かわいそうなよしのりさん

 

今月1日発売の『正論』7月号に八木秀次氏が

「さらば!ゴーマニズム宣言」というタイトルで、小林よしのり氏からの

誹謗中傷に対する反論を書かれています。

小林氏はそれに対する反応を早速ブログで示しています。

「かわいそうなヤギ」というタイトルでした。

小林氏は痛いところをつかれると、

ムキになって反撃するので非常にわかりやすいです。

 

細かくコメントするほどのことではないので、

わかりやすい論点だけ整理して見てみましょう。

 

◆遺伝子学の論争

 

小林よしのり氏が『新天皇論』でY染色体ついて発言したのは、

主だったところで以下の通りです。

 

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第21章「Y染色体論はとっくに崩壊している」

性を決定するのはY染色体ではない。

「SRY遺伝子」だ!

Y染色体のない男性だっているということなんだ!

歴代天皇の中にY染色体のない男性だっていたかもしれない。

Y染色体論は生物学的に完全に崩壊している!

 

第30章「櫻井よしこ氏、大原康男氏までもが、なぜ!?」

なんと大原氏は、「Y染色体論」なんてトンデモ学説まだ信じている!!

そして櫻井氏もこの発言に理屈抜きで賛成するのだ!

すでに描いたが、男女の産み分けを決定するのは「SRY遺伝子」である。

Y染色体を持つ女性もいるし、X染色体しか持たない男性もいる。

「Y染色体=男性」なんて、生物学の世界では通用しない!

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これに対して八木氏は

『別冊正論・皇室の弥栄、日本の永遠を祈る〜皇統をめぐる議論の真贋』の中で、

科学的に破綻していないことを書いた。

すると小林氏は『WiLL』5月号「八木さまのY談」で、以下のようなことを述べました。

 

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そもそも八木さまは「男系=Y染色体」と信じ込んでいらっしゃいますが、

男女の性差を決定するのは「Y染色体」ではなく、

「SRY遺伝子」でごじゃります。

よって生物学的には、男帝であってもY染色体を

持たなかった方がいらした可能性を否定できないのでごじゃりますぞ!

 

ところがそう指摘いたしましたら、

八木さまは「別冊正論」でこうおっしゃられる。

 

「たとえそのような天皇が存在しても、

その天皇は不妊症であり、次の世代を残せない。

Y染色体を持たない男性天皇が一時期存在していても、

それは一代限りであり、次の代にはその天皇の子供ではなくて、

兄弟やおじ、甥、あるいは遠縁の男系男子など

元のY染色体を継承している男子が皇位に就いている。

そうでなければ男系継承ができない。」

 

まるで皇統の問題をマウスのように語ってしまわれるそのご神経!

こんなことを「不敬」だと微塵もお感じにならずにおっしゃり、

むしろ自らを尊皇心があるかのように思っていらっしゃるそのご感覚!

(184-185頁)

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小林よしのり氏は上で記したとおり

「Y染色体論は生物学的に完全に崩壊している」

「Y染色体論なんてトンデモ学説」

「Y染色体=男性なんて、生物学の世界では通用しない」

と言って、科学的に批判していたのです。

 

それに対して八木氏が

「Y染色体がない天皇は男系子孫を残せない」

ということを科学的に反論すると、

「不敬」の一言で片付けられてしまったのです。

八木氏はそのことを『正論』7月号で指摘しても、

 

----------小林よしのり----------

「Y染色体」なんてものを持ち出して皇統を語ったら最後、

類人猿に行きつくのは必然である。

絶対に天照大神にはたどりつかない。

(ブログ/かわいそうなヤギ)

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などと、まったく見当違いの反論を行っています。

さらには、

 

----------小林よしのり----------

「小林氏は遺伝学の基本を理解していないのではないか」

と偉そうに言っている。

かわいそうに、気の毒にー ー ー!!

八木は、「神武天皇以来の純粋な男系の血」が

「天皇であるための絶対条件」であり、

男系の血を継ぐからこそ「三種の神器」を継承できるのだと主張している。

じゃあ何ですか?

その「三種の神器」はどこから出てきたのですか?

神武天皇の血を固めて作ったんですか?

「三種の神器」は、天照大神が自分の子孫である証として

ニニギノミコトに賜り、それが代を経て神武天皇に、

さらに歴代天皇に受け継がれたものです!

尖鋭化の一途をたどる男系絶対主義のために、

八木はあろうことか三種の神器を「天照大神の子孫の証」ではなく

「男系継承の証」に捏造している!

そんなことまでしてるのに、「自分はカルト信者ではない」と言い張っている!

 

イタい!

イタいぞ、シナ男系八木!

(ブログ/かわいそうなヤギ)

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「小林氏は遺伝学の基本を理解していないのではないか」という指摘に対して、

一切「遺伝学」や「生物学」の観点から反論せず、違う話にすり替えています。

「生物学的に完全に崩壊している」と言い出したのは、

小林よしのり氏なのであるから、不敬かどうかは別にして、

少なくともその部分について答えるのが最低限のマナーとなります。

 

当サイトで繰り返し述べていますが、

私は皇位継承論とY染色体論の関係について、一切の関心を持っておりませんが、

それとは別に、遺伝子学として、Y染色体のない男性が、

子孫を残せるのか興味があります。

小林氏にはその部分だけについては答えてもらいたいものと思っているのですが、

必死になって、ごまかし、逃げ回っている様子から考えると、

『正論』7月号で八木氏が指摘したとおり、

福岡伸一氏の著書を一冊読みかじって、

正確に理解しないまま書いているだけということでしょう。

 

 

◆旧宮家に対する取材

 

『WiLL』5月号「八木さまのY談」から

 

----------小林よしのり----------

情報通らしい八木さまは、保阪氏の「担当編集者」から、

旧宮家関係者の感触としては

「自分の望むところではないが、

政府から正式な要請があれば断る理由はないというものだった」

という報告を受けていらっしゃるのだとか。

じゃあ八木さまは保阪氏が事実を隠して、ウソを書いたとおっしゃるのか!?

