広域計画と地域の持続可能性〜地域活性化の視点から〜
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県境地域とは

 

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 私は三遠南信地域を例にお話しします。

 三遠南信地域は長野県と愛知県、静岡県の県境エリアです。瀬田先生が最後に紹介された飯田市も含まれます。

 図にあるように県の端境です。私は地域計画のお手伝いをすることが多いのですが、県の縁辺部はどうしても疎外された感覚を持ちやすいと感じています。たとえば、静岡県を考えますと、県庁所在地としての静岡市がありますが、経済では浜松のほうがはるかに勝っています。だから浜松の人は、「どうして県庁があるだけでこんな差があるんだ」という感覚が強いのです。

 
 縁辺ではなく、自らの地域づくりをとパワポの図の上に書きましたが、縁辺であるために県が違うことの障害が出てきます。それを打破する。自らのガバナンスの確保を!ということです。

 日本の行政は国、県、市町村と三層になっていますが、県境地域はその境界をまたがっています。行政境界で、政策主体なき地域というふうにいったりしますが、一つの地域としてものを考えようとしますと、それを決着する場がないのです。

 ちなみに私どものエリアですと、中部と関東という違いもあり、国の支分局も違います。たとえば経済振興を考えますと、中部と関東に分かれます。関東の経産局担当ということになると、大宮までいかなければならないんです。

 こういう区分の差が出てくるということです。

 そういうことなら、むしろ政策主体がないということを逆手にとって、変化を呼び込むような地域形成ができるのではないか、これが県境地域という名称で広域連携を行っている理由です。

 もう一つ県境というものが珍しいものかどうかです。市町村数でみると日本の38%、大都市や北海道、沖縄を除くと、残りの48%は県境に接する市町村となります。人口でみるとやはり48%で、面積でいえば大都市等をのぞけば62%となります。

 そういうふうに考えると県境から発想していくということに、意味があるのではないかといえます。ちなみに京都は県境市町村の人口比率は93%もあります。むしろ県境の方が多数派なんです。

 そこで三遠南信地域の県境を越えた広域連携の特徴を今日はお話したいと思います。

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(C) by 瀬田史彦・戸田敏行・福島茂 & 学芸出版社

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