『WiLL』(5月号)本家ゴーマニズム宣言
〜八木さまのY談〜についての論評
単なるアホだ。
普通の学者ならこれで終了する内容である。
まともに批判するのも馬鹿らしいレベルであり、すでに恥ずかしいレベル議論であるが、
あえてその恥ずかしさをじっくり解説してあげましょう。
まずは八木秀次氏が別冊正論『皇室の繁栄、日本の永遠を祈る』に記した内容を確認しておく。
----------八木秀次氏----------
最後に言わずもがなのことを述べておこう。
天皇の天皇たるゆえんは神武天皇以来の男系の血を
今日に至るまで受け継いでいるということである。
それ以外の要素は付随的なものに過ぎない。
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この記述について私も特に異論はない。
天皇が天皇たるゆえんは何より血統であると考える。
----------小林よしのり----------
天皇陛下にとっては、三種の神器も、天壌無窮の神勅も、皇室祭祀も、
すべて「付随的なものに過ぎない」と、そのように!
天皇が天皇たるゆえんは神武天皇以来の男系の血、
すなわちY染色体だけだとおっしゃっておわします。
(181頁)
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まったくただのアホ。
小林よしのり氏が三種の神器を奪い取ったら天皇になれると思っているのか?
一般人が皇室祭祀を行ったら天皇になれるか?
天壌無窮の神勅を体現したのが万世一系である。
三種の神器を受け継ぐ資格の正統性は血統により担保されているのである。
皇位継承資格のない人間が皇室祭祀を司っても意味がない。
こんな常識的なことをわざわざ説明しなくてはわらないほど、もはや頭が病んでいるのであろう。
----------小林よしのり----------
「天皇の天皇たるゆえん」が神武天皇のY染色体の継承にあるのでしたら、
8人10代の女帝はどうなるのでしょうか?
女帝は当然「神武天皇のY染色体」などお持ちでなかったわけですから、
八木さまにいわせれば「天皇の天皇たるゆえん」を欠いた、
いわば「エセ天皇」だったことになるのではありますまいか?
(183頁)
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いつもの単なるすり替え論法である。
八木氏は「神武天皇以来の男系の血」であると述べている。
女帝はY染色体を子供に引き継げないと言っているだけで、
Y染色体を持っていることが天皇の条件であるなど一言も述べていない。
相手の主張すら理解していない、いつものパターンである。
女帝は天皇の未亡人か生涯独身であり、常に一代限りとなっているのは、
そういうことだという説明であるのだ。
小学生の喧嘩を思い出すような批判である。
----------小林よしのり----------
そもそも八木さまは「男系=Y染色体」と信じ込んでいらっしゃいますが、
男女の性差を決定するのは「Y染色体」ではなく、「SRY遺伝子」でごじゃります。
よって生物学的には、男帝であってもY染色体を持たなかった方がいらした可能性を
否定できないのでごじゃりますぞ!
ところがそう指摘いたしましたら、八木さまは「別冊正論」でこうおっしゃられる。
「たとえそのような天皇が存在しても、その天皇は不妊症であり、次の世代を残せない。
Y染色体を持たない男性天皇が一時期存在していても、それは一代限りであり、
次の代にはその天皇の子供ではなくて、兄弟やおじ、甥、あるいは遠縁の男系男子など
元のY染色体を継承している男子が皇位に就いている。
そうでなければ男系継承ができない。」
まるで皇統の問題をマウスのように語ってしまわれるそのご神経!
こんなことを「不敬」だと微塵もお感じにならずにおっしゃり、
むしろ自らを尊皇心があるかのように思っていらっしゃるそのご感覚!
(184-185頁)
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???
八木氏の発言は、上記の通り、小林よしのり氏が福岡某の説を持ち出して、
科学的に批判してきたことに対する科学的な反論である。
それに反論できなくなれば、「不敬」だと言っているのだから、
これは議論ではなく、一方的な誹謗中傷、印象操作である。
もはやこういうことを恥じることなく堂々とやっているのであるから、
単なるプロパガンダと断定するほかない。
----------小林よしのり----------
八木さまは、わしに対して「最近は男系論を優生思想だと批判してもいる」
と非難がましくお書きになっておられますが、
これが「優生思想」でなかったら、一体何でごじゃりましょう?
