フォーラムに向けて
左三角
前に 上三角目次へ 三角印次へ

 

「歩いてなんぼ」環境デザインの価値とは

ダン計画研究所 吉野国夫

 

 最近少なくなったが、大阪では「なんぼのモンやねん」「○○してなんぼ」という表現が良く使われている。

 大阪の都市景観がもし良くないとすれば、それはおそらく、大阪人に「景観や環境デザイン」というモノを評価する視点が少ないことに原因があると思われる。

 大阪を代表する御堂筋という大通りも、31mの高さ規制を幾度となく緩和し、今も再緩和を準備中らしい。その都度建てられた立派なビルによって、見事にバラバラの街並みが形成されているが、大阪市民やオピニオンリーダーたる財界人には何の異論を挟む人すらいない。

 一方、平野郷や空堀といった生活感のある庶民的な町では戦災で焼け残ったわずかな町家・長屋を守ろう、地区計画というハードルを越えてでもやりたいという地元の動きがあり、行政も支援している。

 京町堀の良さは、自然発生的であり、バラバラなようで、どことなくまとまりがあり、歩いていて楽しい場が多いことだ。この価値は、果たして「環境デザイン」に関わるプロが努力した結果なのか?
 地元で長らく活動をされている「京町堀輪舞曲(ロンド)」というグループなど、町を愛する人々が住み、働き、遊ぶ街であるという点が、他のオフィス街と全く違う点だ。この景観は、こうした人々が結果として創り出した「歩いてこその価値をたっぷり持った街」として、人々に育てられていくのだろう。

 関西の環境デザイナー達も負けずに、まちづくりの一翼を担うようになってください。

     
     吉野 国夫(よしの くにお)。
     1949年大阪府生まれ。(株)ダン計画研究所代表取締役社長。独学で様々な仕事を覚える。73年、ダンアソシエイツを設立、翌年(株)ダン計画研究所に改組。主に官公庁の長期計画、開発計画を手がける。著書に『タウンリゾートとしての商店街』(学芸出版社)など。
 
左三角
前に 上三角目次へ 三角印次へ


このページへのご意見はJUDI

(C) by 都市環境デザイン会議関西ブロック JUDI Kansai

JUDIホームページへ
学芸出版社ホームページへ