学芸出版社で発行した本、これからつくろうとしている本のテーマに基づき、著者が語る「学芸セミナー」が、このたび始まりました。
記念すべき第1回目は、地域の実践者とともにグリーン・ツーリズムの普及に取り組んできた青木辰司先生による『転換するグリーン・ツーリズム―広域連携と自立をめざして』の講演です。
会場には、観光プロデューサーや研究者、地域づくりに取り組む方々、そしてグリーンツーリズムに取り組む実践者や興味を持つ学生諸氏など、幅広い方々にお集まりいただき、皆さん熱心に聞き入っておられました。ご参加の皆様、ありがとうございました!
2010.7.12
転換するグリーン・ツーリズム
広域連携と自立をめざして
青木辰司 氏 |
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グリーン・ツーリズムという言葉がさかんに聞かれるようになったが、誤った解釈も少なくはない。むろん「これが正解」いうものでもなく、それぞれのスタイルがあって良いと思う。
ただ、青木先生が言われるのは、観光事業とツーリズムは違う、ということ。詳しくは本書でも述べられているが、不特定多数・一過性と捉えられる観光ではなく、お気に入りの場所へ何度も訪れ、人と人がつながること、そこから何かが生まれるのがツーリズムだという。
西欧からの輸入概念であるグリーン・ツーリズムは、日本でどのような展開をみせ、発展してきたかという基本的なお話から、今の課題まで幅広く語られた。
西欧から学ぶ日本型グリーン・ツーリズムの課題として、次の4つが挙げられる。
(1)受動的体験から能動的活動への展開
(2)品質評価支援システムの確立
(3)継続的情報発信体制の確立
(4)持続可能な交流活動展開のための人材活用
いずれも持続的な展開のために必要なことだ。これからは、実際にそういうしくみを作っていく段階にある。なかでも人材は重要で、学生ボランティアやワーキングホリデー、地域コーディネーターの役割について提案されていた。その可能性として、東洋大学が挑戦する社会貢献型教育制度(ギャップイヤー)について紹介していただいた。1年間休学して日本国内の自治体に派遣され、地域住民と一体となって活動するものだ。学生にとっては、自分探しの場にもなり、大きく成長して帰ってくることだろう。
ところで、青木先生が代表を務める「NPO法人日本グリーン・ツーリズムネットワークセンター」は、地域実践連携支援や地域のネットワーク支援を行っている。実践者らが自ら交流し、学びあう場を持つことは、非常に意義深い。年1回開催される全国大会では、学生ボランティアが活躍し、学びの場にもなっている。
今年(2010年)は、11/11〜13の3日間で、岐阜・三重と県境をまたがっての大会が開催される。1日目は11会場での分科会、2日目は岐阜(郡上八幡自然園)・三重(あやま文化センター、モクモク手づくりファーム)で県全体会、3日目は岐阜での総合全大会の予定である。
岐阜・三重大会の課題として、次の点が挙げられた。
・県域を越えた広域連携型開催
・体験提供型から問題提起型へ
・事例紹介型から事例討論型へ
・おもてなし型から参加型へ
・行政依存型から実践者自立支援型へ
・集大成型から再発展・新展開型へ
どのような報告・議論がなされるのか、ここから何が産まれるのか、今から楽しみだ。
詳細はまだ未定のようだが、どなたでも参加できるので、関心のある方は、ネットワークセンターにお問い合わせを。
http://www.green-tourism.net/
若い担い手がいないと諦めてしまっている農村、都会で心が擦り減ってしまっている若者、それらをつなぎ、地域と人を活き活きとさせるグリーン・ツーリズム。ツーリズムはやがて、地域の振興、人間の成長にもつながるだろう。その未知なる可能性に期待したい。
(編集N)
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都市まち地域ブログ
(編集M)
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