皇統に勝手に「優生思想」を持ち込む傾向は、渡部昇一さまにより顕著に見られ、
このような人がいるから、天皇の存在が「差別の根源」だと誤解する人が出てきてしまっております。
(185頁)
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小林よしのり氏はおそらく「優生思想」が何たるかを理解していないのだろう。
「進化論」と「優生思想」は保守主義にとって決定的重要な意味をもたらすものと考えているので、
自分の出版予定の著書にもすでに記してある。
小林氏はこの種の学問に対して無知蒙昧であるに過ぎないことがわかるであろう。
生半可な知識で「優生思想」を述べ続けると恥を重ねるだけである。
----------小林よしのり----------
八木さまは以前、渡邉允前侍従長に会って、
「陛下は女系容認ではないのではないか」と聞いたと言ってごじゃります。
そりゃあ、男系主義者が詰めよれば、そのようなニュアンスに聞こえる言葉も出てまいりましょう。
リップサービスを真に受けて書いてしまう、お阿呆なメエメエ八木さんでごじゃりますこと。
(中略)
それにしても「人に聞いた」という話ほどいいかげんなものはありません。
まともな言論人ならそれを文章には書きません。
(186-187)
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八木氏が渡邉前侍従長に詰め寄ったのかどうかは、小林よしのり氏の勝手な想像であろう。
勝手な想像で結論づけているのだから、単純な印象操作に過ぎない。
そもそも小林よしのり氏は渡邉前侍従長に会ったこともなければ、話をしたこともない。
自分は想像以外に何ら根拠を示すことはできないではないか。
八木氏は「人に聞いた」話を書いているのではない。
渡邉前侍従長から直接聞いた話を書いている。
八木氏は渡邉前侍従長の発言から天皇陛下が「女系容認ではない」と書いているのではない。
小林氏が渡邉前侍従長は女系容認という陛下の意を汲んで発言していると書いていることに対して、
渡邉前侍従長はこう考えておられるという事実を書いているに過ぎない。
事実に対しては事実で反論するべきだ。
小林氏は事実に対して想像で反論しているだけなのだ。
そもそも渡邉前侍従長が「大御心」をリップサービスで語るということは、
渡邉前侍従長を侮辱していることにもなるということに気が付いていないのだろうか。
八木氏に詰め寄られて「大御心」をリップサービスで語る。
そんな馬鹿なことがあるだろうか。
侍従長という職務を馬鹿にしているのか。
男系論者に詰め寄られて「大御心」を語るような人物なら、
女系論の根拠にもならないという矛盾にすら気づいていないのであろう。
----------小林よしのり----------
「女系容認は陛下のご意向ではないのでは」、
「女性宮家創設は皇室のお仕事の分担だけが目的で、皇位継承問題とは切り離す」という、
渡邉前侍従長から聞いたとする言葉を信じていらっしゃるのなら・・・
「女性宮家創設」の提案につきましては賛成していいはずでございましょう?
(187頁)
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またまた、巧みなすり替え工作か、
相手の発言を理解する能力を持ち得ていないか、どちらかの発言である。
八木氏の記述の第一義は、渡邉氏はこう考えているという事実である。
つまり、小林よしのり氏が渡邉前侍従長に対して書いていたことと事実関係が異なるということだ。
渡邉前侍従長が陛下の御意志を反映しているかどうかということではない。
渡邉前侍従長が「陛下は女系容認のご意向ではないのでは」というのは、
我々にとって勇気づけられる話ではあるが、それが本当なのかどうかは誰にもわからない。
そのことをふまえた上で、渡邉氏は一代限りの「女性宮家はどうか」と提案されているわけで、
それは陛下のご意向とは関係のない話である。
おそらく八木氏も同じではないかと思うが、
私は内親王殿下の一代皇族というものを、まったく排除するという考え方はとっていない。
女系宮家とは区別している。
もちろん順序としては、旧宮家の復活であると考えるが、議論そのものを否定するつもりはない。
旧宮家の復活は議論すら許さないという、
憲法改正論議の左翼と同じスタンスをとっているのは女系論者である。
そもそも小林よしのり氏は、渡邉前侍従長が主張している
一代皇族の女性宮家と、女系宮家の区別すらできていないのが現状である。
まずは己の知識と理解力を磨いてから論じるべきだろう。
60歳を目前にした人間にいまさらそれを述べるのは酷なことかもしれないが。
----------小林よしのり----------
情報通らしい八木さまは、保阪氏の「担当編集者」から、
旧宮家関係者の感触としては
「自分の望むところではないが、政府から正式な要請があれば断る理由はないというものだった」
という報告を受けていらっしゃるのだとか。
じゃあ八木さまは保阪氏が事実を隠して、ウソを書いたとおっしゃるのか!?
