ドをどうマネジメントさせバランスしていくかにかかっている。
 そして経済的な観点からみれば、街の魅力向上とは不動産価値を高めることであり、街の価値は、集まる人で決まる。つまり、これらはおしゃれな人や遊び心をもった人がどのくらい集まるかが、大変重要な街の情報発信力になっていくわけである。どんな人を惹きつけるか、どんな“空気”を生み出すか、これこそが街のブランド化である。
◆淀屋橋のポジショニングは“コンサバティブ”
 淀屋橋といえば江戸時代日本一の豪商「淀屋」が米市場から自らの屋敷前に私費を投じて架けた橋である。米市場は、全国諸藩の蔵屋敷の集積によって、「天下の台所」と呼ばれる栄華を誇るもとになる。淀屋橋周辺は、それ以来長く日本経済の中心を担ってきた場所である。その後明治時代になり住友が本拠地にし、住友グループ各社の本社が集る一帯になる。しかし経済の東京一極集中による本社機能の移転や金融機関の再編による銀行店舗の統廃合による店舗の撤退によって活力を失ってきている。
 しかし淀屋橋には文化があり、残っているものも非常
に多い。「住友本館」、「大阪倶楽部」、「大阪ガスビル」など、大正・昭和初期の近代建築や、「すし萬」(大阪寿司)、「美々卯」(うどんすき)、「鶴屋八幡」(和菓子)などの老舗もある。今の淀屋橋は質の高いビジネスパーソンがいるコンサバティブ(保守的)な街である。決してサブカルチャーは似合わないのである。
◆事実積み上げによるリアルな“劇場的街づくり”
 このオフィス一辺倒な「用がなければ来ない街、用が済んだら帰る街」を大人がゆっくり楽しめる街にかえて行ける可能性を感じたのである。
 “街づくり”の手法としては@建物の風格を活かかしながらのコンバージョン〈用途転換〉を中心に進める。A店舗は街場感を演出するために通りから直接(ビルの共用部を通らず)入ることが出来る構造にする。B通りが暗いので、店舗内部の明りが通りにもれるような環境をつくる。Cプロジェクトアドレスと呼ばれる住所を各店が任意で選びそれを入り口付近につける。D共同で販促活動を行う。E理念に共感いただけた人達と事実を創り上げる。
 協議会だとかNPOだとかの形にとらわれるのではなく、ひとつずつの事実の積み重ねが、リアリティのある
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図4 淀屋橋WEST, 1 炭火スペイン料理EL PONIENTE CARBON
図3 淀屋橋WEST MAP
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図5 淀屋橋WEST 50 ベルギービールレストランBelgian Beer CAFE BARREL
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