◆「淀屋橋WEST」プロジェクト
大阪は「キタ」と「ミナミ」という二つの大きな核から出来ている。
大阪のイメージは「コテコテ」「お笑い」「汚い」。
大阪の船場から住民がいなくなった。
古いものより新しいもののほうがいい。
これらは、半ば常識的に受け入れられている大阪や街に関する事象であるが、果たして本当だろうか。最近、必ずしもそう当てはまらない事例にでくわすことがある。なんだか世の中の潮目が変わってきていると感じている。
私がプロデュースしている「淀屋橋WEST」はそんな時代を読み取り組んでいるプロジェクトだと位置付けている。「淀屋橋WEST」とは大阪を代表するオフィス街の淀屋橋の良さを再確認し、暮らしやすく、大人がゆっくり楽しめる持続可能な街にする手づくりな“街づくり”である。具体的には2002年からオフィスビルの1階をコンバージョンして街に開かれた路面型レストランを誘致したことに始まる(2003年5月「入村の儀」実施。現在11店舗オープン済み。飲食店10店舗、アパレルファッション店1店舗)。将来は飲食店や物販店だけでなくジャズクラブ、ホテルや住宅なども点在させていきたいと
考えているプロジェクトである。
きっかけはビルのオーナーからオフィスビルの1階に店舗を入れたという相談を受けたことであった。しかし、よく誤解されるが、これはデベロッパーによらない“勝手な”プロジェクトなのである。自分達が暮らす淀屋橋が、おいしいレストラン、賑わいのあるバール、大人のにおいのするジャズクラブ、デザインに気を配ったホテル、そして手入れの行き届いた住宅などが軒を並べる街並みに本当になればと思い活動を開始したのである。
◆文化としての“街づくり”とブランディング
“街づくり”は街の文化を育てることだといえる。私の“街づくり”は、まずそこの歴史性を見ることからはじまる。歴史と、いまのマーケットニーズ、街のポジショニングとをみてコンセプトを導き出すのである。それには、ゲニウスロキ(その土地固有の地霊)というものが大変重要だと考えている。文化を無視してただ経済の効率だけでは街が続かない。土地のストックと時代が表すモー
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澤田 充(さわだ みつる)
街づくりを目的とした住環境・商業環境・地域活性の三つの事業領域からなる株式会社ケイオス代表。
1960年 兵庫県生まれ。株式会社リクルートを経て、93年に独立。生活者の視点からのマーケットクリエーション型プロデュースを得意とする。主な実績として、大阪中心ビジネスエリア再生プロジェクト「淀屋橋WEST」、大阪梅田商業施設「イーマ」、近代建築活性化「ダイビル・クリエイティブ・スクエア」、東京丸の内「東京ビル」商業施設、銀座並木通り「ウォルフォードビル」、奈良吉野葛テーマ館「天極堂本店」などのプロデュース、神戸居留地地区集合住宅の企画、神戸市再開発地区における街づくりの企画及び住宅分譲計画、など。
図2 周辺の近代建築物 大阪倶楽部
図1 周辺の街並
パネルディスカッション
『淀屋橋WEST』
永遠に完成しない街づくりとしての街ブランディングプロジェクト
潟Pイオス 澤田 充