もはや終末を迎えているのか
ゴー宣ネット道場をみると、
皇室の歴史について描く作家を目指して勉強中という人から
手紙でアドバイスを受けたことが紹介されています。
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新田均氏は続日本紀の記載から
「元正天皇は男系だった」と主張します。
しかし、彼が示したのは血筋を紹介する部分だけで、
その直後にある即位の宣命を無視しています。
続日本紀は平安時代に編纂されたものです。
各天皇の血筋を紹介する部分(名称がわかりません)は、
平安時代の価値観で書かれたものです。
奈良時代の歴代天皇が、即位するにあたって
自身が皇統のどの位置にいると認識していたのか、
何をもって自らの正当性の根拠としたのかは、
即位の宣命を見るべきです。
(中略)
「即位の宣命に何と書かれていようと男系だ」
と主張する方がおられるなら、もっとわかりやすく
「史書に記録された大御心より私のほうが正しい。証拠はないけど」
と言っていただきたい。
あるいは、天皇が自らの正当性を述べた痕跡として、
即位の宣命以上に重視すべきものがあるのでしょうか?
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これを見て思わず、「え〜〜っ、これって罠じゃないの」と思ったほどの内容でした。
それなのに時浦氏が「見事です!」って言っちゃってる(笑)
「見事です!」とか言っている前に、その内容が本当かどうか、
まず宣命を読んだらいかがでしょうか?
私も新田均先生も、そもそも宣命に男系継承が書かれていると述べていたのですよ。
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聖武天皇の即位の詔(続日本紀)
元正天皇が仰せられる
「この統治すべき国は、汝の父にあたる天皇(文武天皇)が、汝に賜った天下の業である」
というお言葉を承り、恐縮していることを、皆承れと申し述べる。
「汝に天下を下し賜うときに、汝親王の年齢は若かったので、
荷が重く耐えられないだろうと思われ、
皇祖母にあたられる元明天皇に天下の業を授けられた・・・」
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はっきりと文武天皇から聖武天皇に受け継ぐことが、
「天下の業」と書いてあります。
そして、聖武天皇が若かったので、
中継ぎとして即位された元明天皇による譲位の宣命について、
「続日本紀」には、次のように記されています。
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今、いきいきとした若さも次第に衰え、年老いて政事にも倦み、
静かでのどかな境地を求めて、
風や雲のようなとらわれない世界に、身をまかせたいと思う。
(中略)
そこで皇位の神器を皇太子(聖武天皇)に譲りたく思うが、
まだ年幼くて奥深い宮殿をはなれることができない。
(中略)
氷高(元正天皇)は、慈悲深く落ち着いた人柄であり、あでやかで美しい。
いま皇帝の位を内親王に譲るのであるが・・・
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やはり聖武天皇が若いので、元正天皇に皇位を譲ると記されている。
そして、最終的には予定通り、「天下の業」のまま、
聖武天皇が皇位を受け継いでいる。
これが男系でなくて、何だと言うのでしょうか。
こんな手紙に引っ掛かるとは、
もはや「よしりん企画」は終末の様相を呈しているということだろうか。
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