憲法解釈は男系に定まる
2月9日の衆議院予算委員会で、
女性宮家創設の問題について稲田朋美議員が野田総理大臣に質問。
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稲田議員
「皇室典範第1条の“皇統”と、憲法第2条の“世襲”は、
日本の有史以来、一度の例外もなく守られてきた伝統である男系を前提にしている」
野田総理
「認識はその通りだと思う。
憲法第2条、皇室典範の第1条で男系ということを明記している。
古来、ずっと続いてきた歴史的な重みというものをしっかり受けとめながら、
一方で、皇室活動の安定性をどうしていくかという観点で、
皇位継承の問題ではなく、女性宮家の問題を議論させているが、問題認識は同じ。」
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この時点では理想的な答弁を引き出したと思います。
政府の見解では、小泉政権時の福田康夫官房長官による
「憲法第2条の“世襲”には、女系も含まれる」という憲法解釈がこれまで最新だったので、
野田総理の答弁により、憲法に規定されている皇位の世襲は男系であるということがはっきりしました。
なお、憲法制定時の立法者意志やこれまでの政府見解は、
福田官房長官の答弁以前でも、一貫して第2条の憲法解釈は男系によるものだったので、
今回の首相答弁により福田答弁だけが突出して憲法解釈を逸脱していたことが明確になりました。
世襲の憲法解釈が男系に定まれば、
官僚についてはその間は絶対に女系の動きをすることができません。
官僚の手足を縛るという効果はあります。
女性宮家の夫も皇族にするところが限界でしょう。
しかし、それでは子供には苗字があるが、両親に苗字がない、という状態が発生します。
そもそも、子供の苗字は何を名乗るのでしょうか。
子供には憲法で保障される国民の権利が存在しますが、両親にはそれがない。
両親と子供が完全に分離されてしまうか、
それとも母と父子を分離する方がいいのか、という議論になります。
だったら、そもそもなぜ分離しなければならないのか、という主張をぶつけて、
皇室活動だけが問題なのであれば、
皇族女性が結婚して皇籍離脱後もご公務を負担できるような制度を
つくればいいのではないか、という論理を展開すれば、
相手側はそれを押しきってまで、
女性宮家創設と、その夫まで皇族にするなどということはできないはずです。
攻めどころはいくらでも出てくるでしょう。
国会議員がしっかりがんばれば、女性宮家は阻止できます。
歴史・伝統に基づくわが国の秩序を守ろうという信念ある政治家には、
是非立ち上がっていただきたい。
【参考】
憲法第2条
皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
皇室典範第1条
皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。
立法者意志及びこれまでの政府見解については、
別冊正論16『皇室の弥栄、日本の永遠を祈る』にある
百地章氏の論考《「皇位世襲」の憲法解釈と「女系天皇」への疑問》が詳しい。
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