まさに蟻の一穴

 

 

----------小林よしのり----------

小堀氏は『天皇論』の「女系容認」の一コマを、

「この好著の全体として論理の破綻を意味する」と言い、

「これは決して『微』ではない。

むしろ『天皇論』という千丈の堤も蟻の一穴から崩れる、

その一穴とでも言っておこうか」

とまで書いている!

     (125頁)

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小堀桂一郎氏の文章は、『天皇論』が刊行された直後に書かれたもので、

小林よしのり氏が大々的に女系天皇を開始する前の段階となります。

結果的にいえば小堀氏の先見がいかに正しかったということを、

その後に展開された女系天皇論の実情が証明しました。

小林よしのり氏は、自らの主張を正当化しようと躍起になればなるほど、

蟻の一穴を自らどんどん広げていくことになったのです。

 

 

----------小林よしのり----------

小堀氏はかつて、皇學館大学名誉教授・田中卓氏を

「田中博士の説だから信じてよい」というほど信頼していた。

ところが、田中氏が女系天皇を認めていると知って一転、

「墜ちた偶像」と罵り、

「この人達の学説の裏には暗く怪しい政治的党利党略性がひそんでいる」

と誹謗中傷するに至った。

そして、古事記・日本書紀と古代史の関連を解読する田中卓氏の学説を誤解したまま

「田中は神話と歴史を混同している!」と、

一人でコテンパンに批判したつもりでいるのだ。

 (279頁)

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「田中博士の説だから信じてもよい」というのは、

「信仰」と誤解されかねない踏み込んだ発言となりますが、

「信仰」ではなかったから、田中卓氏が女系容認論だと知ると、

小堀氏は態度を一転されたのです。

田中卓氏を信仰する小林よしのり氏からすれば、

小堀氏も信仰を続けなければならないということであろうが、

実は信仰ではなかったことがわかり憤激しているということになります。

思考パターンまで「信仰」に侵された小林よしのり氏は、

自分の信念と哲学に基づき行動する小堀氏が許せないということになるのでしょう。

小堀氏にミスが一つだけあるとすれば、「墜ちた偶像」ではなく、

「はじめから墜ちていた偶像」であったということに

気付いておられなかったということでしょうか。






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