけない。

皇室、皇統を論じる人の最低限の常識としなくてはならない。






もどる