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角野: 
 二つの話についてディスカッションを展開したいと思います。 一つは街の力の元になる『遺伝子』あるいは『遺伝子が運ぶ情報』とは何かということ。 もう一つは、 遺伝子が元気づけられるようなシステム、 または遺伝子を活かした環境デザインのシステムについて提言を頂きたいと思います。 
 大森さんの基調講演や小浦さんの問題提起の中で、 遺伝子を考えるためのヒントがいくつもでてきましたが、 一言だけ私の考えていることを付け加えます。 
 今から10年ほど前にリチャード・ドーキンスという生物学者が「利己的な遺伝子」という本を書きました。 遺伝子は自らのコピーを増やして次の代に伝えていくために、 乗り物である生物の個体を使っているという話です。 
 これを街に置き換えて考えてみると、 ショッキングです。 新しくお店を開くとか、 新しい商売をするとか、 何かをしたいと思っている人達の遺伝子が余所からやってきます。 しかし、 街には街がそもそも持っていた遺伝子があります。 余所からやってきた遺伝子とそこにある遺伝子が喧嘩するかも知れない。 あるいはくっついてハイブリッド種を作るかも知れない。 
 ゲニウス・ロキ、 地霊などをふまえた上で、 受け入れる側とやってくる側の様々なやりとりの動きを導き出せるような視点はないものかと考えています。 
 街をこのようなダイナミズムの元で捉えてみることが、 『都市の遺伝子』というテーマの私なりの理解です。 
 
はじめに
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