様々な様相を取り出すために、投稿された都心のまちづくりの担い手をタイプ分けしてみた。各事例の先頭の見出しは下記のタイプ分けに対応している。
◆地元
コミュニティ組織
まず町内会などの「コミュニティ組織」が挙げられる。江戸時代の京都ではお町内がまちの主体であり、まちづくりの主体だった。だが現在、自治組織として機能している町内会は少ない。まして住民が少ない都心ではコミュニティ自体が崩壊しており、まちづくりの担い手としては甚だ心許ない状況にある。その一方で、行政からは地元を唯一代表する組織として扱われていることも多く、フォーラム委員会の議論の中では、この建前と実態の乖離こそまちづくりを困難にしているとの指摘もあった。
そんななかで京都都心の『鯉山保存会』は、鉾の守り手がわずか6戸に減ってしまったとき、『鯉山友の会』をつくって新しく入ってきたマンション住民と手をつなぎ祭りの担い手を広げており、自治の再構築の芽を見ることができる。
一方、町内会にかわってまちづくりの主体として注目されているのがまちづくり協議会である。
本来、協議会のプロトタイプと言うべきは、まちを良くするために内発的に集まっている組織だろう。たとえば『城巽五彩の会』である。こういった活動が発展し、必要であれば適切な都市計画事業を導入すれば良いのだが、地元発意でそこまでたどりつくのは容易ではない。
『北大江地区まちづくり実行委員会』はもう少し規模が大きく、学校、企業、町会、住民、従業者、マンション管理組合が参加している。この組織形態は本稿の最後に取り上げるラウンドテーブル型とも言えるが、旧来の自治組織では担いきれなくなった自治を担える新しい主体を求める試みが、町会長さんから始まっている点が特徴的だ。
公式非公式に行政の協力も得てできる事から手掛けており、まちづくり構想を市に提出するなど旧来の自治組織だけに頼らない新しい自治の形が見えてきている。
まちづくり組織
都市計画分野の地元組織としては再開発組合やまちづくり協議会がある。地権者を中心に地域の総意を法的に代表しようとしている点が特徴だ。
ただ事業を目的に立ちあげられた協議会の場合、事業が終わると解散してしまう例も多い。このような場合、良い悪いは別にしてその場限りである。
一方、事業の有無に拘わらず、地域価値のアップに取り組む協議会もある。神戸三宮地域周辺では商店街組合などを除いても、まちづくり協議会、景観形成市民団体、任意の協議会など、市民が主体となって自律的な環境改善運動に取り組む『まちづくり協議会』が全域をカバーしているという。
そのなかでも『旧居留地連絡協議会』は戦前からの企業親睦組織がまちづくりを担うようになった先駆的な例であり、街並み形成により地区の環境価値を高めることを目標として成功した例である。地区計画、まちづくり