『WiLL』(8月号)本家ゴーマニズム宣言
      〜「科学的証明」に嵌ったY染色体教祖〜についての論評


 

----------小林よしのり----------

八木のY談の生命線は

「天皇の正統性は、神武天皇のY染色体を継いでいることにある」

というのだから、一人でもY染色体を持たない天皇が存在すれば、

もう破綻なのである!!

 

ところがそれを指摘すると、八木は平然と

「Y染色体を持たない男帝も皇位は継承できる」

「女子であっても男系であれば皇位を継承できる」と言い出す。

 

八木によれば、ただしY染色体を持たない男帝は不妊なので子供が生まれず、

元のY染色体を受け継ぐ皇族が「その次」の皇位を継承するし、

女帝についても、その子は女系になるので「その次」の皇位継承から外される。

だから男系継承は続いていると言う。

 

ちょっと待ちなさいよ。

「その次」のことなんか聞いていない。

八木のY談の問題は、たとえ一代限りでも、

神武天皇のY染色体を持たない人物が天皇になって、

なぜそれが正当化できるのか、ということだ!!

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「Y染色体論は生物学的に完全に崩壊している」

「Y染色体論なんてトンデモ学説」

「Y染色体=男性なんて、生物学の世界では通用しない」

(新天皇論)

 

これに対して、八木氏は生物学として、どこが崩壊しており、

“トンデモ学説”なのか、と反論しているのです。

「“その次ぎ”のことなんか聞いていない」とは、

相当、苦し紛れの反論となっています。

「たとえ一代限りでも、神武天皇のY染色体を持たない人物が天皇になって、

なぜそれが正当化できるのか」というのは、生物学の反論ではありません。

 

生物学的に“トンデモ学説”と言い出したのは、小林よしのり氏自身なのであるから、

「どこが“トンデモ学説”なのか」という問いに対して、説明する責任があるのですが、

一切、答えることなく、論点をすり替えて、議論に負けていないように見せかけようとしています。

非常に卑劣な論法であると思います。

 

八木氏は当然に過去に女帝が存在したことを知っているわけで、

Y染色体を持つことが、天皇の資格であるなどと述べていない。

次ぎに受け継ぐことができるのは、Y染色体を持つ男性だけであるということです。

 

私は繰り返し、皇統をY染色体論で述べることに賛同はしないと述べていますが、

それとは別に生物学的に崩壊しているとは考えていないし、

「崩壊している」、「トンデモ学説」というのであれば、

どの部分がそれにあたるのか、教えてもらいたいと思っています。

しかし、小林氏からいつも出てくるのは、

負けていないように見せかける「論点のすり替え」という卑怯な論法だけとなっています。





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