お笑い論



フェイスブックではあまり触れていなかったので、

知らない人も多いと思うが、ぼくは大の“お笑い”好きである。

特に好きなジャンルは「コント」だ。


漫才も好きだが、漫才は難しい。

最近やっている漫才の大半は、ショートコントである。

冒頭部分から「俺〇〇の役するから、お前△△やって」となる。

だったら最初から練りこんだコントで勝負したほうが面白いと思う。

純粋にしゃべくり漫才で笑わすことができるのは「ナイツ」など数少ない。

そんなことを踏まえながら、

先日に行われた「M−1グランプリ2018」について論評してみる。


まず、ぼくが評価した順位と実際の順位。

【ファーストラウンド】

1.ジャルジャル・・・B

2.かまいたち・・・D

3.ミキ・・・C

4.ギャロップ・・・G

5.和牛・・・A

6.スーパーマラドーナ・・・F

7.霜降り明星・・・@

8.見取り図・・・H

9.トム・ブラウン・・・E

10.ユニバース・・・I


【最終決戦】

1.和牛・・・A

2.霜降り明星・・・@

3.ジャルジャル・・・B

※後尾の番号が実際の順位


なぜ審査員の私にここまで差が出るのか。

お笑いとは複雑である。

今大会に関係なく、出場者の中で、

ぼくが一番面白いと評価しているのは「ジャルジャル」である。

ファーストステージでも一番面白かったと思う。

しかもよく構成されている。


ところが、上沼恵美子は「このネタは嫌い」だと低評価。

そんなこともあってか、大会終了後の夜に

昨年の王者トロサーモンの久保田が泥酔して

「自分目線の、自分の感情だけで審査せんといてください」

と批判して問題となり、後で謝罪するという騒動も起こった。

久保田の気持ちもわからなくはないが、

自分目線の自分の感情以外で審査するのは難しい。

そんなことをやってしまえば、一般視聴者の感覚からかけ離れてしまうか、

観客の反応にそった採点になってしまう。

個人のセンスで採点してもいいと思うが、

そもそも上沼恵美子が審査員に入っていることが間違いなのだ。

今回で最後にするとのことで、それはそれでよかった。


ぼくはジャルジャルを高く評価するが、

ファイナルステージで見せたネタには失望した。

持ち味のシュールな内容を含んだネタより、

優勝を意識しすぎてボールを置きにいった印象を受けた。

自分目線の自分の感情では、「和牛」は好きな芸人ではないが、

ファイナルステージでは最も面白く、最も上手かったと思う。

ただ、内容は漫才ではなくほぼコントだったけど。


優勝した「霜降り明星」は、

昨年、なんばグランド花月の劇場で初めて見て、

すごく面白いという印象が残っている。

今回のようなネタではなかったと思う。

あるいは、ひょっとすると、生であれを見ると

めちゃくちゃ面白いのかもしれない。


ちなみに、そのなんばグランド花月でトリを務めた

ジャルジャルのコントは腹を抱えて笑った。

ジャルジャルの面白さはテレビではわかりづらいし、

万人ウケするものではないのだろう。


ぼくにとって笑いとは、予想を裏切ることだと思っている。

人がそこでこけるとわかっていたら面白くもなんともない。

予想外に突然こけるから面白いのだ。

舞台では予想外のドタバタに人は笑いを感じる。


ところが期待に応える笑いというのもある。

その典型が吉本新喜劇だ。

登場したチャーリー浜が「ごめんくさい」と言って暖簾をくぐるのは

わかりきっていることだが、待ってましたとばかりにみんなが笑う。

末成由美の「ごめんやしておくれやしてごめんやっしゃー」の登場も同じ。

それに近い路線で笑いをとる最近の若手人気芸人が「ノンスタイル」だろう。

石田(白いほう)がベタなボケを連発して、笑いを誘う。

ぼくはほとんど面白いと思はないが、

石田曰く「小学生が笑えるネタをつくっている」とのこと。

確かに、インパルスや東京03は小学生が見ても何も面白くないだろう。

ここまでくると、やっぱり好みだな。

正解はない。

「霜降り明星」はノンスタイルに近いタイプだが、

予想を裏切る笑いの演出もできるコンビだと思うで、

今後のさらなる活躍に期待している。






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