その編集者は、皇統に関する重大事で、

ウソの記事が掲載されたのを放置しておいて、

八木さまだけに「真実」を話したというわけであらせられるな!?

(189頁)

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これについては『正論』7月号で、八木氏が明確に反論しています。

 

保阪正康氏は確かに月刊『現代』(平成18年2月号)での原武史氏との対談で

「私は以前取材で、旧宮家の人たちにも何人か会っているですが、

彼らのなかで、また皇族にと思っている人はひとりしかいなかったんですね」と発言し、

原氏は「旧竹田宮の竹田恒泰氏ですね」と応じている。

しかし、問題の『文藝春秋』でインタビューに答えた旧宮家関係者は

東久邇盛彦氏だけがどちらにでも取れる発言をしている他は全てノーコメントであり、

竹田氏も「お答えする立場にありませんので、遠慮させてください」と述べている。

保阪氏の『現代』での発言とはニュアンスが異なるものだ。

それにノーコメントは複軌の意志がないのとは意味が違う。

(中略)

『文藝春秋』の編集者が他者発行の『現代』で述べた

保阪氏の「ウソ」を放置したとしても責任はない。

 

小林よしのり氏はブログで八木氏に激しく批判を加えながらも、

これについては一切触れていません。

一言も言い逃れができないほど、的を射た指摘であるということでしょう。

小林氏が取り乱すようにブログで激昂するのもよくわかります。

 

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かわいそう!

かわいそうな八木!

かわいそうに、気の毒にー ー ー!!

イタい!

イタいぞ、シナ男系八木!!

かわいそうな八木!

たったこれだけのことも

理解出来ないなんて!

もう頭のネジも飛び散りきって、脳内カラッポに違いない!!

とことん頭が悪いのに熱意だけある人ほど、始末に負えない者はない。

カルト信者によくいるタイプだ。

かわいそうになー ー ー!!

(ブログ/かわいそうなヤギ)

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自分のボスがこんなことを述べていたら、どんな気持ちになるのでしょうか。

もう、行くところまで行ったという感じですね。

 

八木氏の一文には小学生だったころの、

懐かしい感覚を思い起こされました。

 

小林氏は『WiLL』5月号の漫画の最後から二番目のページで

山羊が何匹も「んめ〜〜〜 んめ〜〜〜」と鳴いている絵を描き、

「Y談好きな八木さまのこと、たちまち大繁殖して吉野の山々に間の抜けた鳴き声が

こだますることにならしゃりましょう」と書いている。

我が家には三人の子供がいるが、小学校低学年までは必ず「ヤギ、メーメー」とからかわれる。

少年時代の私にもそういう経験があるが、

六十歳近い大人が人の批判をするに事欠いて

最後は「ヤギ、メーメー」なのかと思うとがっかりする。

うちの子供たちも「子供じゃん!」と笑っていた。

 

私の名前は“おさむ”ですが、

小学生時代に漫才師「ザ・ぼんち」が武道館を満員にするほど

大ブームが巻き起こるという悲劇がありました。

何人かの同級生からは「おさむちゃんで〜〜〜す!(カン)」といって、

よくからかわれた記憶がよみがえりました。

確か中学生になってから以降はからかわれた記憶がありません。

私の『新天皇論』批判に対して、

「おさむちゃんで〜〜〜す!(カン)」とやられたら、確かにがっかりするでしょうね。

あまり見てはいけないものを見る感覚でしょうか。

 

 

◆天壌無窮の神勅について

 

最後に天照大神による天壌無窮の神勅について、

少し解説しておきましょう。

 

----------小林よしのり----------

八木は、「神武天皇以来の純粋な男系の血」が

「天皇であるための絶対条件」であり、

男系の血を継ぐからこそ「三種の神器」を継承できるのだと主張している。

 

じゃあ何ですか?

その「三種の神器」はどこから出てきたのですか? 

神武天皇の血を固めて作ったんですか?

 

「三種の神器」は、天照大神が自分の子孫である証としてニニギノミコトに賜り、

それが代を経て神武天皇に、さらに歴代天皇に受け継がれたものです!

 

尖鋭化の一途をたどる男系絶対主義のために、

八木はあろうことか三種の神器を

「天照大神の子孫の証」ではなく「男系継承の証」に捏造している!

 (ブログ/かわいそうなヤギ)

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少なくとも天壌無窮の神勅の後から一貫して男系継承は続いています。

直接神勅を聞いた神さまたちが一番その意味を理解しているでしょうし、

歴代天皇によってそれが受け継がれてきました。

つまり、歴代天皇は天照大神による「吾が子孫の証」という神勅を

“体現”してこられたのです。

神勅を体現してこられた当事者に対して、皇學館大学の学長を務めたとはいえ、

たかだか古典を読んだに過ぎない一学者が

「古典に書いてありますから、女系天皇でも問題ありません」

などというのは不敬極まりないということになります。

 

「日本書紀」で神勅を記した人は、

誰からそれを聞いたのかということを考えてみるべきです。

「神勅」は天照大神が何かに記したものが、

どこからか突然出土したのではありません。

伝えられてきた神話を記したものです。

当然、その性質上「神勅」であるから、伝承の発信源は天皇となります。

その天皇に対して、古典に書いてあるから女系でも問題ありませんなどというのは、

まったく笑い話にもならないということです。





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