その編集者は、皇統に関する重大事で、ウソの記事が掲載されたのを放置しておいて、
八木さまだけに「真実」を話したというわけであらせられるな!?
(189頁)
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だからいい加減に、保阪正康氏による『文藝春秋』の記事を読んだらどうか?
読みもしないから、このような事実に反する記述を繰り返さなくてはならないのだ。
保阪氏の記事では、旧宮家男子へのインタビューで、
皇籍復帰の意志があるという人も、ないという人も、どちらも一人もおられなかった。
全員がノーコメントだったからである。
保阪氏が「竹田恒泰氏しかいない」と言い出したのは、月刊『現代』での原武史氏との対談からである。
保阪と原は、小林氏自身が『天皇論』でボロクソに批判しているとおり、そういった奴等なのである。
それについて竹田恒泰氏は明確に抗議されているのだ。
つまり旧宮家男子に対して調査した文藝春秋の編集者は、
保阪氏が他の雑誌で述べたウソを放置しても、何ら責任をとる立場にないのである。
----------小林よしのり----------
んま〜っ、都合のいいように聞こえるお耳ですこと!
八木さまって誰の話でもご自分の都合のいいように聞こえる!
(189頁)
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あれだけボロクソに批判していた保阪氏のねつ造が、
よくもまあ都合のいい話だけ、自分の耳に入ってくるものだ。
記事を読めばすぐわかることだが、信じたいのだろう。
何と都合いいように聞こえる耳なんだ。
----------小林よしのり----------
陛下のご真意の表明が憲法上封じられている以上、
「男系絶対が伝統ではないこと」、
「直系が正統であり、皇位継承の安定に繋がること」の証明を、
『新天皇論』の最大の仕事とすることにしたのでごじゃります。
(191頁)
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これまでさんざん、陛下のご意向をお察しするべきと述べていたのが、
渡邉前侍従長により根拠が崩れて、いまや上の2点だけとなったことの表明ですか。
私の著書の意義は「男系絶対が伝統であること」、
「直系が正統であり、皇位継承の安定に繋がるなどといいう事実はない」ことを証明し、
『新天皇論』のインチキを明るみに晒すことである。
私の著書が効果を表すためにも、『新天皇論』が今のように鳴かず飛ばずではなく、
もう少し売れ行きをのばしてもらいたいものだ。
----------小林よしのり----------
10年前、小泉政権下で皇室典範改正の検討が始まった頃、
男系だ、女系だなどということにこだわっている人はほとんどなく、
すんなりと女系公認の典範改正に至ってもおかしくはない状況でした。
ところがそんな中で八木さまが「Y染色体説」を持ち出して、男系絶対を唱え始めました。
その結果、八木さまが自画自賛なさるように
「当時は絶対少数説ないしトンデモ説扱いされていた男系継承論がその後、
数多くの人たちに支持されるようになる」という現象が出現してしまいました。
(192頁)
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小林よしのり氏は有識者会議の報告書に対して
痛烈に批判していたという証拠が残っているのでは?(爆笑)
私はY染色体の話はあまり好きではないので自分からはやらない。
しかし、八木氏の主張がなぜ多くの賛同を得たのか。
それは八木氏自身が述べているとおり、
八木氏はY染色体こそが正統性がると考えているわけではなく、
これまでの男系継承を説明する「手段」として持ち出した論理なのである。
当時は多くの人が男系継承の意味がわかっていなかった。
だから、男系継承とはどういうものなのかということを説明するために、
神武天皇のY染色体を受け継いでいくことができるのは男系男子だけだということを
科学をもちいて論理的に説明を加えたのである。
だからY染色体を言い出すなら、類人猿に行き着くなどという批判はまったく見当違いなのだ。
八木氏はあくまで神武天皇の血統を受け継ぐことの説明をしたに過ぎない。
八木氏に賛同した多くの人々は、Y染色体に納得したのではなく、
Y染色体による説明により、万世一系の意味を理解したということである。
小林氏の批判は根本的にあさっての方向を向いているので、誰もが賛同しないのである。
真実に迫ろうとしていた『戦争論』の頃の気質は完全に消え去ったということだろう。
八木氏が『正論』4月号に記した、まさに「ゴーマニズムの名が泣く」ということなのだ。
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